魚菜王国いわて

鮮魚市況

私が身近に見る魚の価格について。
最初に私が獲っているスルメイカですが、今週火曜日に暴落がありました。
いや、正確に言えば、月曜日にその兆候が現れています。
火曜日は、翌日の東京市場休みに伴い、安値があらかじめ予想されていましたが、八戸から久慈沖の昼イカ漁が好漁で、さらに北海道も好漁、そして凪続き。
結果、全国的にスルメイカの水揚げが続き、在庫がだぼつきました。
火曜日は平均単価1箱700円台まで暴落、箱と氷代を差し引くと残りが400円となり、例えば300箱水揚げすれば12万円となり、これからいろいろな諸経費を引かれ、燃料代を引くと、労働の割りにはあまり残りません。
せっかく1隻あたりの漁獲制限をしていても、こうも凪が続くと、鮮魚市場は価格が下がってしまいます。
そこでサンマ並みの漁獲制限、つまり24時間休漁の導入を視野に入れてもいいような気がします。
インターネットでもファックスでもいいから、各地の浜値の情報を集約し、平均単価が下がり天候も凪続きならば、思い切って休漁するとか。
この情報インフラを使わない手はない。

ところが木曜日あたりから、太平洋各地の昼イカが一転薄漁となり、徐々に値上がり。
金曜日は、1箱1,300円代まで回復。
この時期のスルメイカ価格は、太平洋の昼イカにかなり左右されているようで、流通量の減少で値が上がる現象をみれば、生イカ市場の市場原理は正常に機能している、と言えるでしょう。

サンマの漁獲制限について触れましたが、サンマの価格についても少し書きたいと思います。
新潟に一緒に行ったユキちゃんの船は、今、サンマ漁のため北海道に行っています。
電話で話を聞いたら、大漁で暴落というのは大ウソで、漁は薄く、しかし安い。
その安い理由として、水産庁のサンマ調査で、大暴落を起こした年のサンマ来遊量に似ている、と発表したのが影響して、仲買人が安値をつけているのではないか、という噂があると聞きました。
ところが、先日の水産新聞では、在庫がたくさんある、と報じています。
その在庫の抱え方が、以前のイサダのそれに非常に似ていて、イサダが高値で推移したころ、商社がその高値に目を付け、海外からイサダを輸入、または大手水産会社が南氷洋に大型船を送り、日本にイサダを送った影響から、かなりのイサダ在庫が国内にだぼつきました。
この後2年ぐらいは、値段が低迷しています。
その時とそっくりで、昨年のサンマの高値で、それにつられて輸入が増大し、在庫過多となり、今年の安値となったのが真相のようです。

昨年のサンマ船はものすごく良い景気でした。
他の漁業は、サンマ漁業を羨望のまなざしで見ていました。
一転、今年は、商売にならないとまでいわれています。

価格形成は、ただ単に国内需給の問題ではなく、グローバルな需給の問題となっていす。
人口を多くかかえる日本で、その食糧を賄う業界に、グローバルな圧力を加えるというのは、非常に「自虐的」だといわざるを得なません。
その行為をしているのが、生産とは関わりのない者たちですから、たまったものではありませんね。
もし本当に自らの国を思うのならば、自らの国を守るのならば、うわべでイデオロギーとか主義を語るよりも、そのような行為を制限するような政策を主張するべきだと私は思います。
(2003年9月6日)



反グローバル(多様化・小規模化)関連

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