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『狂言の現在2008』を観て(自然周吾)

野村萬斎『狂言の現在2008』6/12(木)19:00開演を観に千葉市民会館に行った。

2月頃『市民だより』に案内掲載され、予約していた分である。前売り全席指定5,000円であった。大ホール1000人収容で、満席であった。 真中の端席17列1番を取っていたが、唯一前席(16列1番-3番)がキャンセルか、空き席のままであったが・・・。

正式に狂言を鑑賞するのは初めてなので、印象を記する。(千葉市民会館に行ったのも初めてである。)

演者は姿勢が良い。ともかく動作が少ない。静止の体勢を長く保っている。声に張りがあり、聞いていて気持ちが良い。

舞台には、大道具・小道具ともほとんど何も使っていない。舞台は、『T』字型に台を置いただけで、その台の上を足袋で演じる。 大道具らしき物は2種の置物だけである。1つは、舞台に向かって右から、大・中・小の岩の模型らしき黒っぽい置物が台から外れて 置いてある。大の岩でも直径1mもないだろう。
もう1つは、客席に向かって張り出した台の左右(対称)に、門松のように高さ30cm位で、それぞれ一節差分の高さを変えた竹筒3本 をまとめたものである。その2種、それだけである・・・。

登場人物数も、最少人員である。
今回の出し物は、『二人大名』、『川上』の2題である。
登場人物は、『二人大名』では演者3人(2人の友人の大名と、通行人1人)と介添え1人の4人だけ、小道具は太刀1振り、小刀2本である。
『川上』でも、演者は夫婦役の2人と、介添えの3人で、小道具は、夫が使う竹棒(杖)1本だけである・・・。
音曲もなく、演者の台詞だけで、最少人員の演じ物である。

極端に簡素な状況で、演者の表現だけで物語を観客に伝えることに、その素晴らしさ、があるのだろう・・・。

(08/06/14)
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=パンフレット『野村萬斎 狂言の現在2008』より転載=
番組

『二人大名』
●通りの者・大名2人・後見
●野遊びに出かけた二人の大名は、太刀持ちの共がいないので、通りがかりの男を脅かして供に仕立て、むりやり太刀を持たせる。
大名たちに従うふりをしていた男は、急に太刀をふりかざすと二人の小刀、素袍を取り上げ、烏帽子を鶏冠に見立てて鶏の蹴り合いの 真似をさせ、次に犬の噛合い、起き上がり小法師と真似させるうちに・・・。

『川上』
●盲目の夫・妻・後見
●吉野の里に住む盲目の男が、山奥の川上というところに霊験あらたかな地蔵があると聞き、参篭して開眼を祈願する。
やがて霊夢があってみごとに開眼し、大喜びで帰宅する途中で迎えに来た妻と出会い、供に喜び、地蔵に感謝するが、男は「悪縁の 妻を離縁しなければ、ふたたび目がつぶれる」という地蔵のお告げを受けたと、別れ話を持ち出す。腹を立てた妻は、地蔵をののしり、 絶対に別れないと言い張る。男もあきらめて、妻と連れ添う決心をするが・・・。

師父である人間国宝・野村万作の叙情に満ちた名演で知られ、かって日本の戯曲のベスト3にも挙げられた名曲に、いま萬斎が望む。

参考:江戸前狂言ファンクラブ 「よいやよいや」  HP参照。