ニジンスキー・ガラ 2004年6月27日(日)
− ハンブルクでの30年 −
この日のプログラムはバレエ団のウェブ・サイトに載っていたの(イヤー・ブック)とは多少違っていました。またプログラムには載っていませんでしたが、“Old
Friends”にサイモンとガーファンクルの曲名、マーラーの第三番にジェニファー・グベの名前を付け加えました。
第30回 ニジンスキー・ガラ
指揮 クラウスペーター・ザイベル
演奏 フィルハーモニッシュ・シュターツオーパー
プロローグ デジール(1973) より パ・ド・ドゥ |
音楽 アレクサンダー・スクリャビン 振付 ジョン・ノイマイヤー ピアノ レーラ・アウエルバッハ (プレリュードCVの作曲者) |
ジョエル・ブーローニュ ピーター・ディングル |
第一部 ダンスで表現されるシェイクスピア ウィリアム・シェイクスピアのテーマによるジョン・ノイマイヤーの振付作品 |
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ロミオとジュリエット (1971・1974・1981) より パ・ド・ドゥ |
音楽 セルゲイ・プロコフィエフ 衣裳 ユルゲン・ローズ |
ジュリエット エレーヌ・ブシェー ロミオ ティアゴ・ボーディン |
ハムレット(1997) より ハムレットの別れ |
音楽 マイケル・ティペット 衣裳 クラウス・ヘレンシュタイン |
オフィーリア アンナ・ポリカルポヴァ ハムレット ロイド・リギンズ |
真夏の夜の夢(1997) より パ・ド・ドゥ |
音楽 フェリックス・メンデルスゾーン 衣裳 ユルゲン・ローズ |
ハーミア バルボラ・コホウトコヴァ (ボストン・バレエ) ライサンダー カーステン・ユング |
お気に召すまま(1985) より 羊飼いの田園詩(パ・ド・ドゥ) |
音楽 ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 衣裳 クラウス・ヘレンシュタイン |
フィービー アデラ・ポエルトヴァ シルヴィウス ヨハン・ステグリ |
お気に召すまま(1985) より パ・ド・ドゥ |
音楽 ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 衣裳 クラウス・ヘレンシュタイン |
ロザリンド マーガレット・イルマン オーランドー グレゴール・ハタラ (ウィーン州立オペラ・バレエ) |
オテロ(オセロ)(1985) より パ・ド・ドゥ |
音楽 アルヴォ・ぺルト (鏡の中の鏡、Mirror in a Mirror) 衣裳 ジョン・ノイマイヤー ヴァイオリン アントン・バラコフスキー ピアノ レーラ・アウエルバッハ |
デズデモーナ ジジ・ハイヤット オテロ ガマル・グーダ |
第二部 お気に入り・・・バランシン、友、“Old Friends” そして 別れ |
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エリザベスに(2004) | 音楽 アントニン・ボヴォルザーク (スラヴ舞曲 第2番) 振付 ジョン・ノイマイヤー 衣裳 ジョン・ノイマイヤー |
エリザベス・ロスカヴィオ アレクサンドル・リアブコ |
ヨセフ伝説(1977) より 3つの抜粋 |
音楽 リヒャルト・シュトラウス 振付 ジョン・ノイマイヤー 衣裳 マルコ・アルトゥーロ・マレリ |
ヨセフ 服部有吉 ポティファーの妻 ラウラ・カッツァニガ 天使 オットー・ブベニチェク |
シルヴィア(1997) より パ・ド・ドゥ |
音楽 レオ・ドリーブ 振付 ジョン・ノイマイヤー 衣裳 ヤニス・ココス |
シルヴィア エレオノラ・アッバニャート アミンタ 二コラ・ル・リッシュ (パリ・オペラ座バレエ) |
春の声 | 音楽 ヨハン・シュトラウス 振付 サー・フレデリック・アシュトン |
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボルク (ロイヤル・バレエ、ロンドン) |
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ | 音楽 ピョートル・I・チャイコフスキー 振付 ジョージ・バランシン |
ディアナ・ヴィシニョーワ (マリインスキー劇場バレエ) ウラディミール・マラーホフ (ベルリン州立バレエ、監督) |
Old Friends Opus 100 for Maurice (1996) |
音楽 サイモン&ガーファンクル (Old Friends、明日にかける橋) 振付 ジョン・ノイマイヤー |
イヴァン・リスカ (バイエルン州立バレエ、監督) ケヴィン・ヘイゲン イヴァン・ウルバン、アレクサンドル・リアブコ |
第三部 マーラー、音楽が私に語りかけるもの ジョン・ノイマイヤーのマーラー作品への振付から |
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ロンド より 第三部 (1970/1973) |
衣裳 ジョン・ノイマイヤー 音楽 テープ録音 |
