秋・八ヶ岳 トレッキングU
09.10.10〜09.10.11
朝日を浴びる中岳
中岳を仰ぐと、はやくも稜線を登る人達がいて、蟻の様に見え僅かに動いていく。
中岳の右には阿弥陀岳が、でこぼこした頭を見せ、八ヶ岳では赤岳・横岳に次ぐ3主峰と呼ばれている。
赤岳は相変わらず逆光で暗くて何も表情を見せてくれない。
同、阿弥陀岳
娘に何かを話す息子、背景は中岳の斜面
山裾に見える穂高連峰、槍ヶ岳が微かに見える。
展望の開けた道を進み、直ぐ先に赤岳の尾根は見えるが、歩けど歩けど、近づかない。
後は歩みを重ねて小屋出発より2時間が過ぎて、漸く赤岳の尾根に到着。
全員 万歳!!!
しばし展望を楽しむ。 北アルプスから御嶽山、中央アルプスから南アルプス、霧が峰と・・・
今日は最高の天気に恵まれたが、孫娘は雲海を見るのを楽しみにしていた様で、
この日本晴れで雲海も見えず怒っていた。 息子から、「雲の絨毯なんか何時でも見れる、こんな
雲のない景色は、めったに見られないよ」と諭されるが、孫娘は何か合点がいかない様子・・・
すると、赤岳に漸く光がさし出した。 ありがたや〜 何とも神々しい!
ここから上は子供とお爺ん連れでは、岩場と鎖場の続く嶮しい登りでちょっと無理、あきらめる事とする。
孫達と立つ赤岳尾根
赤岳尾根道標(2700m)地点、バックは硫黄岳、奥は蓼科
やっと光がさした赤岳の頂上(2899m)
権現岳(2715m)
横岳(2829m)
阿弥陀岳(2805m)
硫黄岳(2760m)
奥穂高や槍ヶ岳も見える
横岳から硫黄岳へと続く連峰
空はあくまでも碧く澄み渡り吸い込まれていくよう。 空気は透明できらきらと山々を際立たせる。
澄み切った八ヶ岳の風景に見とれ清澄な空気を存分に吸って、すっきりした処で山を下りる。
登って来た道を辿って行くが鉄製の階段の道に来ると、やはり急な斜面に身構えする。
ストックを使って下りるが、一部、鉄網の敷かれた所はストックが使えず、
不安定な鎖を頼りに一歩一歩階段を確かめ緊張する。
途中何回も、登山者と道を譲り合い、約2時間を掛け漸く下りる。
下りの道を見下ろす。 小屋が右肩に小さく見える。
小屋近く登山道より見る横岳
帰りの登山道より見る行者小屋風景
小屋に11時過ぎに到着、小屋の広場では大勢の登山客が椅子に座り、思い思いに
太陽を浴びて連休の八ヶ岳を満喫している。 登山者にとっては一番寛げる時間だ。
孫達はどこで見つけてきたのか、丸い穴の開いた氷を宝物でも見つけた様に持って来て
得意そうに見せて呉れる。 訳を聞くとビールやジュースの冷やしてあった所に浮いていたと言う。
太陽に張っていた氷が解けて出来たんだねと言うと、余程気に入ったのか
「お爺ちゃん 来年 又、秋に来よう。 ね〜ね〜」と念を押す。
こちらは、未だ行っていない処に行きたいと思うと、そ・う・だ・ね・・・と返事がにぶる。
少し早いが腹も空いたので、テラスで食事とする。 孫と合わせこちらもラーメンを頼む。
朝食を多めに食べたせいか、山男量のラーメンは少し多いよう。
持て余していると、兄孫が「僕に頂戴」と、渡りに船で助けてもらった。
午後の山中乗越展望台は赤岳尾根から充分見たので止める事にする。
小屋前で寛ぐ登山者たち
午前中見えなかった赤岳の雄姿、小屋より見る
小屋より望む横岳
同、大同心・小同心の岩峰
昼食を済ませ、少し休んで12時かっきりに南沢を下りる。
南沢は坂がきついと言うが、思ったよりなだらかである。
ガレた川原が続き賽の河原のような虚無感を漂わす。 その中を下へ下へと進む。
振り返ると、赤岳が違った姿で見送ってくれる。
前にシラビソの木が折れており、折れ口が新しく18号台風の仕業なのか?
