X-JAPANアルバム感想

X-JAPAN、それはどこまでも、いつまでも偉大で、J-ROCK史に燦然と輝き続ける指標のような存在・・・・。




1.Silent Jealousy
2.Stab me in the back
3.Desperate angel
4.Miscast
5.Joker
          /7曲
Jealousy 89
1991年 3rdアルバム

Xの絶頂期のアルバム。 
確かに、84万枚を売上げた「Tears」('93)や、75万枚を売上げた「Rusty nail」('94)などの売り上げから見てみれば、彼らの絶頂期は90年代の中頃と言えるのかもしれない。 だがこの作品の発表後に彼らが掲げた海外進出の活動内容は、一向に具体化せず、シングルリリースもバラードに偏り、そのリリースペースも極端に遅くなってしまっていく。
よって、ヘヴィメタルバンドとしてのXに一番脂が乗っていた時期は、このアルバムのリリース時、もしくはそれ以前とみるべきだろう。

YOSHIKIの弾くピアノの美しい旋律。 そしてそれが途切れた後、再びクラシカルなピアノの音色が挿入されたと思うと・・・・
突然激しいギター、ベース、そしてドラムスの音によって
Silent Jealousyが幕を開ける!!
クラシカルに疾走しまくるギター、YOSHIKIが千手観音のように叩きまくるドラムス。そして聴くものの気分をどこまでも高ぶらせる、
静と動を見事に使い分けた曲構成!  ロック後進国の日本が世界に誇れる、数少ないチューンの1つということに異論を唱える者はいるまい。 何と言う7分18秒だろう・・・。

というわけで、Silent Jealousyだけで100点満点を挙げたくなるアルバムだが、その後はこの曲のような徹底した様式美的な曲はそれ程なく、
Desperate AngelJokerのような、アメリカンロック的な曲も多くて少し驚かされた。 どの曲にも聴き所が多く、いちいち挙げていけば本当にキリが無い。  いくつか挙げるとすれば、Miscastの途中のメロディアスなギターソロ、Desperate AngelとStab me in the backの神速ドラム、Say anythingのサビの素晴らしい歌詞など。いずれも鳥肌モノであった。

とはいえインストが3曲あり、聴ける曲が7曲しか無いというのは減点対象。 特に同インストの「Love Replica」は、無駄に長くて印象が悪い。 様式美を出そうとしているのは分かるが、直後の曲がJokerなものなので、いまいちミスマッチに感じてしまった。

それにしてもSilent Jealousy、あの曲は本当にありえない....




1.DAHLIA
2.
Rusty nail

3.Tears
4.CRUCIFY MY LOVE
5.DRAIN
          /9曲
DAHLIA 80
1996年 4stアルバム

3rdから5年のブランクを経て発売された、X-JAPAN最後のアルバム。アルバム4枚、カバーを除けばこの世に出ている音源は35曲程度ながら、彼らがこれ程の知名度と尊敬を受けているという事実に、まず感心させられるが・・・・
その5年間、メンバーによる考えの食い違いなど、実に色々な苦難があったのだろう、このアルバムを聴く度に、「よくこの一枚を出すまでXが解散しないでいてくれた.....」と思わされる。 メンバーの音楽性のベクトルはかなりバラバラで、アルバムとしてのまとまりを見ると正直酷い。 しかし、その曲にクオリティの低いものは一つも存在せず、インストを抜くと9曲(white poemをそう考えるなら8曲)しかないのだが、どれも圧倒的な存在感を見せてくれるということは間違いない。

疾走キラーチューンが2曲のみ、ってのは少し寂しい感もあるが、まずその2曲が余りにスバラシスギル・・・
特に
DAHLIAには終始圧倒される。
8分間がいい意味で本当に長く感じられる、全編ハイテンションで疾走しまくる物凄い曲である。その演奏のアツさで、スルメ度は紅もSilent Jelousyも超えそうな感じ。my best song30に入ってくる日も近いかもしれない・・・・
それと双璧を成すような、X-JAPANの疾走チューンと言えば・・・75万枚を売った
Rusty nail
こちらも文句のつけようのない名曲だ。

このアルバムの曲順だからこそ映える曲が「CRUCIFY MY LOVE」。 「Longing」「Tears」「forever love(achostic vestion)」と、いくらなんでも大作バラードが多すぎるこのアルバムにおいて、このような短調のバラード小品は一際異彩を放っており、とても美しい。 そういえばこのバージョンのforever loveは好きじゃないなぁ....

hideテイスト溢れる「DRAIN」と「SCARS」。こちらも悪くはない。

というわけで、これは疾走チューン、大作バラード、hide型インダストリアルロックナンバー、とほぼ三分化されているアルバムといえる。 初期のクラシカルさがかなり失われてしまったのは残念だが、どの人にとっても気に入る曲があるはず。ベスト盤聴いてない人は是非聴いてください。




