| 川柳でんでん太鼓 | ||||
| 著者名 : | 田辺聖子 | |||
| 出版社 : | 講談社 | |||
| 発行年 : | 1985.10 | |||
| N D C : | 911 | |||
| ひとこと : | 川柳は人間の喜怒哀楽からできている。 | |||
|
口の端にのぼっては人を笑わせたり、しみじみさせたりする川柳を、著者は庶民の共有財産と呼ぶ。
「切れば血の出るような川柳を、ガラスケースに入れて干ものにすることもなかろう」 「共感と笑いを共有したい気持ちが強い」 という川柳好きの著者によって、明治から昭和までの佳句を味わいながら、川柳の歴史も学べる一石二鳥の好著である。 命まで賭けた女てこれかいな 松江梅里 なんていう川柳に、軽やかに機微をとらえた鑑賞文がついてうなずけば、戦時中に発表された反骨の川柳もある。 手と足をもいだ丸太にしてかへし 鶴彬 特高を恐れず鶴彬の川柳を主宰誌に載せ続けた女性はこんな句を遺している。 国境を知らぬ草の実こぼれ合い 井上信子 ほのほのと安堵する川柳もある。 愛されて巡査で終わる桃の村 摂津明治 どうにも目を離せない川柳作家もいる。 五月闇生みたい人の子を生まず 時実新子 骨肉のがんじがらめよ鎌の月 時実新子 れんげ菜の花この世の旅もあと少し 時実新子 子を産まぬ約束で逢う雪しきり 森中恵美子 いのししの右も左も風ばかり 森中恵美子 川柳を広めんと著者の打つでんでん太鼓はよく響く。紹介された646句はわたしのあちこちに共鳴してひとりでに広がっていこうとする。ああ、ほんと。川柳は、人間の喜怒哀楽からできている。 人の世や嗚呼にはじまる広辞苑 橘高薫風 |
||||
| (ソーダ) | ||||
|
|