へザー・ユルゲンセン、ジョエル・ブーローニュ、ニウルカ・モレド セバスチャン・ティル、アルセン・メグラビアン |
リュッケルト歌曲集 より ほのかな香りを(1976) (Ich atmet' einen linden Duft) |
バリトン ラッセル・ブラウン | シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ |
子供の不思議な角笛 より 浮世の暮らし(1989) (Das irdische Leben) |
衣裳 ジョン・ノイマイヤー アルト Yvi Jaenicke |
カーステン・ユング |
子供の不思議な角笛 より ラインの伝説(1989) (Rheinlegendchen) |
衣裳 ジョン・ノイマイヤー バリトン ラッセル・ブラウン |
へザー・ユルゲンセン アンナ・ポリカルポヴァ |
子供の不思議な角笛 より 美しいトランペットの鳴り渡るところ(1989) (Wo die schoenen Trompeten blasen) |
衣裳 ジョン・ノイマイヤー アルト Yvi Jaenicke |
へザー・ユルゲンセン ロイド・リギンズ |
マーラーの第四交響曲 より 第三楽章 (1977) |
衣裳 マルコ・アルトゥーロ・マレリ |
ルチア・ラカッラ シリル・ピエール (バイエルン国立バレエ、ミュンヘン) ピーター・ディングル、服部有吉、 男性アンサンブル |
マーラーの第三交響曲 より 第六楽章 (1975) |
衣裳・照明 ジョン・ノイマイヤー | シルヴィア・アッツォーニ、イリ・ブベニチェク アンナ・グラブカ、ジジ・ハイヤット、マリアンヌ・クルーズ、シャンタル・ルフェーヴル、コリーン・スコット、ジェニファー・グベ エデュアルト・ベルティーニ、ガマル・グーダ、ケヴィン・ヘイゲン、イヴァン・リスカ、ヤヌシュ・マゾン ハンブルク・バレエ |
そして、カーテンコールがうれしい驚きでした。バーンスタイン・ダンスの背景と音楽で、マーラーの第三交響曲に出ていなかったロイド・リギンズがハムレットの衣裳で登場。そして他のダンサーもバレット・ターゲでのいろんな衣裳で登場。ますます盛り上がりました。熱心なバレエ愛好家の女性が舞台の袖に置いた花束に添えられたカードを見て、ケヴィン・ヘイゲンがそれぞれ配っていました。ジョン・ノイマイヤーがダンス・マラソン、といっていましたが、6時に始まって、2回の休憩を挟んでいるとはいえ、終わったのは11時近く。長い長い一日と、2004年のバレット・ターゲはかくして終了したのでした。
また、プロローグの後に、カーステン・ユングがファースト・ソリスト(プリンシパル)になる(またはなった?)とジョン・ノイマイヤー氏から発表がありました。おめでとう、カーステン。
エリザベス・ロスカヴィオの最後の舞台はアレクサンドル・リアブコとのパ・ド・ドゥでしたが、彼らがパ・ド・ドゥを踊るのを見るのは初めて(だと思う)でしたが、ふたりの相性のよさにびっくりしました。そしてエリザベスはこんなにもまだまだ踊れるのにと、彼女の引退が残念でなりません。彼女は引退後はハンブルクでバレエ教師になるそうです。
また、アデラ・ポエルトヴァはプラハに帰るといっていました。帰国後どうするのかは聞きそびれてしまいました。彼女はガラでヨハンと“お気に召すまま”のパ・ド・ドゥを踊ったときは鬘だったので気が付かなかったのですが、前々日まで長い髪だったのに、カーテンコールでは、ショート・カットになってていました。
現ダンサーも素晴らしいのですが、やはり元ダンサーらの人生の厚みを帯びたパフォーマンスには表現というのは単にテクニックではないと、改めて痛感させられました。ジジ・ハイヤット、ガマル・グーダのオテロのパ・ド・ドゥの素晴らしさ、そしてOld
Friendsではいくらサーシャ(アレクサンドル・リアブコ)とイヴァン(・ウルバン)ー二人ともロシア人!(と思ったのですが、正確にはサーシャはウクライナ人)ーが素晴らしくとも、ケヴィン(・ヘイゲン)と(イヴァン・)リスカの前にはまだまだくちばしの青いひよこにしか思えないほどでした。また、マーラーの第三交響曲では彼らが黒のスーツとロングドレスでステージに登場しただけで圧倒されてしまいました。
これはこのサイトの共同執筆者とも常々いっているのですが、ハンブルク・バレエもNDTVにならって、そういう小さいカンパニーを立ち上げてもらいたいものです。
(追記)2003年の世界バレエ・フェスティバルのBプロを見られた方には、マラーホフとヴィシニョーワのチャイコフスキー・パ・ド・ドゥ!と思われるでしょう。今回の二人の衣裳は、ヴィシンヨーワは同じオレンジのものでしたが、マラーホフの歩み寄りが見えて、ベストはおとなしい紫系のもにだったけれどもシャツは白っぽ(かったかな)く、タイツは薄いグレイのものに変わっていました。統一感ある衣裳になるのはいつのことでしょう。
正直に云いましょう、ハンブルクでシルヴィアを見たときは、あまり面白くなかったのですが、今回、ル・リッシュとアッバニャートのパ・ド・ドゥを見て今度はパリ・オペラ座でもう一度みたくなりました。
(S)