梅雨晴れ間の南知多
06.7.4 

花農場・羽豆岬・岩屋寺


朝、眼が覚め、ラジオにスイッチを入れると、突然、「サッカーの中田選手の現役引退」

のニューズがながれてきた。  寝ぼけの脳が一挙にフル回転。

寝床から弾き出された様に飛び起き、彼のインターネットのWEBページを見る。

画面がすっかり変わり、「只今、アクセス集中につきHide's Mailのみの表示となります。」

 とあり、今まで彼がサッカーで歩んできた人生が述べられ、これまでの声援に

感謝の気持ちが述べられていた。     http://nakata.net/jp/


ブラジル戦終了後、あれだけ強気で、冷静で、スタイルに拘わる彼が、

ピッチに仰向けになって惨敗をさらす姿がどうみても腑に落ちなかった。

その疑問は、このニューズで完全に溶けて行った。

 しかし、人がある場から去っていくと言うことは、寂しいものである。



何か気分がすっきりしない。 気晴らしに何処か出掛けるとするか・・・

ニューズとは打って代わり、幸い梅雨期と言うのに、天気は上々。

南知多町で早植えの向日葵が咲いたというので、そちらへ出かけることにする。


国道23号線大高I.Cより知多半島道路に入り、半島を南下する。

大府を過ぎ東海市に入ると、棕櫚の木立ちが目につき、南国まがいの雰囲気である。

こう見ると、知多半島の緑が多いのに驚く。 昔は土地の人々は干ばつで苦しんだというが、

今では半島の先まで水が行き届き、緑が確保されている。 

これも 愛知用水導入のお陰なのであろう。

阿久比を超え半田に入ると、飛行機のマークの入った空港への道標が見える。

この道へ入れば、中部空港に行けるが、今日はお呼びでなく、残念ながら車は直進。

半島の先へと進んで行く。

暫くすると武豊に入り、更に美浜を貫けると、間もなく料金所の標識。

やがて終着の豊丘料金所に到着。  それを直進すると、県道280線にぶつかり

そこを右へ豊浜に向かうと花農場の案内板があった。

左折すると知多工業団地にでて、その上の丘陵地帯に花農場はあった。

名古屋から約1時間程掛かった。  

こちらに車を留め、農場を見るが、向日葵は未だ咲いていない様である。

僅かに黄色が見える。 広大な農場であるが、時期を分けて植え付けている様だ。



向日葵農場、上の段は未だ咲いてない。


黄色い近くに行ってみると、向日葵の花が切リ売りされていて、観光農場にしては

センスのない見にくい風景であった。  売る部分と、鑑賞する部分を分けておけば

もう少し気持ちよく花見ができるのだが・・・・・



手前の辺りは花が切り取られた所





同様に手前は花が切り取られている。


しかし、向日葵は近くで見ると、中心がどす黒く、何か生き物の様に見えて

強烈なエネルギーを振り撒いている。  やはり太陽の花の所以だ。

V・ゴッホの「ひまわり」は、ぐねぐねと描かれ、エネルギーが満ちている。

恐らく、歩喜人と同じ様な印象を受けたのであろう??





折角、花を見に来たが、いま一つだし、早々に農場を引き上げることとなる。

役場に行けば何かいい情報があろうと、南知多役場へ行くことにする。

役場は丘陵を降りて豊浜の手前の高台に、直ぐ見つかった。

役所内は省エネの為か電気が消され薄暗くなっていた。

地方の役所も財政が苦しく経費節減で大変なようだ。

窓口の人に用件を伝えると、2階の商工課に行ってくださいと言う。

2階に上がると、商工課の看板が天井から吊り下がり直ぐに判った。

係りの人が案内図を広げて、知多半島の最南端の羽豆岬と山海の

岩屋寺を説明してくれた。    早速、羽豆岬へと行くことにする。


豊浜に出て、国道247を師崎へと走る。 海岸べりの道路は海が

見え隠れしながら10分程で羽豆岬の道標があり、そこの海側の道を走ると

師崎港に出て大きな駐車場があった。 港には島への連絡船が入っていた。

船の案内所で訊ねると、港の右手の道を南へ行くと、鳥居があると教えてくれた。

  行って見ると、直ぐ近くに鳥居が見え三河湾が広がっていた。

鳥居の先の岸壁では釣り人が一人、狩る獲物を期待するとも、

しないとも?穏やかな表情で糸を垂らしていた。

スケベ根性でちらり覗くが、獲物は未だの様だった。



羽豆神社の鳥居






鳥居の灯篭の間に階段があり、それを登って行くと、トランペットの曲が聞こえて来た。

ニニ・ロッソの「夜空のトランペット」を誰かが吹いているようだ。

登るに従い、その音はだんだん迫り、羽豆岬の高台広場に出た。  


そこには50過ぎのオジさんがラッパを吹いていた。  なんと、こんなオジさんが??

 目が合って照れ臭さそうな様子。 ”羽豆岬の展望台はこちらですか”

と訊ねると、”そうです”と言って、”あちらが日間賀島で、こちらが豊橋で・・・” と、

態々、見渡す風景まで説明してくれた。 ”塔に登るともっとよく見えると教えてくれた。  

礼を述べて、林の中に立つ塔へと向かう。

気が落ち着いたのか、オジさんのトランペットは、更に澄んだ音色で鳴りわたる。

展望塔に上がって見ると、障害物がなく、三河から渥美半島、志摩半島へと

素晴らしい眺めが拡がっていた。



三河・三ヶ根山が霞む




日間賀島が目の前に見える。




煙突は渥美火力発電所





篠島




神島




伊良湖岬




志摩半島


羽豆岬は案内によると1600万年前に砂岩と頁岩が交互に積層して出来上がった岬で、

立地的に、東に三河湾、南に伊勢湾を控えて、古代より政治的、経済的な海運交通の要所であった。

その為か、城跡があり、展望台の直ぐ下には羽豆神社もある。

白鳳時代に、創建されたと神社と言われ、建稲種命(
たていなたねのみこと)を

祖神として祀られている。 

*建稲種命は日本武尊が東征の際、水軍を統率していたと伝えられ、

南北朝時代には、熱田神宮の大宮司・摂津守昌能が南朝方の吉野へ入る

中継拠点として、こちらに城を築いたそうだ。  その後は足利氏の台頭により

一色氏の支配へと移っていった。



羽豆神社



羽豆崎城址石碑


岬の展望台から国道247号線の羽豆岬交差点まで遊歩道が設けられて、

この辺りは、モチノキや天然記念物のウバメガシの木が繁茂し、遊歩道はウバメガシの

トンネルができている。  これは塩分を含んだ風や冷たい風が強く吹く為

風上側の枝の成長が抑えられ自然に木が曲がる現象で風衝樹形と呼ばれている。


  
ウバメガシの風衝樹形          ウバメガシの葉     


ウバメガシの遊歩道からは右に師崎港が一望され、左手は伊勢湾の海岸線が

眺められる。  ウバメガシの遊歩道は木の日陰ができ、

ぶらぶらと降りるには暑くなく好都合である。



遊歩道より見る師崎港全景




港に入るフェリー




羽豆岬の伊勢湾側の眺め


10分程で国道247に出て羽豆岬を制覇する。


        岩屋寺へ続く   MENU