任務の時だけ、ちょっとだけ、話せるから、

少し、安心したりなんかして。

多分、きっと、病気とかではないと思うの。




ただすこし、悲しいだけ。

ねえきっと、時が癒してくれるよね。





何も見ていないのではないかと思えたその瞳も、きっと、ちゃんと私のこと映してくれていると信じたい。

だって決めたから。
あなたのそばにいるって。


 

 

きっともうすぐ、夜が明ける。





「サスケくん!おっはよ〜!」

「ね、朝ご飯できたよ!起きて!」
ばさっ
カーテンを勢いよく開けると太陽の光がまぶしいくらい差し込んだ。
「ん〜今日もいい天気!お散歩にでも行こうか?」
「今日の朝ご飯はね、ご飯と、お味噌汁と、アジの開きと、卵焼きと・・・」
「・・・」
「ん?」

突然目の前が暗くなって
ぎゅうときつく抱きしめられてそれから、

乱暴な、キス。


恐い夢を見たのね。
その合図。





「サスケくん・・・」
そんな時は、決まって抱きしめる。サスケくんが暖かくなるように。見た目よりもしっかりとしたからだは、私の体温よりちょっと、冷たい。
サスケくんの目に私が映る。

でも、名前は、決して呼んでくれない。









カチャカチャ・・・
ダイニングに食器の音が響く。
「サスケくん?どーう?今日のお味噌汁ちょっとダシかえてみたんだけど?
「あのね、今日のはダシ巻き玉子!ちゃんとおろしもつけたの!」
「けっこうおいしいとおもうんだけどなあ・・・」
ちら、とサスケを見るともくもくと食べているから、まあきっと大丈夫な出来だったんだろう。
おいしくない時もちゃんと食べてくれるけど・・・。

じっと見ていたら、サスケくんと目があった。
にっこり笑って、話し掛ける。
「今日は、お散歩に行こうね!」


うん、今日も、私とサスケくんは元気です!















出かけた先は、思い出の場所。
むかし、・・・といっても5年位前かな?
私たちが下忍だったころ、
ナルトと、先生と、サスケくんと、私。
よくこの木の下に集まってお昼ご飯食べたよね。
ああきっと、あのころは、幸せだったと気づくのはいつも過ぎ去ってから。

私も、手をのばせば、もうこの花に届くようになったよ。

「サスケくーん」
大きく手を振ってあなたを呼び寄せる。
「お昼作ってきたんだ!一緒に食べよ?」
敷物をしいて、ゆっくりと座る。
いつも4人で肩を並べていたその木の下には

今はただ2人。



いつも隣の場所をキープしては、横目でチラチラをあなたを盗み見ていた。
ちょっと目が合うだけで、すごくドキドキして、
なんだかあなたのほほもうっすら赤くなったように思ったのは、きっと気のせいではなかったよね?

あのころは、私の手をいくらのばしてもこの花に届かなかった。
「欲しいのか?」
そういって後ろからひょいと枝をつかんだあなた。
「あ、ううん。とらないで。」
「?」
「触ってみたかっただけ。キレイだったから。」

そう言ったら、あなたはいとも簡単に私を抱き上げて、その木に登った。
視界は、一面、ピンク色。
風が吹いて花びらが舞うと、まるで異世界にいるような不思議な気分がした。
それはあなたに抱かれているせいなのか、それとも。







あのころのままでいたかったね。






どんなに手をのばしても、もう届かないけれど。


















季節は春。

サクラは、満開です。









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