【コ ラ ム】
No.39/2006.11

美術振興協会の新たな挑戦

望まれる理事者側の柔軟な姿勢


  多くの町民が美術館の今後について深い関心を寄せて見守っているに違いない。顧みると今年の 2 月、町はさし迫った財政再建案の一環として美術館の冬期間休館を提示したが、 3 月の定例議会では開館以来町の文化、芸術、教育さらに観光の各分野における実績を評価し再考を求める意見が相次いだ。5〜 6 月にはポプラの会が牽引役となり町内外で休館撤回の署名活動を展開し約 4500 名の協力を得、陳情書を議会に提出し採択された。 7 月、「おじゃまします。町長です。」対話集会がポプラの会の申し入れで実現した。目的は陳情書採択で示された町民の意思を町長がどう受け止めたのか確かめるためだった。町長と教育長が出席し、激しい応酬もあったが柔軟性ある対応を引き出すことができなかった。

 その後私はこれまでの経緯の中で不合理としか言いようのない次の 2 項目について、町広報添付の用紙を使い町長宛に質問書を送った。

1. 議会採択の陳情書は民意尊重の基本理念から従来は財政面で相応な対応が図られたと聞くが今回に限ってゼロ回答はなぜか。

2. 「いこいの湯」閉鎖反対の陳情も議会で採択されたが、即座に財政上の手当てをしている。なぜこのように片手落ちな処遇をするのか。

 約 1 ヵ月後に長文の回答が来た。しかし私は失望した。役場の論理に終始するだけで質問にきちんと向き合って答えていないのである。行政がするべき地域住民に対しての説明責任はどこへいったのか。

 ところで 3 月議会では、和島、川埜両議員がこの件について質問したが、記録によれば教育長は次のように答弁している。

 「冬期間の休館についてはボランティア組織を含め関係団体の意向も十分にいただきながら今後の管理運営についての検討の中で対応を協議していきたい。」

 まわりくどいきらいはあるが要は休館という非常手段は一方的には決めないし、論議を重ねる過程の中で納得できる方向を見出そうという趣意を表明したものと思う。町民の声を聞き入れ原案見直しの可能性を示唆していると解釈される。真に財政再建を考えるなら町民と対立関係でなく信頼関係の中でこそより確実に成果が上がるだろう。

 9 月、美術振興協会が指定管理者となった。過去十数年の運営主体としての実績をもとに更なる発展を期待するのだが、危惧されるのはこの制度は、理事者が支出する管理運営費を圧縮できることだ。休館によって 390 万円の削減を目論む意図だから、協会は指定管理者となって拡大した経営の裁量権をもとに従来事業の見直し、新規事業の創出等当面は休館案撤回のため 390 万円を目標に収入増を図らなければならないだろう。これが維持費や人件費にしわ寄せとなればサービス低下は目に見えるし職員の意欲低下にもつながってくる。まさに協会の真価が問われているのである。 

 10 月 25 日、協会とポプラの会の懇談会開催。情報交換をし美術館の将来像を確かにするためだ。滝沢会長代行から冬期間休館の最悪事態を避けるため、入館者増、収入増につながる具体案を模索中と詳細な説明があった。前田館長は議会の情勢はきびしいとの見方だ。協会とポプラの会が今後定期的に会合を持つことで合意したが、美術館の現状と目指す方向が理解され両者にとって大きな収穫となった。議会の審議にも目を離せないが、協会のオリジナルな活動に期待したい。

O.Y
No.39/2006.11

第 6回 美術館講座感想

 美術館講座最終回のこの日、札幌から参加された 8名(インターネットで知り、旅行をこの日に設定)とともに20余名でスタート。普通では絶対目にすることの出来なかった館の裏側を拝見。建物については、岩内の土地柄「駅跡地の場所にふさわしいものを」と、木田さんのご長男が設計。かまぼこ型の屋根は汽車を、円い中庭は機関車を方向転換させるための場所をイメージ。思い出を十分取り入れた美術館であることも初めて知り、「あゝなるほど」と納得、感心しました。
 この講座は、個人美術館だからこそ出来た企画だったかもしれない。そして、皆勤賞を戴いた 7人が「一言ずつ」ということになり、話の中で岡部学芸員への感謝と御礼の言葉が続きました。この企画がどんなに有意義で感動をもらったかの一言に尽きると考えます。勿論、私もそのひとりです。解散のとき、「また何か企画してほしい。その時は是非参加したい」と話していた方がいましたが、嬉しい一言でした。岡部さんにいっぱいの感謝をこめて、わたしの講座受講を終わりたいと思います。

Y.S


 

 
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