タペット調整
GPXリフレッシュ企画第2弾


2005年の正月休みを使って、チャレンジしてみよう!



夏に足回り限定リフレッシュ整備をしてから約半年。
『冬休み』に入っても、月1くらいの可動率で乗っていたんですが(錆びたりするのを防ぐ意味で)、その時に気になるのが
エンジンの音。特に足回りが良くなった分、逆にエンジンの不調さが余計に目だってしまうわけで・・・。

リフレッシュ後に行った長野日帰りでそのエンジン音がすこし増えてしまった(増やしてしまった?)みたいで、その解消が
できるかなぁ?と正月休みを使ってタペットを調整してみたいと思います。



過去を振り返ると、2003年の車検時にバイク屋でタペット調整をしてもらって車検前よりも音自体は少なくなっていたんです。
でも、その後に一回タペット調整をしてみようとトライした時、ヘッドカバーを開けたのは良かったんですが、
あまりの惨状に恐れをなして、「見なかったこと」にしてそのままフタをしてしまいました。
まあ6万キロ以上走ってる車体ですし、ある程度予想はしていたんですが、実際見て引いてしまい結局それっきり。

しかし、今年車検を迎えるにあたって、一度はタペット調整して「音が消えるかどうか」を試してみて、
車検のときに新規に中古一台購入してエンジンだけ載せ換え計画ってのも考えにいれつつ、
GPXの延命をしてやらないとまずいなぁ・・・と思うわけです。
気が早いですが、来年はGPX誕生20周年ですからそれに合わせて準備だけはしておかないと。

で、今回も同じようにHP上でその様子を出していこうと思うんですが、前回と違うのが自分でやろうというところ。
タペット調整するのに、カワサキの特殊工具や新しいシール類なんかは揃えたんですが、一番の不安材料ってのが、
自分の整備能力
下手すると、「カム山を削ってしまうような」クリアランスにしかねないのが一番こわい。
もしかしたら、本当にエンジン載せ換えをしないといけない状況になるかもしれないので、そこが最大の問題なわけです。
まあ、そのときはそのとき。ダメになったら、エンジン載せ換えをネタにすればいいんです。



閑話休題
2004年12月にムラシマにて、新規にシール類を注文しました。(当然、ネット注文)
ヘッド周りのシール類を頼んで、金額が9083円(送料込み)と連絡があったそのときは「昔のバイクだし・・」と
高額なのには目をつぶってました。
部品が届きその袋をもってみると、明らかに重い?ゴム類なのになぜ重い?と不審に思いつつ袋を開けたら、
・・・・・また間違えて注文しました。
ヘッドカバーボルトのシール92055−1352を、間違えて92005−1352として注文してました。
前回のフロントフォークスプリングとフォークキャップとの間違いに比べたら、ニアピンなんですけどねぇ・・・
届いていたのが、謎のボルト8本。調べたらエリミネーター250V用のボルトらしい。
使えればもっててもよかったのですが、どう見てもGPXでは見たことのない部品だったので、ムラシマへ返品しようと
連絡してみたら、返品によるキャンセル料が発生してしまうとのこと。
その金額、一個につき3000円。
たかが一個180円(パーツリスト調べ)のシールが一個620円(税抜き価格)のボルトになって、それを返品するのに
一個3000円のキャンセル料を払わなければならないなんて・・・。
わらしべ長者状態
しかたないので、返品せずにそのまま持ってます。皆さん、ケアレスミスには十分注意しましょう。
あ、まちがったとこのシールですか?再注文しないで再利用して使います。得意の液体パッキン併用でどうにかなるでしょう。
最悪オイル漏れしても、ここならタンク外せば交換できますから。



2005年1月1日朝11時。早速作業開始。
久々にGPXを出して、まずカウル類をひたすら外していく。
一般的な整備〜例えば、プラグ交換くらい〜ならタンクを外すくらいで終わるから、今のバイク(ラムエアとか使ってるバイク)に
比べても整備性は良い方だと思います。
しかし、それ以上になると非常に面倒。カウルとかがかなり細かいパーツに分かれていくので、取り付けネジが妙に多い。
加えて、ライトとかのコネクターを外したりインナーカウルを外していくときに、絶妙なバランスでカウル類を
保持していないといけない。
寒さで手が悴んでいるときにはツライ作業ではあります。


ここまで剥がすのは毎回めんどくさい。



カウルとかを外し終わったら、あとは8本のボルトを取ればカムシャフトにご対面。
本日のメイン作業であるタペット調整にいざ挑戦!