1.I'LL KILL YOU
2.SADISTIC DESIRE
3.ALIVE
4.VANISHING LOVE
5.KURENAI
          /7曲
VANISHING VISION 84
1988年 1stアルバム

インディーズ時代のデビューアルバム。9曲ながら、インストが1、2曲、更にこの後「紅」としてリメイクされる「KURENAI」、同じくリメイクされる「UN-FINISHED...」が収録されており、私は5曲入りアルバムといった感じで認識している。 そんなわけで、レンタルで済ましてしまったこのアルバムだが・・・
これが予想以上に物凄い。 あの超名盤「BLUE BLOOD」に込められていた勢いは、この時点で既に相当なものになっていたのだなと思わされた。 スピードチューンはオープニングの「VANISHING LOVE」から「SADISTIC DESIRE」、(レコードでは)B面のオープニングを飾る「I'LL KILL YOU」、どれも甲乙つけ難しの素晴らしさ。 その中でも最も速い
I'LL KILL YOUがこのアルバムのベストチューンかな、と思うんですが。BPM186らしいが、それよりも更に速く聴こえさせるYOSHIKIのドラムの手数の多さに・・・絶句。
そしてこのアルバムだけでなく、Xのバラードの中でも異彩を放っている「ALIVE」も素晴らしい。Xのバラードというと、彼らの身振りからは想像もつかないような美しいメロディ、ピアノの伴奏、大作の曲構成、といったものを思い浮かべる人が多いだろうが、このALIVEはかなりエレキが前面に出されていて、パワーで押してくるのが新鮮で実に良い。

まだまだ発展途上状態の「KURENAI」も中々興味深し。 後の「紅」の整然とした完璧なギターソロはまだ無く荒々しいのだが、こちらのバージョンの方が好きという人の気持ちも分かる気がする。

半インストの「Give me the pleasure」は全国のベースファン必聴の凄いベースプレイを聴ける。
しかしTOSHIの英語が・・・・_| ̄|〇

ともかくあらゆる場面で勢いのある快作。買えばよかったかも......




1.
2.X
3.BLUE BLOOD
4.ENDLESS RAIN
5.Rose of Pain
          /10曲
BLUE BLOOD 95
1989年 2ndアルバム
ファンの8割以上がそう認めるであろう、X-JAPANの最高傑作。インスト含んで12曲、全長60分超えというボリュームあるアルバムは、彼らのオリジナルアルバムではこれだけである。

YOSHIKIによる疾走曲のクオリティは前作より更に上がり、しかも作品中の半分を占めているというのがとにかくスゴイ。 シングルで発売された
Week endも充分良いのだが、この曲も霞んでしまうほどオルガズムという楽曲が印象に残る。J-ROCKの曲でこれ程疾走に命をかけた曲を、他に知っている人がいたら教えてもらいたいものだ。2分47秒の間、YOSHIKIはひたすらBPM=186というとんでもないスピードのビートを刻み続け、TOSHI「Get to オルガズム!!」と叫び続ける・・・・。 このシンプルさに思わずハマってしまう。
 で、それ以上にクオリティの高い疾走曲が
BLUE BLOODである。クラシカルな様々な歌メロを覗かせながらも、ここでも5分間全く止まることの無いYOSHIKIのドラムワークが素晴らしく、ラストのインストパートの部分で興奮が最高潮になる。
 そしてそして更にそれ以上にパワーに溢れ、聴いてて凄まじい破壊衝動に襲われる曲が、5曲目の
Xだ。Aメロ、Bメロ、ギターソロ・・・ どのパートもひたすら格好よく、それら全てを巻き込むようになだれ込む、この曲のサビの持つパワーといったら計り知れない。
 言わずと知れた、代表曲:
は・・・・  説明不要、「ああ、こりゃ逝くわ・・・」って感じ...
 
全長12分の大作
Rose of Painも、ファン必聴モノの一曲。 
ただ、個人的には(Art of life×2+Silent Jealousy+X)÷4+a というかんじの楽曲といった印象で、実際これらの曲と同じフレーズも使われているし、それでも聴くたびに興奮させられてますが、余り新鮮味は感じませんでした。

それにしても、やはりXはYOSHIKI中心のバンドなのだなぁ、と実感させられる一作。
ENDLESS RAINUnfinishedといった、いわゆる泣きのバラード曲も、後のやたら長い大作曲よりまとまっていて良い感じがしました。 
hideの2曲は流石にこれらの曲と比べると発展途上で弱いかなぁ、という感じはしてしまいますが、それでも結構良いっす。
 
間違いなくJ-ROCK史に極太字で記入されるであろう一枚なので、皆さん一聴してみて下さいね。