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「・・・俺は・・・・ダレなんだ・・」。
ある事件がきっかけで彼女を殺され、その犯人を射殺してしまった主人公。その時を境に人格が入れ替わってしまった。バラバラ殺人事件の犯人を射殺してしまった刑事の小林洋介は自分のことを雨宮一彦だと名乗り、小林洋介は死んだというのだが・・・。彼の周りで次々と起こる猟奇殺人事件、自分の中に存在するいくつもの人格、そして悪意、いったい彼に何が待ちうけているのだろうか。
まさに話題のサイコ・サスペンス!実にさまざまな猟奇殺人事件が発生し(脳に花を植え付けたり、マシンガンぶっぱなしてビル占拠したり!)、その一つ一つの死体をかなりリアルに描かれ我々読者を恐怖へと導いていく。ほかにも、いろいろな謎がちりばめられているが、その中でも自分はいったい何者なのかという謎が一番の注目ではないだろうか。もう一つの注目点として、死体描写がかなりリアルに表現しているところだ。どうしても必要だからいうが、このことで出版社と少し問題が生じたらしい。これが影響して凶悪な犯罪が起こるかもしれないと懸念したからだろう。しかし最近の少年による凶悪事件が増えているのは「死」に対する認識・想像力の欠如が原因だと私は考えている。だから、「死」というものを現実的に認識させるために、あえて死体をビジュアル上にリアルに表現したのではないだろうか。巻が進み事件が起こるにつれて、いろいろな人物、過去が入り乱れ交錯し合う。この本の終わりにはすべての謎が明らかにされ、どのような結末が用意されているのだろうか。
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