椎名林檎アルバム感想 このゴージャスな壁紙の通り、まさに「女王様」的なアーティスト。 彼女の演る様々なノイジーな音を組み合わせたオルタナティヴなロックは、発売から5年以上経った 今聴いても、これ以上にないくらいに新鮮。 大名盤2枚アリ |
1.ここでキスして。 2.正しい街 3.シドと白昼夢 4.警告 5.丸の内サディスティック /11曲 |
無罪モラトリアム | 92 |
||
1999年 | 1stアルバム | |||
とてもメジャーデビューしてすぐ、しかも21歳の一人の女性が創り上げたアルバムとは思えない、奇跡的なクオリティを持つ90's J-ROCKを代表している名盤。 2ndよりはかなり大人しく、アルバム全長41分という時間も非常に聴きやすいもので、3rdなどのせいで椎名林檎=変態のイメージを抱いてるような方にも薦められます。 しかしどれも「様々なノイズを融合させたオルタナティブロック」でありながら、これ程多彩でキャッチーな10曲はどうだ。 余りにも凄すぎないか。 1曲目の正しい街で掴みは完璧、3曲目の丸の内サディスティックは、ちょっとラリ過ぎてる歌詞がどうかとは思えど、楽曲的には彼女の最高傑作の一つと言われているのにも納得できるし、5〜7曲目のそれぞれに特徴のある楽曲も最高。8曲目はシングルカットされた名曲、ここでキスして。最後の英詩に入った途端、興奮は最高潮になります。 その余韻冷めぬまま突入する、今アルバムで唯一の非ロック曲・同じ夜も、これがまた彼女らしくていいんです。 「東京事変」のライヴでこの曲のライブバージョンをやったようなので、一度聴いてみてもたいものですね。 ギターソロも伴ってひたすらロックしている警告も良く、トリのモルヒネも文句なしの良曲。 というわけで、個人的にシングル曲の2曲を抜かせば完璧なアルバムだと思うんですよね〜 いや、「歌舞伎座の女王」は個人的に歌詞が本当に苦手なんですが楽曲的には悪くないと思います。 しかし幸福論(悦楽偏)、これだけがどうしても許せない。いくらなんでもあのアレンジでは、耳が痛くなってしまいます。これだけが惜しい! |
1.ギブス 2.罪と罰 3.虚言症 4.病状パブリック 5.月に負け犬 /13曲 |
勝訴ストリップ | 94 |
||
2000年 | 2rdアルバム | |||
最強の一作。 彼女がただの歌手ではなく、いわゆる「アーティスト」とみなされている理由が、このアルバムにある。 ここまで斬新かつ世間評の高いアルバムは、J-ROCKにおいてこれ以来出ていないんじゃないかな。 前作を大きく上回るノイジーさで、その音楽性はパンク、ヘヴィメタル、グランジといった領域にまで突入していると思われる。 それ故、非常に賛否両論の分かれる一枚とはなってしまっているし、実際酷評している者も多く見られる。 しかしながら結局は233万枚を売ったという事実が、このアルバムが如何に注目を浴びたかを示しているのだろう。 前作に引き続き、1曲目の虚言症で最高のスタートを切ると、続く浴槽もノイジーでありながら、どこか本当に浴槽をイメージさせるようなアレンジが興味深く、この2曲だけで歌詞におけるユーモアのセンスも前作から向上してるところが見受けられます。 ユーモアのセンス! といえば、アイデンティティとストレイシズムが圧倒的。 特に8曲目のアンビリーバブルな展開には、腰が抜けました。それから病状パブリックにも抜けた。 しかしそういったアイデア先行型の曲だけでなく、ヘヴィながら彼女らしい独特のバラードとして成立している闇に降る雨、月に負け犬、依存症なんかも面白いです。 シングル曲の出来には、最早文句のつけようもありません。 「ノイジー過ぎて聴いてらんない」だとか言う人も多いでしょうが、それを言ったらこの次の作品なんてどうなってしまうのだ、って感じですし、何度も繰り返し聴いていくうちに魅力を見出せてくるのではないでしょうか。私がそうだったように。(最初はなんじゃこりゃと思っていたのに、今では邦楽10本の指に入る程に・・・) |