爛漫・桜の京都
平安神宮 醍醐寺 嵐山
12.4.12
彼方此方から聞かれる桜便りに陽気も加わり、毎度のことではあるが、この季節は身体の精気が蘇り無性に
外に出たくなる。 桜は日本人にとっては一番心に馴染んだ花でもある。 日本津々浦々に桜の名所があり
皆さんに可愛がられ、その土地に馴染んだ一本桜や桜堤が思い出をつくり郷愁を誘ってくれる。
桜は開花期間が短く、ぱっと咲いて、ぱっと散る美しさと儚さが、愛しさを誘うのであろう。
今年の1月に醍醐寺を訪れ桜の季節に来てみたいと思い、今回、京都の花見と相成った。
京都へは車で混雑を避けるため一号線にて迂回して御池通地下駐車場に入った。
後は市内の交通機関を利用し廻ることにする。 まずは賀茂川の桜を見ながら
平安神宮へ。
平安神宮の桜
今日は気温が20度近く上がり春風に吹かれて歩くのも気持ちがいい。
賀茂川の川端通りの色の濃い枝垂れ桜も満開でぽつぽつと柳も見えて、
そぞろ歩きを楽しませてくれる。 二条通りに出て暫く行くと、平安神宮の参道に
出て正面に応天門が見える。 真直ぐ進むと岡崎疎水があり、観桜の遊覧船が
長閑に流れてきた。 疎水は豊富な水を満たし爛漫の桜で、
遊覧船客も堪能している。
賀茂川の桜
岡崎疎水の遊覧船
平安神宮の丹塗りの神殿と連子の緑を見ていると、こんな歌も浮かんでくる。
”青丹よし京の都は咲く花の におふがごとく 今さかりなり”
まさにこの歌に ぴったり!
観桜は神殿の左袖より神苑に入る。 神苑は明治の庭師で名を馳せた小川治兵衛の作で
元老と呼ばれた山縣有朋に引き立てられ円山公園や元老の無隣庵等も手がけている。
入ると南神苑があり、八重紅枝垂がこぼれる様に我が世の春を満喫している。
観光客が盛んにシャッターを切る。 もっとも、こちらもその一人ではあるが・・・
大極殿 蒼龍楼
結婚式
南神苑の紅枝垂れ
南神苑に続いて花菖蒲の西神苑がある。 一本のソメイヨシノが咲き誇り、2・3寸の花菖蒲の
青い芽が伸び季節到来を待ちわびているようだ。 本殿裏を貫け睡蓮のある中神苑を過ぎると
一挙に視野が開けて大きな東神苑が広がっている。 緑色の水面の先に鳳凰の屋根を持つ
泰平閣の橋殿が池を横切り、右手に貴賓殿の尚美館が桜の枝垂れ越しに見える。
水面には花の紅、青葉の緑が映り、貴賓館の影も水面に揺れ庭園の美しさに圧倒される。
西神苑
貴賓館(尚美館)
泰平閣(橋殿)
東神苑
貴賓館の八重枝垂れ桜
醍醐寺の桜
平安神宮を堪能し、地下鉄の東山駅まで歩き、地下鉄にて醍醐まで乗る。
京都の地下鉄はパリの様にホームより転落防止の為の囲いがなされ、電車が
到着すると乗降の扉が開くようになっている。 流石に観光の都市である。
20分ほどで醍醐の駅に着き、駅からは10分ほどで醍醐寺に着く。
この度はハイシーズンだけに花見客が多く、その後について進むと、
何時の間にか寺に倒着。 総門前には大勢の観光客がたむろし、
流石に人気の高い桜の名所だけのことはある。
総門の枝垂桜も重そうに垂れ下がり、染井吉野は雲のようである。
醍醐寺総門
豊臣秀吉は1589年、朝鮮に仕掛けた戦いが巧く進まず、その気晴らしに、花見を計画し
下見に醍醐寺を訪れた所、寺は応仁の乱などうち続いた戦いで荒れ果てていた。 秀吉は
五奉行に醍醐寺諸堂の再建を命じ、三宝院の庭園は自身が設計し、各地から700本の桜を
集めて境内に植えさせ、豊臣秀頼、北政所、淀君ら近親を初めとして、諸大名からも女性
ばかり約 1300名を集い、その衣装を薩摩・島津義久に作らせ大花見の宴を催したと言う。
しかし、同年5には病に伏して、8月には薬石効なく、その生涯を閉じたと言う。
秀吉辞世の句 ” 露と落ち露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢 ”
総門を入り参道両側は秀吉が植えさせた700本の桜が始りで山桜が多く赤みがかった
葉を大きくし、既に盛りを過ぎ落下盛んと言ったところ。 参道を進むと
仁王門前の染井吉野は満開で折からの太陽に栄え白く輝いていた。
参道
仁王門
仁王門より見る参道
参道・豊臣家の桐家紋の入った幔幕
国宝・五重塔
金堂・国宝
霊宝館まえの人出 霊宝館 曝された土塀と桜
霊宝館の枝垂れ桜
同
同
霊宝館・枝垂れ桜 霊宝館・八重桜
霊宝館・染井吉野
同
秀吉は三宝院の景観を好み、こちらの枝垂れ桜を愛したと言われ、日本画の奥村土牛は
この桜に出会い輝きに満ちた桜の優美な佇まいに見惚れたと言われる。
八重桜
三宝院・ 秀吉や奥村土牛が愛した枝垂れ桜
素晴らしい観桜で疲れ三宝院の茶店で抹茶で一服。 青い空に栄える桜の花
その下に下がる赤い南天の実が新鮮で、 これが、また綺麗に見えた
茶店の南天
醍醐寺を出て地下鉄で洛南から西の端、洛西の嵐山へ行く。 地下鉄は太秦天神川終点で
嵐電に乗り換え地下から地上に出て街の景色を見ながらレトロな電車に揺られる。
つづく嵐山