しかし、しみじみ見ると良くカジッてますねぇ。このカムシャフト。
その下のロッカーアームなんか、左右に動くし。これがたぶん音の元になってるんだろうなぁ。







一番右側の給・排気カム山の様子。
6万走ってるから、このくらいのカジリがあるのはしょうがないでしょう。
900R系なんか、1万くらいでカジるって言うし・・・・


    
ロッカーアームが左右に振れてるのがわかるかなぁ?
(バルブ上の白いマーキングからの位置がちがうでしょ)




また閑話休題。
カワサキ水冷エンジンのカム周りの設計で、GPX750Rに関してはマズんじゃないかって思ってます。
全部調べたわけではないですが、GPXのロッカーアームだけその根本で調整できるってのがクセモノ。
他の水冷エンジンは、ロッカーアームが一本のシャフトで支持してあって、アームの先で調整するようになってます。
(900Rはロッカーアームの先のアジャスターで調整して、ZXR系やZZ−R系はバルブの上のシムの厚みで調整)
当然シャフト支持ですから、その回転方向・・・・バルブの上下運動方向・・・・のみにしか動きません。
しかし、GPXはそのロッカーアームの根本が球形(アジャスターが回るように)なので、上下方向だけでなく、
左右方向にも動くことができます。ちょうど人間の肩の関節みたいに。
※GPXのロッカーアームは縦方向にみぞを掘ってあるところに置いてあるだけなんです。
ここから勝手な想像ですが、走りこんでバルブクリアランスが過大になると、GPXのロッカーアームは
バルブの上下運動方向以外の方向にも動いているんじゃないかと思うわけです。
で、カムシャフトとかに余計な傷を作ると・・・・。
また勝手な想像ですが、カワサキはこの方式がマズイと思って(あるいはベストではないと思って)ZXR・ZZ−R系で
バルブクリアランス調整がメンドくさくても、(作動が確実になる)シム方式にしたんじゃないかと思うわけです。
事実はどうなんでしょ?
同様なことで、オルタネーターのベルト駆動もそういったことがあったんじゃないかって思います。



さてタペット調整の手順ですが、サービスマニュアルを読んだ上でやればできるでしょと気軽な気持ちで、
1  アジャスターを緩める
2  カムとロッカーアームの隙間にシックネスゲージを差し込む(吸気0.1mm・排気0.15mmで調整)
3  アジャスターを締めこむ
4  シックネスゲージの手ごたえを確かめる
5  アジャスターをしっかり固定して、シックネスゲージを抜く

と手順を作ってみてやってみました。
この辺は実際やってみないとわからない感覚だろうし、マニュアルとか読んだだけでやれるもんだろうか?すごく不安。
でもやってみよう!

とにかく、全16本のクリアランス調整をしてみる。
やってみて思ったのが、「結構アジャスターって締まるもんだねぇ」という手ごたえ。(←ここ試験に出ます)
調整前の位置からかなり締め込んだ位置に調整したみたい。そのせいか、ロッカーアームも動かなくなったし。
なんとなくうまくいったかな?
ピックアップコイル側から工具で空回りさせてみても、見た目では特に悪いとこはなさそう
じゃあカバーをつけて、元に戻して早く試運転してみよう。

シール類を新しくしてそれに用心の液体パッキンをつけてカバーをつけてボルトを締め付けているときにそれは起こりました。
「ボルトは対角線に締めていって・・・最後にもう少し締めて・・・これで終了・・」と最後の一本を締めたら
ニュルッ
とイヤな手ごたえと共に空回りするボルト。そうです、ボルトを捻じ切りました。
一気に目の前真っ暗。どうしよう!?


やりました・・・・




対策手段として・・・捻じ切ったボルトとかを抜く特殊工具なんてありますが、正月元旦にそういったのを置いてある店が
開いてるわけがないので、仮にフタをしといて先に進む。
まず本命のタペット調整がうまくいってるかどうかを確認しないといけない。


仮のガムテープ止め。本当どうしよう。



インナーカウルやカウル本体・タンクなどを元に戻して、充電したバッテリーも繋いでGPX一応復活。
はやる気を抑えつつセルを回してみる。
シュンシュンシュンシュンシュン・・・・・・・・えらく軽やかに回るセルの音、ぜんぜんかかりそうにない。
!?
もう一度チャレンジ。
シュンシュンシュンシュンシュン・・・・・・・・やっぱダメ。
やりました。タペット調整失敗。
その調整以外はそのままのはずだから、手を入れたここしか原因が無い。
自分で怪しいと思うのが、アジャスターの締め込みすぎでバルブが押されてちゃんと閉じてない
(バルブがちゃんと閉まってないせいで、圧縮が抜けてしまってるのではないか?だからセルが軽く回るのではないか?)
アジャスターを調整するときに決めた手順の後にもう一度シックネスゲージを入れて隙間の確認をしなかったのがまずかった。

