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父の年齢を越える(自然周吾)

父が死んだのは昭和45年6月初旬であった。私は、翌年卒業で就職活動真っ最中であった。当時「大阪万博」が開催中で、関西の会社を受験し、 帰路夕方万博を見学するルートを選んでいた。幸い受験した大阪の会社から採用内定通知があったので、父の枕もとでは、大阪への就職が 決まった、と報告できた。そして現在の自分がいる。

酒好きの父は肝硬変での59歳死去であった。今にして思えば若死にだった。

我が兄弟姉妹8人は、私と妹が後数年で、父の享年を越えるだけで、他の兄姉らはすでに皆、60歳を超えている。 長兄だけが、3年前に69歳で他界した。まだまだ母の享年82歳には遠いけれど・・・。

父への生前の孝行は、全く出来ていなかったので、父の死後、代わりに母親を、大阪で、旅行等に連れて行くなどして、”親孝行”を取り 繕ってはいた。
父の享年に近づいたと思うと感慨深い。何かしら、自分なりに、けじめをつけたいとは思っている。

父は、亡くなった時、38歳の長男を頭に、20歳の4女まで8人もの子持ちであった。すでに、うち半数は結婚していたが・・・。
今、私は、父の年齢近くになったが、当時の子沢山の父に比し、夫婦2人だけで子もなく、全くの苦労もなく生きてきていると思う。
だから、父の思いを全く感じることが出来ない。当然苦労を掛けていただろうが、それさえも、想像出来ないでいるのである。 改めて、父に感謝する。
今日突然に”父の死”という言葉が浮かんできたのである・・・。

(06/04/19)
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