現状、受信機の分配器としてはPassive分配で2分配しています。3dB減衰は我慢出来ますから、そのまま使用していますが、分配端子に自作したダイレクト受信機を接続した場合、ダイレクト受信機のキャリアがANT端子へリークするため、もう一方の受信機で波形モニターした場合に、キャリアポイントに20~30dBで現れてくる、これが受信した電波(相手電波)のキャリア漏れなのか、又送信した場合、自分の電波のキャリア漏れの確認が出来ない。そこで、ローカル局は同じダイレクト受信機を分配器へ接続しているが、波形モニター上には出てこないと言われ、確認したところPassive分配ではなくActive分配(軍用の分配器)を使用されていることが判明し、何とかPassive分配からActive分配へと移行する必要があり、色々検討してみました。現在2分配構成で運用している構成図です。

 

RX2からキャリアリークがRX1へ漏れ、波形モニター上に出てくる。そこで最終的には下図のような運用を行いたいと考えています。

 

分配器をActiveで構成するため挿入損失は犠牲にすることなく0dBとすることが出来る、要求される項目は、強入力時の歪/周波数特性(HF帯の30MHz)/NF値 これ等が満足されるものが要求される。秋月に面白そうなIC(6dBビデオアンプ50MHz帯域)があったので使えそうか確認してみた、NFが全く話にならず、その他はOKであったが、そもそもビデオ出力1Vppで仮にS/N=-90dBと想定すると、このノイズはANT端子レベルではS=5(-93dBm)に相当し、S=0からノイズが浮き上がってくる。そもそも、このレベルの検討では、きっちりとしたシールドルー等を設けて行わねば具体的な数値測定は出来ない、そのため、受信機のSメーターと、波形モニターのノイズ量と受信機からの聴覚ノイズ量で判断する。そこで、ディスクリート(FETプッシュプル)で検討してみた、+6dBピッタリとはいかないが、歪/F特/NF ともに良好で、これはいけると判断しシールドケースに収納し3分配しANT端子はダミーとし、Active回路の電源=OFF/ONで確認してみた、50mA位まで電流を流すとNFもハッチリで、一旦バンザイをした、さて、何が問題であったか、私が一番の目的としているダイレクト受信機からのキャリアリークが波形モニター上に現れてはNGなのだ、ダイレクト受信機をONしてみると、15~20dB出現してくる、出力バッファ等を設けたがNFが犠牲となってくる。これじゃ駄目じゃと悩んでいたら、オペアンプ系で最近良好なデバイスがあるから確認してみようと思い、いざ、実験してみると素晴らしいじゃありませんか、デバイス出力は低インピーで1デバイスにまとまっており私の第1目的は達成出来るはず、気になるのはNFでFETプッシュプルとほぼ差はありませんでした。これならいけそうだ、シールドケース内に試作し、各項目のデーターを確認してみることにする。

【試作したActive分配器】

 

回路図
1デバイスで2分配も可能だが、通常の分配器として使用する場合は1デバイスから2分配した方が効率がよい、私の場合は他受信機からの漏れを無くす必要があるため、1分配/1デバイス構成にしました。
                

① 強入力時、S=9+60dB(-13dBm)の分配器入力と出力データー
挿入損失=-0.2dB、IMDは全く問題なし、入力=出力
 

② 周波数特性
3MHzを基準に30MHzにおいては-1.4dBであり、これも問題なし。
                         

③NF(ノイズ・フィキュアー)
ANT端子はダミー接続(オープンでもよい)し、Active分配器の電源=OFF/ONした時の分配器出力のノイズ特性。電源=ONした時は1~2dBは増加した気配はする。ビデオ分配器の時のように明らかに20dB位の増加と言った現象はない、後は受信機を使っての確認作業をする。
 

Active分配器の電源=OFFした時とONしたときで、受信機の波形モニター上のオーディオノイズとSメーターを比較(ANT端子=ダミー)する、オーディオノイズでは上のRFで比較した時と同様に1~2dB浮いたように見える、しかし、切り替え時に確かにノイズトーンが若干変化したような気がするが、殆ど変化なし、Sメーター上では全く変化なし、実機では本来ANT接続するし、まったくもって非常にFBです。
            分配器電源=OFF時                          分配器電源=ON時 
 

④ ダイレクト受信機からのキャリアリークのデーター
先ず、現行運用しているPassive2分配器接続で波形モニター上のキャリアポイントは、ノイズフロアから約38dB位出てくる、ANT端子はダミーで計測したもので、ANTを接続すればノイズが浮いてくるから20dB位となる、しかし、送信エアモニター上では厳しく出てくる。
 

最終的に、この度、試作したActive分配器でのキャリアリークの確認
ダイレクト受信機の電源=ONにした時にキャリアポイントにはノイズフロアから全く何も出てこないことが確認出来た。