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物語
ナポレオン
の時代


  
プロローグ  ブリュメール18日のクーデタ





 4.機に乗じる



 モロー将軍は政府を倒す計画に乗らない。
 ボナパルトは乗った。

 シエイエスのほうから積極的に誘ったわけではない。
 両者のあいだを取り持つ者(タレーランやリュシヤン・ボナパルトなど)がいて、二人の連携がなった。

 クーデタのシナリオは、主としてシエイエスが書いたもの。
 ボナパルトは、かなり前から、強い政府をつくりたいと考えてはいた。しかし、そのためのプログラムあるいは青写真をもっていなかった。

 
 だからどう動けばよいのかわからない。
かれは、すこし躊躇してから、シエイエスと手をくむことにした。機に乗じたのである。

 
 準備段階では、シエイエスやそのまわりの改憲派の政治家にとって、ボナパルトは「剣」にすぎなかった。「頭」である自分たちの手足のようなものだった。

 ところが、クーデタのあとで力関係が逆転する。新政府のトップになったのは、意外にも30歳の将軍だった。
        (続く