道普請のあゆみ その2  十石峠旧道整備




矢弓沢十石旧道の状況

矢弓沢十石旧道の状況2
 
矢弓沢十石旧道


 道普請開始から2年ほど続けてきた県境付近の栂峠旧道の整備も一段落し、そこから麓に下った矢弓沢沿いに残る十石旧道の整備を平成10年より本格的に始める。
 栂峠旧道は単独の林業会社の所有地内で運良く簡単に整備のお許しが頂けたが、こちらの矢弓沢十石旧道は複数の個人の所有地内を通っており、村役場のK氏を通じて地主の方々の了解を2年越しで取り付けていただき、ようやく作業に取りかかる事ができた。御尽力を頂いた役場の方、沿道の地主の方々には改めて感謝したい。

 このあたりは峠から谷間に下ってきた峠道が、谷の斜面を比較的なだらかに下って麓の白井集落に至るもので、麓側半分ほどは地元の人が山仕事で通るために状況がよい。しかし、上流側の半分ほどは通う人も無く荒廃が進み、左の写真のように間伐材が旧道の上に折り重なるように放置された植林地や、道が広範囲に崩壊して、蟻地獄のように崩れやすい砂礫の斜面になってしまったところなどがある。この砂礫の崩壊地の作業は素人仕事では如何ともしがたく、毎年の大雨もあり、一進二退の道普請に悩まされることとなった。

十石の道普請

読売新聞掲載写真
 
平成10年

  5月   待ちに待った矢弓沢源流部での道普請スタート。まずは沢の上流部の植林地で放置された間伐材を取り除く。直径20センチ程の間伐材はずしりと重く、小さな鋸で切るのも、人力で動かすのも結構苦労させられる。不用意な立ち位置で間伐材を動かそうとすると、不意に滑り落ちる材に巻き込まれそうになったりしてひやっとすることも一、二度。何とかケガも無く間伐材の片付けが一段落したところで、間伐材を下流側に運んで路肩に置いて杭で止め、土留めとしてみる。

  10/10,17   矢弓沢十石旧道整備 悪天候のため延期。

  10/31,11/1   矢弓沢十石旧道整備 雨天延期の仕切り直し。春に土留めを設置した所からさらに下流側、道が崩壊している砂礫の斜面の道普請を行う。これも春にかたずけた間伐材を土留め用に使ったが、水分を含んだ丸太をわずか数百メートルながら、肩に乗せて運ぶのはかなりの重労働であった。砂礫が降り積もっただけの地盤の悪い斜面に、苦労して丸太を杭でとめて路肩の土留めとして道を作っていくが、これがどれだけもってくれるものだろうか。この時の写真(左)は読売新聞 1998年 11月 の記事に掲載される。

H11年道普請
10月の道普請の様子
photo:J.murayama
 
平成11年

  5/8,9および 10/2,3  矢弓沢十石旧道整備 昨年整備した所よりさらに上流側、下流側に範囲を広げて十石峠道の整備を行う。特に下流側はこのページの上から2つ目の画像の地点、崩れやすい砂礫の斜面の区間でも一番やっかいな地点にとりかかる事になる。(写真下左)まずは土留め用の間伐材を運んで路肩になるべく高く材を積んで道形をつけてみるが、地盤が最悪で杭の効きもいまひとつな手ごたえ。

 

 尚、5月の時にはアウトドアライター 安藤眞氏が参加し、レポートがヤマケイOutdoor誌1999年12月号に掲載される。