愛宕山登山と鳥川・ほたるの里
09.6.20 愛知県岡崎市鳥川


先々週に続いて孫から電話あり、今から鳥川(とつがわ)の「ほたるの里」の愛宕山に登ると言う。

慌てて支度をし、コンビニで巻寿司を買って待ち合わせの知立へと走る。 今日の「鳥川ほたるの里」は

愛知県の中央部、東名高速の音羽蒲郡ICの北に位置し、岡崎市鳥川町にある。 知立で落ち合い国道1号線を東へ

本宿町沢渡より左へ折れ樫山街道を額田へ向かい支所の先を右折、街をぬけて男川を渡って中山間地の田舎道を走る。

男川より鳥川への分疑点に来ると「ほたるの里」の標識が現れ、約1時間程で到着した。


時間は既に11時を過ぎていた。 鳥川小学校前の「鳥川ほたるの里センター」ではテントが張られ

ボランティアーの人達が緑のジャンパーを着てせっせと働いている。 

我々の姿を見ると、”湧水めぐりですか” と聞くので”愛宕山に登って夜は蛍を見る”と答えると

えらく驚き、”インフォーメーションセンターで地図があるから、行って来て下さい”と仰る。

最近は登山者が多いのかと思っていたが、どうやら蛍見物が中心の様である。

結局、登山者は我々の他にアベックの一組だけだった。


鳥川町は町と言っても58戸の集落で3・400mの小高い山に囲まれた山間地域で、

周囲の山からしみ出した水が地区内で湧き出て湧水群をつくっている。

中でも「延命水」は、その代表でもある。


また水の綺麗なことから鳥川はゲンジホタルの生息地域としても有名で、

地元では鳥川小学校やホタル保存会によりホタルの保存活動が行なわれて来た 。









鳥川インフォーメーションセンター


センターの駐車場に車を置き、小安堂橋まで歩き、小安堂口より登ぼることにする。

地図参照 http://www.oklab.ed.jp/tokkawa/tozandou/tozandou_map.html

その前に昼食を登り口の駐車場でとる。  蛍見物には時間も早く、車はまだ一台もいない。



愛宕山登山口までは、畦道に入って、蛍の生息する川沿いを通って行く。

川にはシラハエか魚の姿もあり自然が見える里山風景である。




登山入り口

真新しい登山案内板が掛かっているので、登山道は解り易く整備されているのかと思っていたら

最初はまだしも、だんだんと杉林に入り、急勾配となり道が解り難くなる。 それでも木の枝に赤いテープが

結ばれているので、それを頼りに登って行く。 丁度、40分ほどで周囲の木が伐採されて展望のきく見晴し場に出る。



坂道を喘ぎ登る。






道しるべの赤いリボン






見晴らし場







見晴らし場を越え、更に登ると赤い標識のテープは右手に折れてつながって行く。 方角が少しおかしいと思ったが

そのうち左へ折れジクザクしながら行くのかと思っていたら、どんどんと下って行く。 いつの間にか赤い標識もなくなり

完全に道を失った。 息子は、しようがない引き返そうというが、大変な登り、子供もいるし無理をせずに、

沢に向かって下りるのが一番安全と只管下りることにする。 やがて渓流の瀬音が聞こえて来た。 これで安心。

瀬音に向かって下りていくと渓流が見えた。  急勾配の崖を足場と支持手を確かめ慎重に下りる。


渓流に下り、孫たちの支えの助けを行い、やっと全員無事下りる。

渓流で孫たちは沢蟹を見つけ興奮の悲鳴!

下の孫娘は沢蟹を、やっと捕まえ得意満面!   掴む所を覚え安心できたようだ。



沢にて

沢を伝い流れに沿って行くと道路に出た。 どうやら山の裏側の沢に下りていたのだ。 

夕方に戻る予定の登山がえらく早く終わったので、この後、どう時間を過ごすか息子と話す、

蛍見物もあり無理をせず小安堂橋より蛍橋経由 「延命の水」へ行くことにする。



沢より道路へ

孫娘が野アザミを摘み取り、何を思ったか ”写真を撮って” とせがむので ワンショット!

孫たちは「延命の水」まで道草の連続、魚を見つけたり、おたまじゃくしを捕まえたり、

イモリを見つけて腹の赤いのを確認したり、野趣いっぱいの珍道中。



路傍のアザミ

アザミの葉の棘に懲りたのか、葉をむしってしまった。




蛍見物の最初のAポイント、小安堂橋

ホタル案内図参照 http://www.oklab.ed.jp/tokkawa/H21_hotaru_kazu_chizu/H21_hotaru_kazu_chizu.html





兄孫は、オタマジャクシとりに夢中になりすぎ、とうとう足を田圃に どぼん!

