タイトル 制作年 評点 感想
バルカン超特急 1939年 6 ヒッチのハリウッド進出前の作品。狭い電車内で展開されるサスペンスは、丁度良くハラハラさせる感じで心地よい(?) しかし、ラストの展開はアクションの撮り方の酷さも相俟って、イマイチ。
レベッカ 1940年 8 ハリウッド進出作にして、第12回アカデミー作品賞を受賞した名作。花火をポイントとして、話の流れがガラリと変わるなど、この時代にしては展開にそこそこメリハリがあるし、何を差し置いてもラストシーンが素晴らしいので全編観てしまう。 女中が迫ってくる例のシーンは・・・怖すぎ。
断崖 1941年 6 全然つまらないベタな脚本をヒッチ先生に持ってったら、そこそこ面白くなりましたよって感じの作品。やっぱり引き付けられるのは最後の15分だけかなぁ...
逃走迷路 1942年 5 主人公がひたすら逃走するサスペンス。でも登場人物があまりにもお人よしすぎて拍子抜け。自由の女神での格闘は、北北西のマウントラッシュモアの縮小版って感じ。
疑惑の影 1943年 9 展開、撮影、編集、全てが非のつけ所のない最高レベルのサスペンス映画。まるでスリラーのお手本のよう。物語が展開するに連れ、J・コットンが実際に怖く思えてくる。流石にヒッチ先生が生涯で一番気に入っている作品、と公言するだけのことはある。
白い恐怖 1945年 7 「映像の魔術師」としてのヒッチをこれ以上ないくらいに堪能できる一本。夢の演出は本当に見事だし、例の拳銃のシーンには絶句。 しかしストーリーの方があまり印象に残っていない。
ロープ 1948年 8+ よくぞやった! と声を大にして言いたい、伝説の2カット映画。 ストーリーの方も、賞味(実際に)82分なりに可能な限りハラハラするように練られていて、及第点な面白さがある。核心をバリバリ突いてゆくJ・スチュアートに、終始ハラハラ。
見知らぬ乗客 1951年 7 有名な眼鏡のシーン、テニスのシーンもさることながら、ラストのメリーゴーランドは本当に凄さまじい。ヒッチコック映画でも数本の指に入る大迫力のクライマックスだ。 それにしても単純なプロットである。
裏窓 1954年 5 ヒッチコックの名作・・・・と言われているサスペンス。確かに面白い、といえば面白いんだが。でもカメラが一窓ごとに移動していく、ってのがなんともモダンで致命的に退屈でした。これも時代
ダイヤルMを廻せ 1954年 7 脚本が適度に複雑で良質な密室劇なのだが、映画でやる必然性があまり感じられなかった。殺人シーンは本当に素晴らしい。
ハリーの災難 1955年 2 全く面白いと思えなかった。S・マクレーンも大したことない気がするし、テンポがトロ過ぎない?
間違えられた男 1956年 6 事実を基にした、異色の社会派サスペンス。証人も次々と死んでゆくなんて…こんなことが本当にあったのだろうか?? H・フォンダが可哀想。V・マイルズはもっと可哀想。
知りすぎていた男 1956年 9 ヒッチコック初心者はこの作品から入ると良いと思う。この時期の彼の作品にしては演出などにそれほど奥深さは感じられないのだが、なにせプロットが素晴らしいので充分に楽しめる。コンサートのシーンは素晴らしすぎて、何度繰り返し観たか分からない。 将来はあんなシーンを撮ってみたいものです。
めまい 1958年 4 ご存知名作。しかし、なんとも恋愛のシーンが多すぎるし展開も遅いしで個人的には... ヒッチコックの映画には呆然とさせるラストシーンが多いが、この映画ほど...
北北西に進路をとれ 1959年 9+ 「恐怖」という部分が欠如しているので、ヒッチコックの集大成とするのにはちょっと無理があるかもしれないが、それでもそう呼びたくなる程の傑作。上品なユーモア、贅沢な場面展開、素晴らしい音楽、見事なカメラワーク! これだけやられれば、印象に残るシーンも挙げればキリがなくなるというものだが、その中でも飛行機のシーンとラストのチェイスは… 別 格 す ぎ る 
サイコ 1960年 9+ 紛れもなく最高傑作の一つ。シャワー室での殺人シーンはあまりにも有名だが、前半に雨、警官、モーテル、くちゃくちゃやってる青年が次々と出てきている次点で、相当精神的に追い詰められる。しかし自分はその後、更に殺人シーンがあるということを知らずに観たので、あの場面は心臓が飛び出た。 ラスト10分なんて背筋が凍ります。
1963年 5 ご存知超名作。この映画はイカれています。鳥の鳴き声がBGMとかマジありえません。生理的にどう考えても好きになれない作品だが…やはり怖かったということかな?
フレンジー 1971年 7 罪を着せた男と、罪を着せられた男の二重奏。展開にメリハリがあって面白いのだが、ヒッチコックにおいてこれほどえげつない作品があっただろうか? ゲテモノ料理、じゃがいも袋、そして殺人シーン...  ブラックユーモアというのには、俺にはちょっと不快すぎました。

アルフレッド・ヒッチコック
(1899-1980)

説明不要、サスペンス映画史上最高の巨匠。常人には考えられないアイディアを映像の中で駆使し、ぐいぐいと観客を映画に引き込んでゆく名演出の数々は、一体どれ程の映画に影響を与えただろうか。とりわけ、60歳を過ぎてからも「サイコ」「鳥」を撮ったいう彼の信じられないエネルギー、体力には心から感心させられる。私の一番好きな映画監督の一人でもある。