道普請のあゆみ その1
栂峠旧道整備
平成6年 1994年ごろ
西上州の峠道の荒廃に対して自らの手で再生、整備をするために準備開始、仲間を募り、峠道のある上野村にも活動の是非を打診し協力をとりつける。まずは整備する道を群馬、長野県堺の栂峠の道とし、土地を所有する林業会社にも承諾を得る。群馬県側の栂峠の道筋は大方が林道、作業道となってしまったが、1キロほどの旧道区間が濃い笹薮に被われ通行困難となっていた。
左の写真は笹薮に埋もれ空身で歩く事も難しい道普請前の栂峠旧道の状況
平成7年
5/11,12
第1回の道普請となるはずが、事前に出た新聞報道の中に誤った記述があり、私達の話と新聞の記事が違うことで上野村の担当者との信頼関係が壊れ作業見合わせとなる。近い内に道普請ができることを信じて、現地の下見などを行う。
この騒動の経緯は 地元上毛新聞 平成7年 5月14日「(MTB専用道)建設話に上野村困惑」で報じられる。
9/23,24
春の騒動から数カ月の冷却期間を経て村との信頼関係も修復され、仕切り直しの栂峠旧道整備がいよいよ始まる。準備段階から相談にのってもらった村役場K氏に来ていただき(左上の写真)、旧峠道を覆い隠す笹の刈り払いながら、崩れた道形をつけ直していく。厚く立ちふさがる笹薮にここが本当に道であったかどうか分からなくなってしまう場所もあったが、その都度薮の下に潜り込んで道形を確かめながら作業を進め、その後には、かつて見た峠道の姿が現れた(左中の写真)。
二日目の午後、1キロ程の旧道区間の内、8割程の笹を刈り終えたと思われる辺は、道形がすっかり崩れ去ってしまったのか峠道の痕跡がまったく無くなってしまった。このまま闇雲に草刈りを進めても仕方がないということで作業を切り上げる。最後にもやもやした気分も若干あったが、年内にもう一度道普請をする事とし、この二日で整備した峠道をしっかりと踏み締めつつ帰途につく。
また、道普請の名物、作業の疲れを癒す夜の宴も当初から盛大に行われた(左下の写真)。今は無き水の戸の小屋前にて、K氏差し入れの肉でバーベキューを行う。
11月初旬
2度目の道普請の前に、前回笹に刈り残した部分の道筋を確認に行く。旧道の笹薮に上側から入り笹をかき分けながら峠道の名残りを辿り、作業の目印となるようにビニール紐を張っていく。しばらく笹薮を分けていくと思ったよりあっけなく、ちょうど9月の道普請終了地点に出た。
11/25,26
一日目の午前中で前回刈り残した200mほどの旧道の笹を刈り払い、残りの一日半でのんびり道形の付け直しなどをする。取り合えず薮に悩まされることなく通行可能となったが、道形はまだ細くて歩きにくく、道形の修復を来春に行うことする。しかし、大変な事を始めてしまったものだとやる気と後悔が混じった複雑な心境だったが、その心境は今もまったく変わっていない。左の写真はもうすぐ笹薮を刈り終える直前の作業風景。
平成8年
1月
道普請準備段階に尽力してくれたハイダ 高田健次氏 病気のため永眠。
4/20,21
引き続き栂峠道の整備と、これに続く矢弓沢源頭部の十石峠道の現状調査を行う。20日の土曜日、春浅い峠道では麓の小雨が雪となり、これまでの道普請史上唯一の雪中作業となる。積もった雪をどけつつ、崩れた道を付け直していく。天気が回復した翌21日は、栂旧道から尾根筋を麓に向かって下った所にある矢弓沢源頭部の峠道の様子を見に行く。この辺、矢弓沢林道によって寸断され、所々に残っている 旧峠道は今まで整備した栂峠道に比べると荒廃の度合いはさほどでは無い(とこの時は甘く考えていた)。後日、十石峠道の現状調査をふまえて、村に対して十石峠道整備の承認を願い出る。
6/20
栂峠道もせっかく通れるようになったので、県境の栂峠から水の戸方面にかけて、手作りのプラスチック製の小さな道標を取り付ける。
10/5,6
栂峠道と共に矢弓沢源頭部に残る十石旧道の整備に着手。矢弓沢源頭部の山は村長さんのものだそうで、役場でお世話になるK氏を通じて早々に道普請の許可が出たようだ。道の草刈りと、一部の若い植林地内で道に張り出した枝の枝打を行う。
平成9年
5/10,11
栂峠道の整備を行う。急な斜面では付近の倒木を持ってきて路肩に杭で止め、道が崩れないように補強をする。土留めに使う倒木も数に限りがあり、完全に道が崩れてしまった急斜面に道を付け直すのはなかなか難しい。
10/11,12
今まで道普請してきた栂峠道や十石峠道を含む、上信境の山あいに設定したコースを自転車で辿る「とれとれ レイド・ツガ」を二日間に渡って開催。
11/15,16
引き続き栂峠道の整備。旧道一帯の落葉松林は下草刈りが施さてずいぶんすっきりしてしまった。一昨年の笹刈りの苦労は何だったのだろうかと考えさせられるが、当分は笹刈りの必要もなくなったと喜ぶことにする。さらに倒木を探してきて道の路肩補強をし、斜面をならして道作りの作業を進める。
道普請についての話
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