秘密にしておきたい隠れ家のようなホテルだった。 ホテルのあちらこちらに手製のパッチワークが置かれている。色合いといい柄といい、そのために布が織られ染められたように思えるほどそれぞれがしっくりとその場所のためにあるのだった。それはこの家のおばあさんが一針一針縫われたのだ。 到着するとすぐ芳醇な林檎ジュースが振舞われた。それからわたしたちはそれぞれの部屋に別れ、はじめはぎこちないながら、山形組と東京組は次第に打ち解けていった。 |
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宴会の時間となり東京組は下座に席をしめ、のんびりしょうと図ったのだが、そうは甘くなかった。太田さんの案で席はくじ引きになっているというのだ。わたしは中央の櫻井先生のとなりを引き当ててしまい、即座に引越しとなってしまった。宴会はゲームもまじえ、和気あいあいのなかで進んでいった。左右のひととさしつさされつ語り合った。 |
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お料理といえばもちろん山菜料理、それにお刺身、虹鱒など、茶巾絞りのゴマ豆腐が美味だった。おかみの心づくしで行者にんにくに味噌をつけていただく。山形の方々もお料理上手で、ぜんまいやらなにやらつくってきてくださる。お酒も地元のワインにお酒。デザートに本場のさくらんぼをカルピスに漬けたものを持ってきて下さった方もいて、ただただ感謝です。 |
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食事のあとは語りの会。「ひとり一話ずつ」と先生の鶴のひとこえ。春のせいかかえるの話がふたつ、それにへっぴりのおじいさんのおはなしに腹をかかえて笑った。エプロンシアターも楽しかった。 |
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宿のうらの五色沼、上に見えるのは櫻 裏手は水芭蕉の群生もあって、翌朝散歩をした。 |