魚菜王国いわて

沖合底曳網漁業の経営

さんざん私が非難している沖合底曳漁業ですが、その漁業を残す方法を、実は以前から思い付いてはいるんですが、まず実現しないと思われます。
が、あえてヒントになるものがあるんじゃなかなあと思い、今日は書いてみます。
この漁業でも資源管理をしっかりし、それを念頭において保護海区を設定すれば、別に悪い漁業というわけではありません。
現に北海道の釧路では、国の法律(調べればわかりますが、面倒で。すみません)のほかに、地元の小型船の漁業者と漁場利用について申し合わせがあります。
それゆえ、ほとんどトラブルはないとのこと。
北海道は岩手に比べ、タラ類などの沖底船の漁獲目的魚がかなり豊富であり、資源が回復していない岩手で、北海道と同じような操業体制をとれば、恐らく沖底船は全部倒産するでしょう。
まあ、どっちみち、自らが資源回復に向けての取り組みをしていないですから、時間の問題なんですが。

完全に沖底船がなくなるというのも、漁業全体からみればあまりいいものではありません。
漁法の多様化も必要なことであり、また、ある程度の水揚げが各市場にないと、魚市場をはじめ、水産関連業が衰退してしまいます。
そこで、沖底船の経営を漁協でやったらどうか、ということを思い付きます。
経営は安定するでしょうし、資源問題にもいろいろ配慮して操業することになるでしょう。
ところが、現在の県内漁協にその余裕がない。
こう何年も鮭が不漁で、おまけに今年の安値となれば、今年度も県内各漁協は赤字は確実です。
大漁になることを願ってやみません。
そこに今年の沖底船は非常に業績が悪いですから(スルメイカが全く獲れないから。それほどスルメイカに頼っていたということ)、その面倒をみるなんてことは到底できることではないでしょう。

そこで沖底船の経営はお上がやったらどうか、ということです。
何と言っても税金でできますから(笑)。
まあ、どうしてもなくてはならん、というのなら、そういうことになります。
いつも赤字というわけではないので(そうでなかったら、今まで存続していない)、例えば、昨年のスルメイカの実績だと、半分の水揚げでも黒字で、スルメイカの盛漁期には乗組員一人100万円支給になったところもあったという話でしたから。
それぐらいならば、長いスパンでみれば、従来のお上の事業に比べれば、かなりマシです。
船頭以下、乗組員は、すべて公務員。
当然、黒字の時には、今と同じに歩合制で報酬を支払い、赤字の時は、オカの公務員と同じ給料を支払う。
専門の漁師さんは今より少なくし、オカの公務員からの異動も含めれば、庁舎の中にばかりいる職員も、漁業に対して理解が深まることにもなります。
宮城県の大きな水産会社では、その会社に勤めるからには、一度は必ず遠洋まぐろ船に乗せられた、ということも耳にします。
それと同じ発想で、公務員にもそういう機会が人生で一度ぐらいあってもいいんじゃないか、と思ったりもします。
そのお上についてですが、どこを対象にしたらよいのかは、私はわかりません。
少なくとも、市か県であることは間違いありませんが。

お上にやらせるとなると、一つ問題がでてきます。
お上の事業はまず赤字ですから、もしかして船頭までもその体質に染まってしまうのではないか、という不安です。
少し天候が悪くなれば、すぐ休んでしまいそうですし。
この体質さえなければ、公営沖底は成功すると思います。
なぜならば、資源状況を考えて操業するのですから、資源は増えていくという見込みがあるからです。
(2003年10月29日)



沖合底曳網漁業へ

トップへ