悠久のエジプト4

フィラエ島・イシス神殿



エジプト南部のヌビア遺跡群の一つで、「ナイル川の真珠」と呼ばれた

イシス女神信仰の本山である。 BC500年前の第30王朝時代に建てられ、

その後800年、ローマ時代になるまで増築されて建造物も複合化している。



塔門と列柱




塔門に彫られたイシス女神(左右)とホルス神(中)

イシス女神はホルス神(隼)の母であり、オシリス神の妻である。

死者の内臓を守る4人の女神の一人で、頭上に牛の角を持った姿をしている。

ホルス神はオシルス神の子供。



ローマ時代・トラヤヌス帝のキオスク(あずまや)




列柱の中庭




柱頭デザイン




十字架

ローマ帝国時代キリスト教が国教化された当時のものと思われれ、

その後も、コプト教が利用したとも伝わっている。



既設建物との高さ調整の為か柱の継ぎ足しが覗える。





遺跡より見たアスワン湖

こちらはハイビスカスやナツメヤシ、ミモザなどが茂り、傾いた陽は相変わらず輝き美しい島である。

イシス神殿を見終わり船で元の船着場へ、アスワン市内のニュー・カタラクトホテルへ。



ニュー・カタラクトホテル

ホテルは老舗らしくナイル川の見晴らしのよいロケーションに建てられ

部屋から望む景色は、沈みかけた夕陽を浴び陰影がとても美しい。



ホテルの部屋よりプール越しに見るオールド・カタラクトホテル

湖をファルーカ(小さな帆舟)が滑って行く静かな時の流れ、アガサ・クリスティーは

この景色を眺め想像を巡らしたのであろう。



夕暮れのホテル・ガーデンより見る風景、

丘の上に見えるモスク風建物は20世紀イスマイール派の最高権威者

ムハンマド・シャー・アガ・カーン3世の墓で、彼はアスワンを愛しエジプトに貢献をした。

 エジプトの大統領ナセルは、彼の死後、埋葬地としてアスワンのこの土地を贈ったそうだ。


オールド・カタラクトホテルのロビー

夕食前時間があり、プールの横をぬけて旧館のカタラクトホテルを覗いた。 やはり植民地時代の

格調あるイスラム様式風の建物で宮殿造りの風格があった。 既にクリスマスの飾り付けがなされ

ボーイと目が合うと、コンニチワ!と日本語が来た。 こちらは一つ覚えのアラビア語「アッサラーム」

と返す。 行き届いた応対マナーでホスピタリティーを感じる。 我々の新館と違い3〜4万円はしそうだ。




玄関に出ると、正面に幻想的なキリスト教会が黄昏の中に浮かんでいた。

聞いてみるとアスワンは古くからキリスト教徒が多い地域だそうだ。

夕食はパスタ・スープとロースト・チキンで舌鼓。 部屋に帰り、アラビヤ語の

訳の解からないテレビに眠くなり船を漕ぎ出す。



アスワンの石切り場

翌日は古代の石切り場、紅色花崗岩の現場へと行く。 広大な石切り場で

エジプトのピラミッドや神殿の花崗岩はこちらで切り出された。 広場では

食べるものがないのか野良犬が2匹横たわり、空腹に耐えている様であった。

岩場を登って行くと、亀裂が原因で切り出しを中止したのか、長さは約40mと

言われるオベリスクが横たわっていた。 アメン大神殿のハトシェプスト女王の

オベリスクが約30mで現存の最大のものと言われるが、それよりもはるかに大きい。

歴代の王がこちらから長さを競ったのであろう。

つづく   HOME