白い悪魔の恐怖
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■第1話予告批評 〜君は誰かを愛しているか〜

ルトラシリーズの中でも異彩を放つ、アニメーション番組「ザ☆ウルトラマン」。その最終回(絵コンテは、ガンダムシリーズで知られる富野由悠季氏)に流れた新番組予告、それが「ウルトラマン80」だ。

 クリスタルイメージのオープニングタイトルは、クールな仕上がり。バックに流れる曲は、もちろん本作の主題歌「ウルトラマン80」。そのバンドサウンドにのせて、ウルトラマンと怪獣クレッセントの格闘シーン、出動するUGM隊員、UGMの戦闘機スカイハイヤーの雄姿とその攻撃、が続く。そしてローアングルから見上げる、左腕を高く掲げたエイティは、光を浴びて神々しい姿でそそり立つ。

 このたった30秒間に込められた思いとは何か。ナレーションは強調する、『新番組「ウルトラマン80」が、迫力ある実写特撮作品として登場します』と。当時の少年が、どんな思いで待っていたかはわからないが、絵に描いた青空の下で活躍する、ウエットスーツのマスクヒーローを、ファン(あいまいな言い方ですね)は待っていた。 だから、この予告編には、ウルトラシリーズのフォーマットは、しっかり収まっている。
 しかし、はたしてエイティらしさは出ているのだろうか。主人公の矢的猛(エイティ)は、中学校の教師であり、オオヤマキャップのヘッドハンティングでUGM隊員になるのだが、この予告編では、教師としての描写がない。第2話以降の隊員服姿の矢的だけが描かれてしまっている。視聴者にも先入観があるわけで、シリーズものの難しさといってしまえば、それまでだが、今度のウルトラマンは先生だと伝えることを、次週の本編にすべて任せてしまっているのは、または隠しているのは、製作者の意図だったのか。
 結局、教師編は作劇上の問題から、第12話をもって終了するわけだが、その兆しが新番組予告時点からあった、とみるのは、うがちすぎか。(2000/09/24)

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