総回向偈 (そうえこうげ)


  願以此功徳  がんにしくどく

  平等施一切  びょうどうせいっさい

  同発菩提心  どうほつぼだいしん

  往生安楽国  おうじょうあんらっこく




 [ 読み下し文 ]

願わくば此の功徳を以て

平等一切に施し

同じく菩提心を発して

安楽国に往生せん



 [ 訳 ]

   どうか、この〔念仏の〕功徳(くどく)をすべての人々に平等に施し、

  〔それによって私たち皆が〕ともどもに菩提心(ぼだいしん)〔=悟りを求める心〕を(おこ)して、極楽浄土に往生できますように。


                                                 
  説明

   念仏一会の次は総回向偈(そうえこうげ)です。

 これは、『念仏一会』で得た功徳を自分だけのものとするのではなく、多くの人に回向して(回し向けて)、共に極楽往生を目指しましょう、

 という趣旨の偈文です。

 
  まず、前半の“此の功徳を以て”とは、『念仏一会』で得た功徳によって、ということです。

 それを“平等一切に施し”ということで、自分の往生のためだけにとどめるのではなく、(すべ)ての人々に分け隔てなく平等に回し向けて、という意味です。


  そして、次に出てくる菩提心とは、極楽浄土において、阿弥陀仏の御前で必ず悟りを開こう、という願いの事です。

 浄土宗の教えでは、私たちのような凡夫(ぼんぶ)(平凡な普通の人)は、欲望や執着などの煩悩を断ち切ることを目指す厳しい修行には到底堪えられず、

 この身のままで悟りを得ることはとてもできないからこそ、お念仏をお唱えし、その功徳によってまず極楽浄土に往生し、その上で悟りを得ようと

 願っています。


 ですので、後半の“同じく菩提心を発して安楽国に往生せん”とは、私たち皆がともどもにそのような菩提心をおこして、

 極楽浄土に往生できますように、阿弥陀様の前で悟りを開けますように、と願っているのです。


 
  “自分だけでなく皆そろって、極楽浄土に往生できますように。”

 南無阿弥陀仏と唱える人が皆このような思いを持っていられれば、平和な世の中になりそうですよね。


  この後の十念までで、正宗分が終わり、次からは締め部分の流通分に入ります。





 




  

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