四奉請 (しぶじょう)


  奉請十方如来入道場散華楽  ほうぜいしほうじょらいじとうちょうさんからく

  奉請釈迦如来入道場散華楽  ほうぜいせきじょらいじとうちょうさんからく

  奉請弥陀如来入道場散華楽  ほうぜいびだじょらいじとうちょうさんからく

  奉請観音勢至諸大菩薩入道場散華楽  ほうぜいかんにんせいししょたいほさじとうちょうさんからく




 [ 読み下し文 ]

(しょう)(たてまつ)十方如来(じっぽうにょらい)、道場に入りたまえ。散華楽(さんからく)

請じ奉る釈迦如来(しゃかにょらい)、道場に入りたまえ。散華楽。

請じ奉る弥陀如来(みだにょらい)、道場に入りたまえ。散華楽。

請じ奉る観音勢至諸大菩薩(かんのんせいししょだいぼさつ)、道場に入りたまえ。散華楽。



 [ 訳 ]

   お願い申し上げます、十方世界(=全世界)にいらっしゃる仏様、どうかこの道場においでください。(はな)を散じてお迎え致します。

   お願い申し上げます、お釈迦様、どうかこの道場においでください。華を散じてお迎え致します。

   お願い申し上げます、阿弥陀様、どうかこの道場においでください。華を散じてお迎え致します。

   お願い申し上げます、観音・勢至、及び諸々の菩薩(ぼさつ)様、どうかこの道場においでください。華を散じてお迎え致します。


                                                 
  説明


  心身ともに清らかになり、仏・法・僧に帰依する心の準備が整ったなら、次はこの奉請(ぶじょう)です。

  この偈文(げもん)は、仏様や菩薩様に勤行(ごんぎょう)の道場へ来て下さることを「()(たてまつ)る」内容になっています。

 四回に分けて「奉請」するので、「四奉請(しぶじょう)」といいます。


  まず“道場”についてです。

 道場とは、お寺の本堂や修行道場のことを指しますが、本来の意味は「仏を修し行う所」ということですので、

 どこであっても勤行や修行を行えばその場所が“道場”になります。

 ですから、ご自宅のお仏壇に向かって朝夕のお勤めをなされば、皆様のご自宅も“道場”になるのですね。

  その道場に仏様や菩薩様をお迎えするためにお唱えするのが、この「四奉請」です

 お寺の本堂やお仏壇には阿弥陀様がお(まつ)りされていて、改めてお迎えする必要がないようにも思われますが、

 勤行を始めるに当たり、仏様を迎え讃える気持ちを新たにするために、この偈文(げもん)をお唱えします。


  お呼びする順番は、まずはすべての仏様、続いてその中でも特にお釈迦様、阿弥陀様、

 そして阿弥陀様の両脇にいつもいらっしゃる観音菩薩と勢至菩薩、さらにそれ以外の菩薩様方です。


  後半の“散華楽”とは、仏様をお迎えする準備のことです。

 お客様をお迎えする時に、お花を飾ったりして部屋を整えるように、

 仏様をお迎えする場合、華を床や地面に散らして道場を飾り、その上を仏様に歩いていただく
のです。

 今の時代でいう“レッドカーペット”のようなものですね。ですからここで花びらを散らす“散華”をします。

 ただ、本当に散華をするのは大法要の時ぐらいですので、普段は心の中で花を散らすつもりで「散華楽」とお唱えしましょう。

  また最後の“楽”には「あぁ、喜ばしいことよ。」というような意味合いと、「音楽」の意味があります。

 喜ばしい気持ちで清らかな音楽を(かな)でて、仏様をお迎えしたいということですね。


  仏様方、どうぞこの道場においでください。お花を散らしてお迎え致します。

  ひらひらお花を散らすつもりで、この偈文をお唱え致しましょう。


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