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 物語 ナポレオンの時代

Part 1
第一統領ボナパル



3.若き国家元首

 1799年12月に、新しい憲法がつくられた。

 政府の首脳は3人の統領。ゆえに、統領政と呼ばれる。

 統領は3人だが、第一統領に権限が集中していて、第二統領、第三統領は現代アメリカの副大統領のような感じ。

 第一統領になったのは、大方の予想どおり、ボナパルトである。30歳で国家元首になったのだ。

 国家も含めて、いかなる組織のリーダーにとっても、経験はだいじな要素であろうが、知力と気力、それに決断力も重要である。

 若さの長所は体力である。体力がなければ、気力も決断力も衰える。
 政府の首脳はいくつもの会議に出なければならない。
会議は早朝にはじまることもあり、深夜に終わることもある。

 大臣や参事院の評議官のなかには、注意力が散漫になったり、あくびしたりする者もでてくる。30歳の第一統領に比較すれば、かれらのほぼ全員が年長者なのだ。

 居眠りをする者がいると、ボナパルトは憤慨した。すばやくその背後にまわり、「さあ、目をさますのだ!」といいながら、背中をこづく。 そのようなとき、よく口にしたのは「国からもらっている給料分の仕事はしてもらいたい!」という言葉だった。 
 (続く



第1章 統領政のスタート