れとろーど’07 総社商店街-文化のつながる道
岡山県総社市宮筋商店街 平成19年9月30日(日)
 
グラフおかやまで紹介されていた、総社まちかど郷土館には是非行ってみたいと思っていました。そして今日は平成17年から総社市文化協会が中心となって開催されている「れとろーど07」の二日目最終日。時刻は3時半頃でした。催しが4時までときいていましたので少々あせりぎみでした。何とか駐車場になっているらしい小学校の運動場に車を停めて、とりあえず総社宮を目指しました。






総社の歴史を語るとき、地名の由来となった総社宮抜きには話せません。平安時代末期、諸国の国司は国内の神社を巡拝する煩わしさを避けるため、国府政庁近くに各神社の祭神を集めて合祀した総社宮を造営しました。備中国では324社の祭神が合祀されました。総社の近くには門前町が形成され、戦国の頃から神社名が地名に転化され、総社になったと伝えられています

 
郷土館東側の総社宮に続く参道の右側には、なまこ壁の古い屋敷。
左側は旧総社警察署の独居房、雑居房があったところ。現在は総社幼稚園になっています。



総社宮の回廊は約100mもあります。


奥側の絵馬が丸山応挙の描いた絵馬「義家観雁の図」
拝殿前でお賽銭をあげたあと、確か立派な絵があったと思い、奥の方を立膝で覗き込んでいると、お賽銭効果か神主さんがどうぞ御遠慮なくあがって見てください、とのこと。写真もOKとのことできょろきょろと見ていると、一番奥の絵ですよとこちらの意図をお察しの様子。どれも270年から250年前のものとか。額縁に昭和と書いてあり、その点を伺うと、それは額縁の制作年とのことでした。

 
神池
神池の鯉。池の透明度は水が流れていないため良くありません。人の気配を感じると鯉が自然と寄ってきます。近くにいたご老人の話によると、以前、池の底を石できれいに覆ったが、雨が降ると泥水が池に流れ込むためどうしてもこのように澱んでしまうとか。また除草剤の薬が雨で池に流れ込み一度に大きな鯉が70匹も死んだことがあったとか。鯉のえさは社務所で売っているとのことでしたが引き返す時間もないため、今回は断念しました。


神池には三つの島があります。






総社まちかど郷土館は、明治43年に建てられた旧総社警察署の庁舎です。総社宮の鳥居に隣接し旧松山往来に面しています。木造二階建て床面積192.6u。市内に残る唯一の擬洋風建築です。


 
明治を感じさせるこう配のきつい木製階段(右)を上がると二階のホールに明治朝家具のテーブルセットが置かれています。

 
入口に係りの方。スリッパに履き替えてあがります。


一階に市内の歴史がわかる「歴史コーナー」と「ビデオコーナー」があります。


  
二階には、イグサ製品、備中売薬、阿曽の鋳物など明治時代を中心にした伝統産業の資料が展示されています。


  
窓からも歴史を感じさせる建物が見えます。
なつかしい紙風船。無料で配布されていました。




商店街や地元住民の方が市と協力して古い町並みを利用した地域活性化を始めています。平成17年には総社市文化協会が中心となって「れとろーど05」(レトロとロードの結合語)を開催、今回は3回目となります。空き家を利用した手芸・生け花展示会、お茶席、ミニコンサート、まちかど郷土館のライトアップ、昔なつかし写真展など内容も盛りだくさんです。


松山藩八田部村高札場跡


 




洋画界の先駆者 堀和平/生家





生家で堀和平展が開かれていました。堀和平は、明治時代の初頭、いち早く洋画に興味を持ち、独学で油絵を学び、岡山県洋画界の先駆者といわれました。彼の代表作「母子像」(倉敷市立美術館蔵)は、二人の女性がそれぞれ赤子と猫を抱く姿を描いた秀作です。まさにその絵が展示されていましたが、主人に体を預ける猫のうっとりとした表情がなんともリアルで思わず笑ってしまいました。


旧家の中から見る通りやお庭も風情がありますよね。



旧松山往来に沿って形成されている総社商店街は、総社宮の門前町として栄えてきました。町筋は東から宮本町、栄町、本町、田町と続き、市場には近隣から人と物が集まり、あの頼山陽、西山拙斎らの文人墨客も来遊したそうです。


懐かしの映画館


今回のイベントに合わせて作られた懐かし風の映画館です。どうです。なかなか味わいがあるでしょう!写真の看板の「三丁目の夕日」この通りはまさにその舞台のようでした。


かわいいワンちゃんが店先に2匹いました。かたわらにイスにかけたおばあちゃん。かわいいね〜と写真を撮っていると、奥からもう一匹つれてきてくださいました。昨日、とおりかかった人が同じように写真を撮ってくれたと、小さな額縁に入った写真を見せてもらいました。(左)若い女性カメラマン(市の方かも)が買い物客の品定めをする様子を撮っていました。(右)



お茶席は計7か所ありました。古い町屋と赤いもうせん。何だか京都にいるような錯覚を覚えます。


古い町屋の前に活けられた生け花。通りを飾ります。嵯峨御流、未生流、池坊流、専敬流、小原流、桑原専慶流、草月流の各流派です。どれも素晴らしいですね。



明治期に建てられたと思われる古い町屋。

29日(土)はろうそくの明かりが道しるべに灯り、幻想的な雰囲気になるそうです。
ロマンチックな夜の宮筋をゆっくり散策するのもいいですよ。

(参考文献:グラフおかやま6)

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