京都・西山々麓の秋2 
08.12.2


宝積寺(宝寺)


  宝積寺は奈良時代、聖武天皇の勅願により行基が開いたとされており、真言宗

  智山派の寺院である。 本尊は十一面観音で、大黒天も祭られていて聖徳太子が

  神より授けられたと言う打出と小槌が宝物となっていている。

  境内に小槌宮と閻魔堂もある。参道の右手の三重塔は、秀吉と光秀の山崎の合戦

  の際、羽柴秀吉が桃山時代の建築様式で、一夜にして建てたと伝えられている。



重要文化財の三重塔


社務所の御婆さんに訊ねると、山崎の合戦の時、焼け跡が、今も天王山頂上に残り

当時、秀吉の本陣が置かれ、築城後は山崎城(宝寺城)に取りこめられたという。



山門

山門の阿形と吽形の金剛力士は寄せ木で造られ重要文化財に指定されている。

聖武天皇勅願の碑があり、山門梁下に大黒天の提灯が宝寺への親しみをもたす。



本堂








宝積寺は大山崎美術館を訪れたことにより発見し、言わば、おまけである。

ご利益を期待せず御礼を申し述べて、お暇とする。


この後は、光明寺への約4kmの行程、丹波街道へ出て西山連峰裾野を北上して長岡京へ

筍の名産地だけに竹薮が多く、「筍料理の店」も見かける。 道を山手へ入ると光明寺に到着。


 光明寺は観光客が更に多そうだ、早速、ガードマンが盛んに交通整理。旗で行き先を示すので

 指示に従って行くと、離れた臨時駐車場。 やぱり平日も混雑は関係がなさそうだ。

 この分では休みには身動きが出来ないのではと余計な心配をする。

寺までは歩道のない道をぶらぶらと、しかし、車に気を付けないと危なくて、漸く到着。


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西山・光明寺
京都市長岡京市粟生


  光明寺は浄土宗の西山派の総本山、元は法然上人が初めて説法をした処である。 その後

  1198年、法然に帰依した熊谷直実(蓮生)が念仏三昧堂を建てたのが始りで今日に至っている。

  熊谷直実は「平家物語」や謡曲の「敦盛」などで語られる源平・一の谷の合戦で平家の若武者

  平敦盛を殺した苦しみから仏門に入り法然に帰依したと言われている。 境内には法然の石棺

  や法然廟、蓮生墓所 などがある。




受付と石畳の奥には総門が見える。

総門の横には石碑が立ち「浄土門根元地」とある。 法然がこちらで阿弥陀経の極楽浄土を

といた所と言うことで、時の天皇から授けられたそうだ。 黒谷の光明寺には大きな楼門があったが、

こちらには見かけられない。 総門を入ると、大きな石段の参道がある。 男人坂と思いきや、これを

女人坂と呼ぶそうだ。 両側から紅葉の枝だが覆い実に趣がある。 更に奥へと上ると、

やがて明るくなり紅葉もまばら、石畳の参道へと出て正面に御影堂が見える。



女人坂





女人坂





参道

御影堂の前は広場となり、左手に法然上人の立像があり、法然は

比叡山の叡空に師事していたそうが、その後、山を下り専修念仏を唱えることで

人々は救われると説き、1205年に比叡山と対立し流罪となった。 

1211年に赦免されたが、翌年には亡くなったそうである。

右手にある黄葉の大木の名前を御影堂の姉さんに聞くと無患子(むくろじ)と言う。

天然記念物だそうで複葉樹の老木がある。 

「子が患らわ無い」という意味で無病息災、縁起がよいことから

木の種は羽子板の羽根の先の黒い玉に使用されるそうである。

こう言った老木を眺めるいると、樹の精気と言うか力が伝わってくる。



御影堂




     
        
 法然上人像                          黄色の大木は天然記念物の無患子(むくろじ)の木
                                       


御影堂に参拝し奉納された灯篭の下がった渡り廊下をつたい釈迦堂(方丈)へと渡る。

床が真新しいケヤキの板で、何とも軋みもなく気持ちがよい。



御影堂回廊、左手渡り廊下





御影堂裏

釈迦堂には釈迦如来が祀られている。 この前には「信楽庭」と呼ばれる枯れ山水の庭があり

白砂に配された大小18個の石は大きい3個が阿弥陀三尊で残りは念仏行者を表しているそうだ。



釈迦堂





信楽庭と勅使門





同庭



釈迦堂を出て、帰りのモミジ参道へ。 入口の総門から女人坂を通って

モミジ参道の薬医門を貫ける一周の道となっている。 モミジ参道はトンネルの様に

連なった紅葉が、午後の光に照らされて雅びな雰囲気を醸し出している。

真直ぐに伸びた石畳の参道の両側は敷き詰めたような紅い散り紅葉!!

うつろい行く晩秋は京都・西山の美の世界へといざなう。 

通う人達は、夫々の思いで、この紅葉を眺める。



モミジ参道




































薬医門







境内を一周し総門に戻り、次の勝持寺へ。 丹波街道を西へとそれて行くと、 

辺りは高くなり東側へゆるやかに下る地形で町並みの展望が遠くまで見渡せる。

不規則に曲がった道を山辺へと登って行く。 光明寺とは変わり、ひなびた処である。

15・6分で程で到着する。


       勝持寺へ続く  HOME