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【設計仕様】
  1. NEO6M出力の1PPSを10KHzとし、10MHzの分周10KHzと比較し、10MHzをGPS出力の10KHzに位相ロックさせる。
  2. クロック出力は、10MHz2系統と10KHz2系統。
  3. 10KHz出力は、NEO6Mからの10KHzを出力させるか、10MHz分周の10KHzを出力させるかスイッチで切り替え可能とする。
  4. LCDへの表示項目は、衛星のリンク数/西暦年月日/P_LOCK状態/JST時分秒 の計4項目。
  5. USB変換インターフェイスを付加させる。
  6. 電源=+5V単一電源 (消費電流=130mA)

【ブロック系統図】

         

 電源投入時に、NEO6Mの1PPS出力は10KHzDuty=50%となるようにコマンド設定し、固定で使用する、無線機の基準クロックとして10KHz、その他、測定機等の基準クロックとして10MHzが使用出来るようにする。又NEO6MのTXD/RXDは本機CPUのインターフェイスと、USB変換器への使用も出来るようにし、パソコンから’U-CENTER’のソフトも起動出来るようにする。

【回路構成】
 NEO6Mから出力される10KHzは3.3Vパルスであり、又10MHz-VCXOの電源=3.3Vで10MHz出力も3.3Vパルスである。よって、LCD/CPU/その他の電源も3.3Vに合わせれば良いのですが、手持ちのLCDが5V用で、10KHz/10MHzの出力パルスも5V仕様にしたかったため、5V電源としました。そのため、NEO6M出力の10KHzと10M-VCXOの10MHz出力は、位相比較器として使用している74HCT86の一部を利用して5Vのパルスにします。10M-VCXOの出力10MHzは、12bitバイナリーカウンター(74HC4040)で1/500分周(20KHz)します、本ICは最大1/4096分周まで可能なICですが、一般的なカウンターで分周する場合は1/2^n分周ではデューティー50%を得ることは可能ですが、それ以外の分周では、50%キープが出来ないポイントが発生します。そのため、目的信号としてデューティー50パーセントを希望する場合は、目的の2倍分周まで一旦行い、最後に1/2分周してデューティー50%とする。こうして得られた10KHzとNEO6Mからの10KHzを74HCT86(X-OR)で位相比較します。
位相比較器(74HC86)は、Xclusive-ORゲートで下記のような動作となります。



0度〜180度検波で、活性領域内においては入力信号の2倍の周波数で出力されます、出力信号をローパスフィルター経由すると0V〜5V制御電圧となり、この信号でVCXOを制御することにより位相ロックさせます。本位相比較器の特徴は、入力の片側信号を非接続した場合(ベタL、又はベタH)の出力信号は、もう一方の入力信号がそのままデューティー50%で出力されます、これをフィルター経由すると、出力電圧は1/2電圧となり、基準信号又は比較信号なしの時のUN-Lock状態と、正規のLock状態でのVCXOの周波数のズレ分が最小に抑えられます。つまり、ロックアップタイムの短縮も図れます。このことにより、UN-Lock状態での片側入力信号は、デューティー50%で供給することが望ましいです。
10MHz信号の出力は、VCXO信号しかありませんが、10KHzはNEO6M出力の10KHzとVCXOからの分周10KHzの2種類があり、10KHzの出力信号はスイッチ(リレー)で切り替えるようにしました。TXD/RXDインターフェイスはUSB用とCPU兼用で使用出来るようにし、PCからのソフト起動も出来るよう端子を設けました。

                    回路図                   部品表


【NEO6M】
 以前、GPSユニット(TU30/TU60)を使ったGPS基準信号発生器を制作しましたが、この時には、もっと以前は何万円もするGPSレシバー等を購入し、又はOCXOやルビジュウム等で高価な基準クロックを利用していたため、安い印象がありましたが、今回は’NEO6M’品番で、アマゾンやオークションで非常に安価(¥1680)に販売されています、最近ではネットで¥780で購入出来ます。私の知り合い各局さんも複数台購入され、私も2台購入しました。2台購入したのも理由が有りまして、1台購入して動作テストをしました。

               

本ユニットはRS232Cの端子が出ており、USB変換ユニットを経由してPC接続し、PCにU-CenterをインストールすればGPSの測位の結果や地図との連携をモニターに表示することが出来ます。基本的にはPC接続しないで、電源(+5V)を印加しアンテナ接続していれば、約2分位で数個の衛星とリンクし、精度ある基準クロック1PPSが出力します。デフォルト状態では1PPS(1Hz)出力となります、コンフィグ設定で出力周波数は任意に設定出来ますが、安定に使用できる範囲としては10KHz位までです、それ以上だと安定さを欠きます、いずれにしても10KHz出力させるにはPC接続し
て出力が10KHzとなるようコンフィグ設定する必要があります



変換モジュールとNEO6Mを接続するには
             TX  →RX
              RX →TX
             GND→GND
PC-USB端子から電源供給する場合は、VCC→VCC 接続する、但し、パソコンからのVcc供給は私のパソコンで確認するかぎり、キャリア出力のC/Nがヒドイものでした、
パソコン電源はNGです
我々アマチュア無線家にとっては、使用している送受信機の基準クロック周波数としては15MHz〜30MHzのクロックを使用している機器が多く、これ等の基準クロックをPLL構成で作成するにはPLLのマスタークロックとして安定した10KHzが有れば可能です。




私が最初に購入した1台目は、青色ユニットでした。10KHz出力するために、PC接続しU-Centerを起動し出力信号としてDuty=50%の10KHz出力をコンフィグ設定しました、すると指定通り1PPS出力から10KHzが出力しました。本ユニットはコンフィグ設定状態、下記画面の’send’をクリックすると、EEPROMへ保存(SAVE)しておくと、次回起動時に設定状態が反映されるのが正常なはずです。