もう一度やろうかと思ったんですが、すでに午後2時。
それに捻じ切ったボルトの後処理(修理・補修にあらず)のこともあるし、今からもう一回同じ事をするのは時間が足りない
(夕方暗くなって作業ができなくなる)と判断して、今日はこれで終了。
今後どうなるかわからないから、またバッテリーを外して定位置にしまう。
仕方ないので、小休止のあとK100RSでライコランドへ現実逃避
タペット調整を明日もう一度やってみて、とにかくエンジンだけはかかるようにしておかないと、ほんとにどうしようもない。
ヘッドカバーのボルトはまだなんとか誤魔化せると思うので、それはいいでしょう。
この正月休みで勝負を決めたいと思います。
・・・・・もしかしたら、GPXの中古買うの早くなるかな?・・・・


やはりイジり壊しました・・


GPXの運命やいかに?(続く)




2005年1月2日朝11時。作業再開。
昨日カウルとかのボルトの適当な部分を外しておいたので、外す作業自体は昨日より簡単に外せて時間短縮。
同じく、ヘッドカバーもボルトが一本少なくなったので、いたって簡単に取り外し完了でき、早速タペット調整に再チャレンジ。
まず、いったんアジャスターを緩めて、ロッカーアームがグラグラになるまでにしておく。
そこにシックネスゲージを差し込んでアジャスターを締めていく。・・・・・のですが、昨日の失敗を教訓に
アジャスターを固定するまで差し込みっぱなしにして、最後に隙間がキープできているか確認していく。
固定した後もシックネスゲージが入るようにしたんです。・・・・・が、これでいいのか分かりません。

最初の一本目では、最後の固定時にアジャスターが多少締まる方向に引きづられるのか、シックネスゲージを
一回抜いてしまうと次に入んない。それでも何度か微調整を繰り返していくと、なんとか隙間をキープしたままで
固定することが出来たので、この調子で残るバルブ15本分を再調整していく。
昨日よりも時間がかかったけども、昨日よりも納得のいく調整が出来たと思う。

16本の調整が納得がいくものになっても納得いかないのが、ロッカーアームのぐらつき。
バルブの上下方向にはたかが0.1mmくらいしか余裕がないのに、左右の方向にはミリ単位で動いてしまう。
でも、これ以上隙間を詰めるとまずいだろうし、他の手段で動きをなくすのは出来ないので、ここまでにしておく。
昨日よりかはうまくいっているであろうと思うので、調整を終わらせて早くエンジンを始動(出来るかどうか)しないと・・・。

昨日使ったシール類をブレーキクリーナーで強引に脱脂して、液体パッキン併用でヘッドカバーを取り付ける
で、取り付けボルトを昨日より丁寧に取り付けていく。
残ったのが、捻じ切ってしまったボルト部分の穴。これをどうしようか。
あれから冷静になって考えた結果・・・・・・マフラー補修で使ったアルミテープでとりあえず塞ごうということで決定。
特殊工具を使って残ったボルトの残骸を引き上げる手もありますが、そんなのが自分ひとりでやってうまくいくとは考えにくい。
贅沢言わなければ『このままでオイルが漏れなかったらそれでもいい』と思うので、ボルト7本止めでいくことにしました。
ダメなら別の方法でいけばいいし、エンジン載せ換えるのを視野に入れて考えてもいいから・・・。


アルミテープ2重貼りでやってみました。たぶん大丈夫。



ここで、タンク外したついでにプラグも取り替えてみました。
プラグも前回いつ取り替えたか覚えてないくらいなので、ここで取り替えたてもいいでしょう。
同様に燃料フィルター(燃料ホースの途中に追加するタイプ)も取り替えようと思ったんですが、意外にきれいなのでそのまま。

     
プラグ新旧比較。
右の使用後の方が中心電極が変(磨耗というか変形というか・・)
ちなみにプラグはプラチナプラグ。



タンク・外装を元に戻して、GPX再度復活。
そして、チョークレバーを引いてエンジン始動。
キュキュキュキュキュ・・・・「圧縮してます」という聞きなれた音の後、ボワーンとエンジンがかかる。
同時に、カチカチカチカチというこれまた聞きなれた音も・・・まあ、エンジンが息を吹き返してくれたのでよしとする。

