魚菜王国いわて

沖合い底曳き網(トロール)漁業の操業について

昨日の昼イカでの出来事です。
仲間の船1隻が操業中、トロール船にイカ釣り機のワイヤーや針を曳かれ、またもう1隻も同様に曳かれそうになったので、途中で針を上げて避けました。
私も同様に、途中で針を上げて移動しました。
彼らのこの行為に私たちは怒り、来年以降のことを無線で話しました。

今年は八戸沖から岩手沖にかけ、トロール船は、金額で史上稀なくらいの大漁です。
トロール船がスルメイカを曳くようになってからは、一番の漁だと思われます。

まず最初に、なぜトロール船がスルメイカを獲るようになったかについてですが、本来獲るべきタラ類などの魚類資源獲り尽くしてしまって、他に獲る魚が無くなったからです。
今年度あたりは全水揚げのうち、恐らくはスルメイカの水揚げがほとんどでしょう。
ということは、彼らはすでにスルメイカ専門漁業者ということになります。
スルメイカ専門漁業者は、他に従来からのイカ釣り漁業があります。
スルメイカを専門に獲りたいのなら、どうしてイカ釣り漁業をしないのでしょうか?
単価を考えても、イカ釣りのほうがはるかに高いですから、トロール船1隻の水揚げで、何十隻もの小型イカ釣り船を養うことができます。
2そう曳きのトロール船1カ統の水揚げで、軽く100隻の小型イカ釣り船を養えます。
それほど、彼らは根こそぎ獲ります。
トロール船1隻に乗組員が15人とします。
現在、9.7トンクラスの小型船はほとんどが3人乗り組みです。
ということは、5隻あればその船員を養えるわけです。
しかも、全トロール船が小型イカ釣り船に転換すれば、それだけイカを獲らないで済みますから、資源は豊富になり、漁は続きます。
釣れなかったイカは、生き残って産卵し、来年も漁に期待が持てます。

過去の資源減少の反省をまったくせず、同じことを別の魚種でやっていて、しかも網を破きながらも漁場破壊を今もしています。
それゆえ、トロール漁業は、国際的にも非難を浴びているのです。
水産庁はあてにならず、彼らの給料を税金で払っているのに、ものすごく腹が立ってしまいます。

TAC制度は、本当は良い制度なのですが、トロール漁業の団体と水産庁が制度をねじ曲げて、名ばかりになりました。
私たちは、これをガラス張りにする方法を考えて、水揚げ総量をごまかされないような制度を提言していかなければなりません。
政治や行政があまりに頼りにならないからです。
もう人任せにできません。
さらに沖合いでの操業ルールもしっかりしなければなりません。
少なくともイカ釣り船に対しては、トロール船は全面的に譲るようにすべきです。
彼らの全船頭をイカ釣り漁業の会議に呼び出して、合意させなければならないでしょう。

現状の岩手、そして八戸のトロール船は、最低の漁船です。
(2002年11月21日)



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