魚菜王国いわて

つづき (Linux狂騒曲第3番の紹介)

つづきのついでに、「Linux狂騒曲第3番」の紹介もします。
この本は前回でも触れましたが、「月刊Linux Japan」の中村正三郎氏連載の「Bravo! Linux」を単行本化したものです。
シリーズもので、すでに「Linux狂騒曲」、「続・Linux狂騒曲」と株式会社ビレッジセンター出版局から出版されており、その第3弾です。
シリーズものは最初から読みたいタチなのですが、全部買ってがっかりすると、金の無駄遣いになる感じがしたので、最新のものを読んでみました。
ところが、なかなか読める。
面白い。
PCに疎い私でも随所に分かる文章がでてきます。
当然、専門的でチンプンカンプンの用語がたくさんでてきますが、それでも”買い”です。
前2冊も買う予定です。

コピーについても興味深いことを書いています。
Linuxの進歩の方向次第では、コピーの善悪すら、逆転する可能性があるのではないか、と私は思えてきました。
Linuxを邪魔者扱いしているMS(マイクロソフト)ゲイツ氏は、「オープンソース自体が経済システムを破壊する」、と発言したらしいですが、彼の言う経済システムは、MS独占のシステムというだけで、彼の言葉は聞く価値がない、とのこと。

前座が長くなりました。
最初に”つづき”からです。
前回紹介しました中村修二氏は、元の勤務先である日亜化学工業から特許侵害で訴えられました。
特許の侵害と秘密情報の不正流用が争点だそうで、著者は次のように言っています。

巨額の金の動く最先端技術の分野では、細心の注意を払って移籍しても、こういう訴訟に巻き込まれるのだなあと、単に研究をやっていれば幸せなんてノンキなことはいってられない世界であることを改めて感じますね。
日本でも大学の研究を活発化させるため、企業と組んで特許を実用化する流れが盛んになってきましたが、研究者は大金持ちになれる可能性と共に、訴訟の矢面に立たされる可能性もあることを、十分意識しないといけませんね。
脱線しますが、これを聞いて思ったのは、秘密情報の不正流用というけれど、頭の中に入っているノウハウや情報まで、訴えの対象になるんだろうかということ。もし、そうなら、元の会社に脳を置いていかないといけませんね。
(「Linux狂騒曲第3番」p104)

研究者は、経営陣の餌食になるしかないのでしょうか?
理系人間は文系人間より劣る?と思ってしまう文章ですね。
なんだかんだ理屈をつけて法律をつくるのは、やはり文系の人間ですから、どうにもなりません。
この本には、紹介したいのがたくさんあるんですが、次でやめます。

過去の歴史において、東洋の陶磁器がコピーされ、西洋に渡っています。
逆に今は、たとえばヴィトン、グッチ、シャネルといったブランド品は、コピーすると問題になります。
この比較考察も面白いもので、あとは読んでください。
過去の東洋の陶磁器は、実はオープンソースと言うことができるんですね。
コピーを重ねてデザインを冒険し、それが良いものへと発展していく。
冒頭に書いたように、Linuxの発展とコピーは全く無縁ではなく、そこにはオープンソースという概念が介在しています。
著者はなかなかおもしろい発想をする人で、最後のほうでインフラ整備は、何の分野においても、天皇家を使え、とははっきり言ってませんが、これも事実の示すとおりで、天皇や皇太子が歩くところはすべて道路は整備され、目につくところはきれいになります。
天皇家の方々はきっと日本中すばらしくきれいで、環境問題は存在しないと思っているかもしれません(言いすぎです、反省します)。
で、皇太子がノートパソコンを常時携帯して全国行脚すれば、無線LANは瞬く間に使えるようになるのではないか、と著者は政策提言しています。
(2002年7月10日)



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