しばらくエンジンを回して音を聞いていると、なんとなく調整前よりも音が少なく・小さくなってる気がする。
まあ今日はエンジンもかかったしオイル漏れもないみたいだし、一旦ここで作業を終了してGPXをしまう。
あのボルトのない部分のとこの液体パッキンが乾燥していないとそこからオイル漏れをしてしまいそうだし、
何も急ぐことはない。
どうせ明日は出かけるし、そのときに試走ってことでいいでしょう。
(・・・・この後、妙にだるいので熱を測ってみたら、38度近くありました。明日に備えてゆっくりします。)

サイト更新しようとしたらサーバーが一杯みたいだし、・・・・・・とりあえずいろんなことは明日に続く。





2005年1月3日朝11時。試走開始。
昨日よりまる24時間経ち、液体パッキンも乾燥したであろうと思うので、緊張の試走へGO!

たまたま正月3日までライコランドで新春セールをやっていたので、そこへ買い物がてらGPXの試走をしようというわけです。
が、試走一発目でそこまで行っていいのか?という疑問もあるわけで・・・・。出来れば『近所一周』の方がいいかなとも
考えたんですが、たぶん大丈夫だろうと根拠を欠く決意のもと、身支度を整えてGPXのエンジンをかける。

昨日エンジンをかけていたので、すぐにエンジン自体はかかったんです。その後しばらくチョークレバーとスロットルで
エンジン回転をある程度維持して暖機。その間、エンジンからの異音・異臭・オイル漏れなどを注意深く観察すること数分。
・・・・・特に異常なし・・・・・
まず第一段階クリア。少なくなったとはいえタペット音がするなか、いざ出発。
自宅よりだいたい10kmくらいまでは4000rpmまでにしてエンジンの回転の仕方やエンジン音の変化に注意するように走る。
・・・・・ここも、特に異常なし・・・・・
信号待ちとかでもアイドリングは安定してるし、4000rpmまでの加速とかもスムーズに行くし、普通に走る(流れに乗る)
程度なら、問題なさそう。くだんのも以前よりも確実に少なくなってる・・・・気がする。
さらに走ること10kmくらい。エンジンもしっかり暖まり、交通量がある程度流れる道路に合流したところで、もう少し回転を
上げてみる。信号待ちで先頭に立って(このあたりのすり抜けはK100RSより楽)、信号と同時に6000rpmくらいまで
使って加速してみる。と、体感的にK100RSよりも速い加速感を受けながら、一気に次の信号へ到着。
その信号待ちのときにもアイドリングは安定してるし、異音もナシ。変な異臭もしない。オイル漏れなんかしてない。
ここにきて、「修理完了」宣言。
これ以降、いつもの様にGPXを走らせて、ライコランドへ行きました。

ライコランドで買い物を済ませた後もしばらく走ってみて、3日だけで130kmくらい走行してみましたが、トラブルらしいモノも
なく、無事に自宅に帰ることができました。
自己満足ですが、タペット調整してみてよかったと思います。実際音も少なくなったと思えるようになったし。
代償としてボルト一本を失いましたが、これも勉強と思って潔く忘れましょう。




またまた閑話休題。
ライコランドでは新しくヘルメットを購入したのですが、これが意外と具合がいい。
最初デザインや機能(どれだけヘルメット内に空気が流れるか)とかだけで選んでみたんですが、かぶって走ってみたら、
それ以外にもいい事発見。すごく軽い。実際は軽く感じるように出来てるのか?
手に持った重さ自体は前のと大差ないように思えるんですが、かぶって首を左右に振ってみると明らかに新しい方が軽く感じる。
走っても空気の流れとか感じにくく、首に力を込めなくても空気抵抗に対抗できる。そういうのをひっくるめて『軽い』
バイクや服装はそのままだから、これらは明らかにヘルメットの違いによる差じゃないかな?と思うわけです。
安全性やコストを考えた上での商品ですから、これはすごいと思います。幾らかはサーキットユースとかからの要望も
あるんだろうか?レースとかしてるときに『重く』感じたら集中できないだろうし・・・。
しかし、惜しむべきはヘルメットの色。黒系統がほしかったんですが、買ったのは銀。・・・・勢いで買いました。
セール3日目だったし、たぶん在庫が無くなったんだなぁ。惜しい!
タペット調整が一日目で終わってたら(うまくいってたら)、ほしいのが買えたかもしれない。




これまでで『足回り』と『エンジン』をやってみたんですが、それぞれでやった効果を体感しております。
さて、次回は何をしようか?
何か「よくカウンターが回る」企画をしてみようか。