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段取りに光る職人の技(自然周吾)
(房州うちわ製作体験研修旅行)

9/7(日)学習センターに8:45集合、定刻8:50にバスで出発した。学生と教職員の計34名の参加である。

研修旅行の行先は毎回思いもしないところにあり、楽しみなので、募集がでると無条件に申込んでいる。今回も
「房州うちわ製作」ということで行先は気にしていなかった。
前日の昨夜になって、ローズマリーでの田舎体験の内容が気になりHPで行先の内容を調べていて、驚いた。
なんと、我が田舎、千倉町の近くに行くではないか・・・。


安房郡が最近南房総市に統合改名されたのを思い出した。ともかく、千倉町の近くに、枇杷倶楽部・ローズマリー公園などと言う ところがあるのを知らなかったのは不覚であった。思えば、10数年間も千倉町には行っていない。
検索結果では、ローズマリー公園での体験学習は、今回、予約なしでは、芋掘りしか候補がなかった。そんな心構えで参加した。
(⇒芋掘りも、まだ出来が悪く、中止であった・・・。)
(▲写真:ローズマリー公園のコスモス)

うちわ製作体験の感想を書く。

房州うちわが日本三大うちわ、の1つであるのは知らなかった。(講師に、実家のある東京府中の大国魂神社での黒い”烏うちわ”に ついて質問したら、それは、丸亀の平柄うちわの系統との事であった。なるほどと了解できた。)

また、うちわ製作体験の内容を、自分で勝手に”うちわに絵を描く”のだと決めて、さて絵柄をどうしようかとずっと考えていた。

実際には、体験学習は、うちわ製作の24工程(▲以下資料参照)の内、後半の「貼り」「面付け」「断裁」「へり付け」「仕上げ」であった。
手作業を1人で全工程を仕上げると、1日4〜5枚くらいしか出来ないそうだ・・・。
従って、各工程ごとに分業して、生産しているとの事である。

研修会場に入ると、人数分の完成したうちわの骨組み部が、すでに置いたあった。竹へらとともに。
骨組みに貼る面の紙(模様・絵・白紙のもの)がいく種類も用意してあった。両面2枚1組で面付けに使用する。
(本職-市販の分は表紙(柄等)と裏(白紙)を使用するのが普通で、体験者は表裏ともに柄等にするようだ。)


工程の説明と供に作業が始まった。
1.骨組みの両面に満遍なくのり(プラスチックのり)をローラーで塗る。表紙面を貼った後、骨部が等間隔になるように竹へら で調整する。直接指を触れて調節すると指を切るので注意の事。
2.厚紙の型で裁断のラインを引く。スゲ糸のところを切らないように余裕を持たせるのがコツだ。ラインに添って裁断する。
3.へり付けは繊細な作業である。細いのりを付けた紙で縁取りをするのである。きれいに出来れば、ほぼ完成だ。
4.スゲ糸のところに(ハート形の)留め紙を貼って、全体をプレス(今回は手動)して完成する。
早く作業に入った人の状況を観察して、ゆっくりと始めるのが、失敗なく完成への早道である。
(▲写真:私の作ったうちわの表側、裏も模様あり)

感じたことは、それぞれの工程に職人の技があるということ。
今回私は、「へり付け」で使う、約5mm×30cm毎に切られた細長い紙の、のり付け作業の段取りにその技を感じた。

つまり、われわれ体験者とは、職人の技が事前に用意した完成部品を使用して、簡単で見栄えのする(完成に近い)作業を するだけである。

本来は、段取りにこそ技と熟練があることを忘れ(見えない部分)、簡単な作業で製品に劣らない、うちわが出来たと、喜んで しまったのである。
職人には、素人がそこそこの成果を上げ、上手く出来たと喜んで帰れるように仕向ける部品の段取り精度のよさ、また、 素人がミスしたのをいとも簡単に修正できる技術、が要求されるのである。

思うに、我々は、作業後の道具等の整理・整頓はどうであったろうか。素人には、後片付けも大事な技術の1つである事が、見えていない。

(08/09/07)
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《参考》
添付資料:『経済産業大臣指定 国伝統的工芸品 房州うちわ』(汐見団扇店 汐見正男作成ちらしから転載)
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●房州うちわの特徴
うちわの産地は現在日本では四国の丸亀、京都、そして千葉県の南端、房州の館山・富浦の3ヶ所で、それぞれの製法に特徴があります。 丸亀のうちわは、平柄と呼ばれ、柄の部分が平になっており、京都の差し柄うちわは文字通り柄の部分が木製で、骨が差し込んであります。 房州うちわは丸柄と呼ばれており、良質の女竹を用い、太さ1.5cm前後の竹を64等分して骨を作りそれを糸で編んで扇形に仕上げ、 窓と呼ばれる部分の両端から編んだ糸の房を垂れ下げてあり半円の格子模様の窓の美しさが特色です。
まんまるの型をしたもの、卵型、柄の長い丸型、大型があり、装飾品として愛用されるようになってから巾の広い楕円形型のものや 柄に根の部分を取り入れた個性的なものも見られる様になりました。
絵柄は、浮世絵や美人画が主流でしたが、最近では室内装飾品として民芸調のものも多く作られています。また、房州うちわは丸柄で あることから、とても丈夫なのが特長です。

●房州うちわの作り方
一枚の房州うちわが出来るには、まず材料の伐採から始まります。そして、その伐採された材料を24工程で仕上げていきます。
はじめに竹の皮をむき、水洗いをして磨きあげ、次に竹を割り、柄の部分に穴をあけ、糸で骨を編み、柄を一定の寸法に切り、柄に 柳の枝を詰めます。さらにスゲを差し込み、編み終えた糸の両端をスゲに結び扇形に広げ骨組みが完了します。骨組みが完了すると ねじりをとるため目拾をし、穂刈をし骨の曲がりを直すために炭火で焼き、紙を両面から貼り、余分な骨を裁ち落として、ふちどり の紙で周りをととのえ、ローラーできっちりとおさえて仕上げます。

@「原竹」A「皮むき」B「磨き」C「選別」D「割竹」E「選別」F「芽切り」G「もみ」
H「穴あけ」I「編竹」J「柄詰」K「弓削」L「下窓」M「窓作り」N「目拾い」O「穂刈り」
P「焼き」Q「貼り」R「面付け」S「断裁」(21)「へり付け」(22)「下塗り」(23)「上塗り」(24)「仕上げ」

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