摂益文 (しょうやくもん)


  光明  こうみょうへんじょう

  十方世界  じっぽうせかい

  念仏衆生  ねんぶつしゅじょう

  取不捨  せっしゅふしゃ




 [ 読み下し文 ]

如来(にょらい)の光明は(あまね)く十方世界を照らして

念仏の衆生(しゅじょう)を摂取して捨てたまわず



 [ 訳 ]

   (阿弥陀如来)の光明は、あまねく十方世界(全世界)を照らして

   念仏をする人々を救いとり、捨て置くことはない。


                                                 
  説明

  読経の後は、「日常勤行式」の中で最も大切とされる「念仏一会(ねんぶついちえ)」に進みます。

 そして、その前にお念仏の功徳を示すこの「摂益文(しょうやくもん)」を唱えます。


  阿弥陀仏は仏になられる前に四十八の誓願(せいがん)(“こういう仏になりたい”と願い、誓われた理想)をお立てになり、

 厳しい修行の末にその誓願を実現され、仏となられました。これは『本誓偈』の説明の中でも少し紹介致しましたね。

  その四十八願の第十二願に“光明無量(こうみょうむりょう)の願”があります。

 これは“自分が仏となる以上、自分の放つ光明に限界があったり、全世界を照らすことができなければ仏にはならない”というような意味の誓いです。

 ですので、仏となられた今はこの誓いも実現され、阿弥陀仏の光明が全世界に行きわたっていることになります。

 これが、この摂益文の前半に書かれている「光明徧照 十方世界」です。


  そして後半の「念仏衆生 摂取不捨」とは“お念仏をする人々を決して捨て置くことはない”ということです。

 阿弥陀様の光明は、先ほど説明しました通り、全ての世界へ届き、いつでもどこでも私たちを照らして下さっているのですが、

 その光にお救いいただくためには、私たちがお念仏をお唱えすることで、“お救い下さい”という合図を送らなければいけないのです。

 私たちがお念仏をお唱えすれば、阿弥陀様は必ずそこに光明という御手を差しのべて救って下さるのです。


  つまり、“阿弥陀様は必ずお救い下さる”と信じてお念仏をすれば、必ずその光明で導き救って下さるということですね。


  阿弥陀様の光明を信じて、次の「念仏一会」でしっかりお念仏をお唱え致しましょう。



  

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