1-1. エネルギー資源リサイクルとその他の資源リサイクルの違い




 資源リサイクルには、エネルギーを要する。現在、回収されている紙類、プラスチック類、金属類などは、その原料で作るより、リサイクルのほうがエネルギーを要することが多い。例外は、アルミニウムである。アルミニウムを製造する場合、原料であるボーキサイトから製造するより、リサイクルしたほうがエネルギー使用量は97%も少ない(参照)。

 資源リサイクルは、その資源が希少なほど効果を発揮する。どうしても必要な資源は、エネルギーを多少消費しても、リサイクルする価値がある。もし、地球上に鉄資源がなくなり、かつ代替資源がない場合、くず鉄は貴重な資源となる。そして、それは、たとえエネルギーを大量消費しても、再生再利用する価値がある。

 ところが、エネルギー資源のリサイクルは、全く違う。すでに「1. 使えるエネルギーとは?」で触れているように、エネルギー原料資源をリサイクルしたところで、エネルギーを大量に消費し、エネルギー産出比が1を下回るようでは、価値など全く存在しない。ひいては、そのリサイクル設備に要した原料資源の無駄遣いとなる。
 リサイクルという字は同じでも、その辺をごっちゃにしないでほしい。

 核発電は、二酸化炭素排出を抑制すると宣伝されているが、核燃料リサイクルについては、エネルギー投入量が非常に大きいから、そう宣伝するのは間違いである。むしろ、未解決の使用済みMOX燃料次第では、余計に二酸化炭素を排出することになるかもしれない。

 ここからは余談。
 リサイクル(再生利用)のほかに、リユース(再使用)というのがある。例えば、びんなどは、洗えばすぐに使える。洗浄する場合に小さなエネルギーを必要とするが、いちいち再生産しなくてもよい分、エネルギーを節約できる。もっと身近なものは、ご飯を食べる茶碗、水を飲むコップなど、生活必需品は、身近にリユースされているものである。衣服の“おさがり”も、素晴らしいリユースである。よく考えれば、使い捨ての時代になったからこそ、リサイクルが注目されたのであり、使い捨ての前の時代、それはいつ頃なのかわからないが、少なくとも江戸時代以前は、リユースがほとんどであっただろう。

 リサイクルよりリユースしよう!




参照
  「アルミニウムとリサイクル」(「挑戦する製造業のために:NCネットワーク




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