オーディオ2信号は、送信機の評価をする上で必須のアイテムとなります。昔の送信機では歪=-30dB位で、信号源の歪も-50~60dB位あれば十分でしたが、昨今の機器、又自作機に対しての評価となると、ファイナル出力で-60~70dB機器も存在するため、歪<-80dBの信号源が必要となります。元信号はサインウエーブで生成されます

                

サインウエーブを振幅と位相を表現すると、上図のような円となります。この円が真円である程、歪の少ないサインウエーブとなる。オーディオ2信号は、一般的に1KHzと1.5KHzの2信号で評価されることが多く、C/R発振器で構成される。C/R発振器で歪の少ない信号を発振させる回路として、一般的にウイーンブリッジ回路が使われます。

    
    
ウイーンブリッジ発振器では、アンプの利得制御を安定に行う手段がコツとなります。発振が安定な領域で歪の少ない帰還量に設定する必要があります。もっど歪の少ないC/R発振回路で、測定器C/R発振器等で使用されている’状態変数形CR発振器’があります。
 
        COS/SIN出力 

本回路は、非常に歪の少ない(-80dB以下)信号は得られますが、2信号(1KHzと1.5KHz)となると、これの倍の回路が必要となり、かなり回路も複雑化し部品点数も多くなります。本回路のもう一つの特長が90度遅延した2相信号として取り出すことも出来ます。


そこで、私は10年以上前から、オーディオの2信号が必要な時はウイーンブリッジを変形した下記のような2信号発振回路を使用しております。

                          
               出力波形             出力歪  
       
定数を指定のまま製作した場合は、各信号(1KHz/1.5KHz)の出力は、各オペアンプ出力①番/⑦番にて6Vppとなるように各半固定VR(VR2/VR3)を調整します、ZD1/ZD2のツェナー電圧により最適出力振幅が変わります。フィードバックAGC機能としてトランジスタ(Q3/Q4)は、コレクタ-エミッタ間の可変抵抗値として直線性の優れたトランジスタを採用しております、一般的な小信号用トランジスタやFETでは、-80dB以上の歪を得ることが出来ません、色々実験しましたが-60~-70dBが限界でした。又サーミスタ(TH1/TH2)は温度環境による安定化を図ったもので、オペアンプのパッケージとプリント基板の間に挟み込みます、実機運用して必要なければ削除でよいのでは。Q1/Q2はNPNタイプのデジトラで、入力に5V以上の電圧を印可することにより、各発振が停止します。よって2信号として動作させたい場合は、どちらのSWもOFFにしておく。この状態で2信号の出力は-85dB以上の歪信号で発振します。過剰品質かも知れませんが、-70dB送信機のテストには必要となります。
オーディオ2信号は一般的に1KHzと1.5KHzが使われますが、例えば精度の良い発振周波数1.00KHzと1.50KHzだとすると、3次歪=2KHz、5次歪=2.5KHz、7次歪=3KHzの場所に出現します。一方、1KHzの倍の高調波=2KHz、1.5KHzの倍の高調波=3KHzであり、3次歪と7次歪の位置と各高調波の位置が重なり、正確な昆変調歪の測定が出来なくなる。そこで例えば、950Hzと1450Hzであれば位置が重なることは無い、但し、2信号発振器はCR発振器ですから、計算値=1KHzと1.5KHzで行っても、5%誤差部品を使用しますから、ピッタリとは発振しませんから大丈夫です。豆知識として知っておくと便利です。