               

 電源を切って、バックアップ出来ている状態では問題無いのですが、バックアップが消えるとデフォルト状態の起動となり、1Hz出力となります、EEPROMが実装されているため、仕様としてはおかしいのでは? と思い、確認のため、電池(スーパーコン)を外し確かめたところ保存動作を行い、電源OFF→ONを短期間に行うとデフォルト状態に戻ります。知り合い各局に確認したところ、動作がまちまちで一度保存すれば電池が無くても常に保存状態で起動する (正常ユニット)のもあれば、私の1台目と同じデフォルト起動してしまう物と半/半位でした。EEPROMは、I2Cインターフェイスで結線されており、DATA-LINEをを確認してみましたが、保存時にも、電源ON起動時にも全くアクセスされておりません、EEPROMが搭載されていても全く使用されていない状態です。
そこで、もう1台購入してみました、今度は見た目の異なる赤いユニットを購入してみました、早速、電池を外しPC接続し10KHz出力に設定し、保存してみました、その後、電源OFF→ON(1週間後でも1ケ月後でも)で10KHz出力します、DATA-LINEも、保存時/電源起動時はアクセスされている事が確認出来ました。
仮に、保存バックアップ出来たとしてもPC接続は面倒だし、マスタークロックとして使用するにはアンテナ接続し電源投入でそのまま設置しておくだけで良いのです。スタンドアロン型式で構成するには、このユニットは電源起動時に無条件にクロック出力=10KHz(50%)を実行し、最低必要情報のみLCD表示させる構成とし、10MHz-VCXOを内蔵させ10KHzでロックさせ、出力クロックとして10MHz(2系統)、10KHz(2系統)出しました。又、10KHzクロックは全面SWで、NEO6M直接出力の10KHzか、10MHzを分周した10KHzを出力する切り替え機能を付けました。


【製作】






    
 バックアップ機能が全く無くても、電源投入時は無条件に1PPS出力は、10KHz(Duty=50%)出力となるようにしています
  衛星のリンク個数は、アンテナの設置条件だけではなく、地域と時間帯により変化します。



【電源回路】


            LCD/リレー駆動時には消費電流=130mA位です。
            パソコンUSBからの電源(+5V)は使用しないこと。


                            完成(パネル塗装失敗)

                   



【製作結果】
 USB変換機と接続する時に、パソコンUSBからの電源(+5V)の供給も可能ですが、この電源は決して使用しないこと。ピュアーなシステムクロックを生成したいなら、独立5V電源から供給すること。この度、確認してみましたがヒドイC/Nです


 

 

 私は、ルビジュウムのような高精度発振器はもっていないが、9乗クラスのOCXOは持っており、以前はTVのカラーバーストにロックさせた10MHzにOCXOの周波数を調整していましたが、今回のGPSにロックさせた10MHz-VCXOに、手持ちのOCXO周波数を調整した後の、お互いの10MHz出力を比較してみました。上の波形が、GPSロックにロックさせた10MHzで下の波形がOCXO出力の10MHzです。
多少、位相の押し引きはあるものの、周波数精度としては十分満足出来ます。そもそも周波数精度の測定は出来ません、両者を比較し1周期するまでの時間を測定すれば出来ますが、GPSに対してOCXOの偏差測定は出来ますが、もっともっと精度の高い物と比較すると、位相の押し引き観測は出来ても、1周期ズレの実測は出来ないと思います


         GPSロック10MHz(上)とOCXO-10MHz出力(下)を20秒間比較した動画 
                                         


以前、アナログTV時代に基準クロックとして、9乗クラスのOVCXO(オーブン・コントロール・クリスタル・オシレーター)を使って、無線機のマスタークロックをロックして使用しておりましたが、この時、OVCXOのADJ(調整)用として、TVのバースト信号にロックした10MHzと比較して調整しておりました。その後、アナログTVが無くなり、調整確認用の基準クロックが無くなりました、デジタルTVに移り変わっても、アナログコンポジットビデオ信号の出力は出ておりますが、これで生成されるバースト信号は、機器内部でNTSCエンコーダーで使用されるクリスタルの精度に依存します。よって、メーカーによりさまざまで高精度は期待できません。そこで昨今では、安価で簡単なGPSユニットで基準クロックが生成出来るようになり、以前作成した比較器に本機のGPSロックした10MHzを入力し、OVCXO立ち上がり特性がどのように推移していくか動画で撮影しました。
OVCXOは十分エージングし、一旦、GPS10MHzに周波数を合わせこみします。その後、OVCXOの電源をOFFにし、数分後に電源ON立ち上げから動画撮影しております、約3分弱で両者の周波数はピッタリ合います。OVCXOを長期にOFFした状態からでは、周波数が合うまでにかなりの時間を要しますので、今回は数分のOFF期間で実験しました。両者の比較周波数は各10MHzを分周して1MHzで行っております。これは周波数のズレが簡単に判断出来るように1MHzで作成したのです、1周する時間が何秒なのか、又は1秒に何周するかで即座に結果が出ます。 上の波形がGPSクロック、下の波形がOVCXOクロックの波形です。

                  

OVCXOの電源を投入すると、周波数は一旦オーバーシュートし、逆方向へとシフトし、時間と共に戻ってきます、上のGPSクロック周波数に合うように(左右への流れが無くなる位置へ)OVCXOの周波数を調整するのに使用出来ます。周波数が合った時はLED点灯が移動しなく固定します。                                   


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