境 港(鳥取)

日本海と桜並木路

松江城を出て日本海の見える海辺の細い道路を走る。 

道は曲りくねり、アップダウンの激しい道である。 両側には桜の木があり

カーブでは枝が車を擦るほどに迫っている。 林の切れ間から日本海の

海岸美が顔を覗かす。 水の色が何とも美しい。


島根半島の入江


日本一の鬼太郎石像、なかうら海産センター 


1時間あまりで境水道を渡り、境港に到着。

境港は日本海側最大の水産都市、水島しげるの出身地でもあり街中で

ゲゲゲの鬼太郎のキャラクターに出会うと言う。 また街のある弓ヶ浜半島は

東南に中国地区一高い大山を背景に日本の白砂100選にも入る絶景である。


境港・中浦より望む大山






弓ヶ浜半島の松原伝いに米子へ更に日本海沿いを大山町にかけて

最高の眺望が続く。 もう一度、大山だけに来てみたいと思う程魅せられる。


米子近くより見る大山



大山町を過ぎた辺りより望む大山

大山を堪能すること一時間余り、風景に見惚れる間に倉吉に着いていた。

倉吉では桜名所である打吹公園へ行く。 こちらは元横綱琴桜の

出身地で、公園の前に銅像が建てられていた。


打吹公園

打吹公園は200m程の小高い打吹山にあり、山名氏の居城であったが

尼子氏に攻められて落城した。  大正天皇が皇太子時代に

山陰行幸をされ、その折、記念公園として造られたと言う。

桜の他にツツジも多く植えられ、中でも椿は日本画に描かれるような

幹に苔をつけた素晴らしい老木が多く、椿好きの人にはたまらない。


花は紅、柳は緑 打吹山に憩う一時






榎の老木

倉吉には古い街並みが残り、中でも白壁、土蔵造りの通りは江戸から明治

にかけ建造されたそうで当時の名残を残している。 水路には鯉が泳ぎ

江戸風の擬宝珠のある橋が架けられて、情緒のある通りである。


白壁造りの家



白壁通り




水路の鯉

街並みを楽しみ倉吉の東隣に位置する今夜の宿三朝温泉へと向う。
http://www.misasaonsen.com/aisatsu.html



三朝温泉(鳥取県)

温泉街・三朝橋から見る桜

三朝温泉は倉吉からバスで20分程の距離にあり、三徳川の辺にある。

玉造と同じ程度の規模であるが川が大きいだけに、旅館が散っている。

川に沿って細い路地の温泉街があり、飲食店や射的、土産物店等

の小さい店が軒を並べていた。


恋谷橋よりの景色



狭い路地の温泉街



野口雨情作・三朝小唄歌碑

昨夜は女将のセンスか細かい客へのもてなしと、心のこもった料理に納得する。

今日は鳥取へと向かう。



鳥取城址(鳥取市)

鳥取城址の石垣

三朝からは一時間程で鳥取城址に到着する。 鳥取城跡は市内の久松山にあり

元は山名氏の城であったが最後は池田氏の居城となり発展してきた。

現在は石垣のみとなったが、桜の名所公園となっていて、

城内には重要文化財の仁風閣もある。


城址の濠と桜





仁風閣とは明治39年に時の皇太子(大正天皇)が初めて山陰地方への

行幸が決定され、その宿舎がなく、当時の市の予算も乏しい状況から

鳥取池田家14代当主仲博(侯爵)が片山東熊(赤坂離宮の設計者)に

依頼し8ヶ月の期間で造ったと言われる。 因みに建築費は四万四千円

を要した。 当時の市の予算が五万円だった状況から高額さが覗がえる。


仁風閣

建物はネオルネサンス方式の木造二階建て建築でマントルピース用の

6本の赤煙突を持ったものである。 皇太子の行幸には東郷平八郎も

随行したそうで、日露戦の行賞の意味もあったのであろう。

仁風閣の命名は彼が付けたそうだ。 内部には池田家ゆかりの歴史的

品々が展示されていた。 当時、鳥取県下初めての電灯が灯されたそうで

天井の洒落た洋風のシャンデリアが印象的だった。


浦富海岸

鳥取市を海岸線に出て浦富海岸に向けて走る。 20分程で浦富海岸に到着。

日本海と言えば波の激しいのが有名だが、春の海は静かである。

この辺りは山陰の松島とも呼ばれ、海水の浸食による奇岩、洞窟等が多く

白砂青松と海の風景が素晴らしい地形である。

浦富海岸の奇岩と青松

波打ち際の薄い水色はやがて緑色に変わり群青の沖へと広がっていく。

青い空、群青の海、白い磯と三段の陽光の輝き!


浦富海岸・白砂の磯

暫し休憩し、鳥取とは、これでお別れ、次ぎは兵庫県へとすすむ。

浜坂で昼食を済まし、少し内陸部に入った湯村温泉の近くの泰雲寺による。



湯村温泉(兵庫県新温泉町)

泰雲寺

泰雲寺は京都・天竜寺に属する古刹で此方にある枝垂桜は天竜寺より

移植されたそうで、樹高が15m、幹廻り5m強、樹齢250年、西日本一の大きさ

と言われ天然記念物に指定されている。 急な階段を登ると鐘つき堂があり、

その横に枝を広げ、鵬が羽を伸ばした様である。 話では、

 もう散りかけているとの事であったが、まだ赤みもつよく咲き誇っていた。


枝垂桜



枝垂桜の枝振り

この後、「夢千代日記」で有名となった湯村温泉街へ。


春来川沿いの温泉旅館

湯村温泉は春来川沿いに開けた温泉で高温の湯でも有名で1100年

前に慈覚大師により発見されたと伝えられている。

NHKテレビドラマや映画での「夢千代日記」の舞台になった

ことから更に有名になったそうだ。  

早速街の中心地である荒湯に行き卵を茹でる。

 湯は90℃程で専用の茹で場が用意されていた。

網に卵を入れ12分ほど入れておくと茹であがる。 黄身の芯まで

柔らかく茹でることが出来、まろやかで美味く感じる。


荒湯



荒湯の卵茹で場

荒湯より少し川を上ると橋の袂に吉永小百合に似た夢千代の銅像

が建っていた。 傍には作者の早坂暁や吉永小百合を初め関係者の

ブロンズの手形があり大勢の人が撫ぜる為か輝いていた。


夢千代像

夢千代像より少し下ると、夢千代館(博物館)があり、昭和30年代の街並や

夢千代日記に使用した道具や、夢千代の芸者置屋等が展示されていた。

二階には平和維持に思いを燃やす吉永小百合の活動状況や広島市と当地との

交流関係のパネルやモニターが飾られ彼女の平和への情熱が伝わって来る。


日記は寒い季節のもの悲しくも、温かみのあるドラマであったが、

春に見る街はイメージがいまいち涌いてこない。




最後に温泉街の桜を見て、山陰の旅も帰途につく。


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