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 物語 ナポレオンの時代

Part 1
第一統領ボナパルト


第1章 統領政のスタート


 7.パリの支配


 財政改革にとりくみながら、ボナパルトは社会を落ち着かせようと努力していた。

 すでに述べたように、当時のフランスは混乱の海を漂流する船である。
  船を安全航行させなければならない。
 社会秩序を回復しなければならない。
 


 
秩序とは、政府に権威があれば後からついてくるものである。

 では、政府の権威とはなにか?
 かんたんに言えば、政府がある方針を示して国民がそれに従うなら、政府に権威があるといえよう。

 ところが、当時のフランスでは、地方はパリに従順でなかった。
 たとえば、
地方行政のトップは選挙で選ばれ、事後に中央政府に任命されていた。
 革命後の議会がめざしたのは(公安委員会の時期を除けば)、連邦主義だった。
 現代風にいえば、地方分権だった。

 

 ボナパルトはこれをやめて、みずから任命する知事を各県におくことにする。

 知事は政府の代表者であり、県民を代表するのではない。
 その仕事は国の地方事務を統括することである。
 ボナパルトはそう考えていた。

 権力をパリに集中させる。
 
すなわち、中央集権国家をめざしたのである。
   (続く