フリーズ雪原の北のクレバスの奥には、ゴブリンたちが隠れ住んでいた。ゴブリンは非常に凶暴だが知能は低く、かつてはバラバラに村々を襲うだけであった。だが、王の誕生により、それも変わろうとしていた…… ゴブリンの巣の奥にいるゴブリンキングを討伐せよ!
吾輩はゴブリンキングである。名前はあるが、人間の言葉では発音できない。父と母は、吾輩が生まれてすぐ、人間の冒険者とやらに襲われ、この世を去った。当時、吾輩は無力な子供で、目の前で両親が殺されるのを、物陰で震えて眺めるほかなかった。
確かにゴブリンは人間を食らう。人間を襲えば、倍の冒険者が討伐に来ると分かっていても、あれほど美味ければ、食欲を理性で抑えられるものではない。しかし、食事をしただけで、殺されなければならないとは、何とも腹立たしいものである。
ゴブリンは弱い。確かに単純な腕力こそ並の人間よりは優れるが、上級の冒険者にはそれさえも劣る。さらに人間が優れた装備で身を固めるのに対し、ゴブリンは木を削っただけの棍棒をただ力任せに振るうのみである。これではクレバスの奥に逃げ延びる他ないであろう。
だがそれも今日で終わる。吾輩は部屋に集まった配下を見渡し、口を開く。
「我々ゴブリンは、長きにわたって、人間に虐げられてきた。かつては、食欲を必死に抑え、共に手を携えようと試みたこともあったが、かの邪智暴虐な王は、そんな我らを捕らえ、怪しげな儀式の贄とした」
年老いたゴブリンなどは涙を流すものもいる。
「我々は穴倉の奥に隠れ住み、耐え忍んだ。だがそれも今日で終わる。この剣を見よ! 愚かにも我に立てついた冒険者からいただいた、名剣『フランベルジュ』という」
「すごい!」
「炎のように波打った刃、伝説の剣に違いありません!」
配下のゴブリンが口々に王の持つ剣を称える。
「我はこの剣で人間の町を攻める。もはや食欲を抑える必要もない。思う存分殺し、奪い、食らえ! さあ準備せよ」
ゴブリンたちは、雄たけびを上げる。
--
そんな様子を物陰から眺める人間が一人、フリーズ雪原の村で血まみれの武器を売り続ける少女である。彼女はゴブリンが悪さをしないか、転移の書を使って定期的に偵察しているのであった。
「まあ、大変。冒険者に討伐を依頼しないと」
ゴブリンの巣へは、フリーズ雪原の北にあるクレバスを通って、行くことができます。
鍛冶スキルに6種類の新レシピを追加しました。レシピの材料にはゴブリンの巣で採掘できる青水晶などが必要です。作成できるアイテムは、氷属性の武器となっております。
裁縫スキルに6種類の新レシピを追加しました。レシピの材料にはゴブリンの巣で獲得できる羊毛などが必要です。作成できるアイテムは、毛糸のアクセサリや、ゴブリンをモチーフにしたアクセサリとなっております。