今まで見たことがなかったのに、ここ一本だけが無残に折れている。
何本生えているか分らない多さのシラビソが不思議な現象である。
そんなことを考えながら歩いていると、賽の河原が漸く終わり、次はシラビソの林。
しかし、根元は湿気が多いのか美しい杉苔がぎっしりと繁茂し、京都の寺社の庭を
うかがわせる様な光景が続く。 杉苔の剥げたところをくねくねと伝って歩く。
無残に折れたシラビソ
杉苔の繁茂したシラビソの林
同
やがて杉苔の林も終わり、激しい下り坂となり嶮しい岩場の道である。
やはり聞いていた様に厳しい道となった。 往きに南沢を登らなくて正解であった。
初めての赤岳への挑戦の方は急がば回れ距離は長いが北沢ルートを奨めたい。
もっとも、手応えを感じたい人達は大いに南沢に挑戦されたい。
やがて渓流が現れ、水辺の岩は複雑に入り組み、良さそうな隙間を縫って下りていく。
右へ行ったかと思ったら岩に阻まれ左にそれ、左にそれたかと思えば又右に、
途中でどちらへ行けばよいのやら、この南沢ルートは夕方や朝早くの薄暗い時期は、
よく道に迷う人があるそうだが確かに分りにくい。 特に夕方行者小屋に登る時など要注意と言える。
明るい日中なのに我々も2度ほど迷いかけた。
岩場の間を通る細い道
渓流を縫って下りる険しい道
沢伝いの中間ほどの処で、とうとう台風で橋が流され、水に入らないと渡れない所に出くわした。
2組の登山者たちが、どうしようか戸惑っている。 石を跨いで男性なれば何とかなりそうだが、
子供や女性には一寸難しそうだ。 上や下に渡れそうな所がないか探すが、やっぱり見つからない。
一人の女性がとうとう水に入って渡って行った。 孫たちにも入って行こうかと誘うといやだと言う。
やおら息子が大きな石を抱え流れに投げ込み、其処に全員で何個も中型の石を入れて、やっと子供でも
石伝いに渡ることができる様になった。 やった!! 孫たち、ちょっとしたアドベンチャーに大喜び。
この後、来る人達は容易に渡ることが出来るだろう。 少し人の為にも役立ち、 い い 気 分。
やがて道も緩やかとなり孫達が、未だか未だかと駐車場到着を催促する。
確かに孫達が催促する気持ちも分る。 この道は大変な難コースである。
それでも、どうやら美濃戸の駐車場が近づいた様である。
もう間もなく到着かな?
木の隙間にやっと山荘らしい建物が見えた。 孫達に言うと、 やったー と喜ぶ。
まっしぐらに道を下り、登山者が休んでいる山荘前に座り込む。 息子の嫁が早速
ソフトクリームを注文してくれる。 夫々、バニラや抹茶やと好きなものを頼む。
美濃戸山荘に休む登山者
ソフトクリームを食べて、車を預けた赤岳山荘に行くと、小父さんが 「お帰り!」 と大きな声で迎えてくれた。
「北沢がら登って正解でした」と話すと、「そうでしょう。 良かったねぇ。」と喜んでくれた。
お礼を述べて小父さんともお別れする。 凸凹した林道を走り八ヶ岳へも別れを告げる。
我々の登山はあくまでもリクリエーション、マイペースでゆっくりと登り、新陳代謝の活性化ができて
自然の美しさを感じて心身のリフレッシュが出来れば、これでよし。
今回18号台風で心配した山道も橋一つ流れていただけで済んだのは何よりで、
無事終了を八ヶ岳に感謝してトレックをおえる。
NEXT おわり HOME