スニーカーは泥まみれ、 おっと どっこい。



イモリの腹を見るため木切れで悪戦苦闘

蛍橋より萩坂峠への道を進むと犬迫集落へ入る。 路端の苔むした地蔵さんたちには地元の人たちの

心づかいで花が生けられ、ユリや季節の花が訪問者を迎えてくれる。



地蔵や観音さん





山に囲まれた萩坂峠への道





またも寂れた観音と地蔵さん






犬迫集落

犬迫の集落で小父さんに「延命の水」の場所を訊ねると、山の麓にあると教えられたが・・・




犬迫集落の終わりの蛍見物Gポイント

小しぶ柿の木を通り過ぎると大きなボーリングのピンのようなモニュメントが立ちそれを更に越え山の麓に

来たが、「延命水」は見つからず、地図を確認、舗装道路を左に外れ山中の道に入る。 



萩坂峠への道

舗装道路のヘヤピンをショートカットし、更に大きいヘヤピンを横切って距離的には、短くなるはずたが、

その分勾配がきつく、足場も、じめじめと滑る。 山道を登ると、やっと舗装道路に出た。

その道路より少し入った山裾に「延命水」の碑が見えた。




ショートカットの山道






延命水石碑

中へ入って行くと空気が涼しい。 丁度山のひだの様なところで水が寄る様な地形である。

案内板を見ると飲用は名水100選に指定されたとは言え保証するものではなく、飽くまでも

自己責任で願いたいと断りがしてあった。  それでは自己責任で飲んでみると、

冷たく無味無臭のいい水であった。 傍に椅子が置いてあり、暫く腰を下ろし休憩をする。

そこへ、多くのボトルを持って中年のおじさんが現れる。 地元の人かと、訊ねると、岡崎から来たと言う。

ポケットから白い布を取り出し、やおら延命水の口にかぶせ、ゴミが出るんで濾過するんです、と仰る。


二週間に一度、飯とコーヒーに使うため、こちらへ来ると言う。 こちらは、昨年、「平成の名水100選」に

「鳥川ホタルの里湧水群」として選ばれ指定されたそうだ。  以前に比べるとホタルも随分減ったと言う。

ホタルは水が綺麗過ぎても川ニラが育たず、一部生活排水が入った汚れのひどくない水が良いようだ。

以前は、木に群生して光るのを見たことがあるが、年々減っているそうで、今は、もう時期的に遅く

あまり飛ばないだろうと言っていた。 おじさんは、水を詰め終わり、暫く話して帰っていった。

おじさんの水を濾過した布に黒く小さなゴミが残っていた。  成るほどな〜



延命水の取水口 2本のパイプから水は出ていた。

我々もそろそろ腰を上げ戻ることとする。 息子と兄孫は、また山道を選び、こちらは息子の嫁と

孫娘で舗装道路を気楽に下ることにする。 夕景の里山風景を眺めホタルセンターを目指す。



里山夕色






息子たちは先回りして待っていてくれた。 山間部の日暮れは早いとは言うが、

明日は夏至の日、陽もなかなか暮れそうで暮れない。 


ホタルの里センターへ倒着すると、ボランティアーのおじさんたちがソウセイジやモツナベなどを

テントで販売している。 腹もすいてホタルの刻までは、未だ時間もあり、ビールとモツナベ、ウインナーなど

買い込み、その間で腹ごしらえをする。 そこへ昼間、出逢ったおじさんが現れ ”山はどうでしたか?”

と聞いてきた。  ” いや〜赤いリボンの道標を頼って行ったら道に迷って裏側の沢に下りてしまった”

 と答えると、そら〜測量士の付けた標だと仰るが、当時はどうとも判断つかなかった。 息子は又、挑戦したいと

答えていたが、こちらは、さてどうか。  おじさんによると「ホタル祭り」も、明日の日曜日で終わるそうで

以前は多くいたが、減ってきたことから鳥川小学校の子供たちが幼虫を育て放流をして、どうにか

持ちこたえて来たが、こちらも過疎化高齢化が進み子供達がいなくなり、来年は小学校が廃校になると言う。


小学校の意志を受けて町のホタル保存会が引き継ぐそうだが、淋しい話である。

日本の農業政策や地方行政の失敗が各地に影響を及ぼし、今回こちらの山に入り、杉林の倒木や

下草の生えない山の荒廃加減を見るにつけ、農林行政の失敗が大きく集落に影を落としている。


 しかし、僅か58戸の集落で、この田圃と山の環境を維持されている皆さんに頭が下がる。 

 ビールも入り、テントに行くとフランクフルトが3本残っていたので、

欲しいと言うと、皆さん拍手で迎えて ”これで完売!” と言って大喜び !

何か良い事をしたような気がした。



日が落ちやっとホタルの舞台が始まる


時間も経過し7時半、やっと暗くなり、ホタルが光りだしたようだ。 しかし、風が少しあり飛び立つまでは無理だろう。 

 おじさんが ”川の方へ行って下さい、今年は、あまり期待できないだろうが、また来年来て下さい”

と言って分かれる。  我々は暗闇の中、大勢の人の後についてE〜Dポイントへ行く。

川の彼方此方で5〜10匹ほどのホタルが光りだした。 何と65年ぶりの光景である。 やはり感動!


思ったほどではなかったが、やはり息をするホタルの光はどこか、艶かしく、弱々しく、儚さを感じる。

すると、その一匹が飛び立ち、こちらに近寄って草場に下りた。  孫娘が興奮しながら捕まえる。

源氏ボタルは子供の頃見たものより小さかった。 兄孫が ”可哀そうや放してやり”と声を掛ける。

孫娘は残念そうに・・・放してやる。  しかし、飛んだと思ったら直ぐに田圃の中に降りた!

孫娘は、死ぬかな? と心配そうに・・・ 


時間も8時となったが、あまり増えて来ない。 こちらを引き上げ、「延命水」の方へ車で行くと

それでも、若干、こちらの方が多かった。 しかし、風もあり最後まで乱舞は見ることができなかった。

時計を見ると8時45分、もう、これ以上粘っても無理だろうと、ホタル見物を終える。


帰りがけ孫のリクエストで、焼肉で本日の打ち上げを行いお仕舞いとする。

歩数系を見ると2万歩とあり、 猿投山より1万歩少なかった。



シャッターを落とすが、さっぱりホタルは写らず、  実態と違うが、こんな感じかな?




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