ウイリアムズ FW16 製作記1

 

2010.04.08(木曜日)

今日から新キット作成していきたいと思います。

前回に引き続きF1マシンの製作ですが、フジミからこのマシンがリリースされては作らないわけにはいかないでしょう。

よって、今回もF1マシンを製作していきたいと思います。セナが最後に乗ったマシン、ウイリアムズFW16です。

長い間在籍していたマクラーレンを去って、当時最強エンジンと最強シャシーの組み合わせでナンバーワンマシンであったウイリアムズに電撃移籍。誰もがセナ独走のシーズンを予想したわけですが・・・

フジミ模型から伝説のマシンがリリースされ話題沸騰。発売から1ヶ月が経過し少々旬が過ぎたようですが、今日からこのキットを製作していきたいと思います。

まずはキットのレビューから。

F1キットとしては標準的なパーツの数。最近のF1キットは150パーツ越えが当たり前ですが、それに比べればパーツ数抑えめで誰でも気軽に製作することが出来ます。

ただ、この内容で定価が5000円(税抜き)。誰でも手軽にF1模型を、とはいかないですね。最近発売されたタミヤのF60と比較すると同じ値段なのに少々ボリュームが少なく感じます。

それでは細部を見ていきます。

まずはボディー関係のパーツから。モノコック、リアのカウルノーズコーン等々。

さすが最新のキットだけあってシャープで古くささを感じさせません。この辺はさすが最近のフジミです。

成形色は白なので、塗装のことを考えると嬉しい配慮です。もともと白と青のマシンカラーリングなので白の成形色が当たり前といえば当たり前ですが。

こちらはウイング関係。

リアウイングは翌端板と主翼が一体化になっています。塗装のことを考えると分割してほしいところですが、バラバラですと組み立てるのが大変。この辺は組み立てやすさを優先してあえてスライド金型を使用したと思われます。分割して塗装するか、このまま塗り分けるか悩ましいところです。

どのパーツも薄くてシャープで好感が持てます。

続いてはエンジン関係のパーツ。

シンプルな構成ですが必要最低限のパーツでリアルに仕上がるように設計されています。

この辺も、組み立てやすさを優先されている感じがもてます。

配線関係もモールドされているので、この辺は賛否両論わかれるところ。モールドを生かせばリアルなのですが塗装は大変。置き換えるとなると、削ってパイピング、と一工程増えます。

続いては足回り関係のパーツ。

サスペンションアーム類は細くて当時のマシンをそのままに再現されています。

この当時のアームは今主流のカーボンカーボンでは無く、スチール合金製です。よって、ちょっとした衝撃で簡単に曲がってしまいます。少しウォールにヒットさせるとすぐに折れ曲がってしまうので厄介者です。この年の最終戦アデレードでデイモン・ヒルがミハエル・シューマッハと接触してアッパーアームを曲げてしまい、リタイア、ワールドチャンピオンのタイトルを逃がすという苦い記憶が蘇ってきます。そう考えると現在のカーボン製のアームの方が丈夫かもしれません。しかも軽量です。

こちらはシャシー関係。

94年のサンマリノGPではスキッドブロックが付いていません。よってこのように平べったいシャシーとなっています。

この年がスキッドブロックが採用される分かれ目のシーズンとなりました。

メッキパーツ類。

メッキが必要なパーツはエキパイ、ラジエター、ミラー、フューエルキャップくらい。必要以上にメッキ処理されています。

不必要なパーツは一度メッキを落としてから塗装しようと思います。

こちらはクリアーパーツ。

一番上のナンバー1番が欠落しています。ここにはどんなパーツがあったのでしょうか。きっとバリエーション展開板でここのパーツが使われると思います。

続いてはタイヤ。

袋から出すまで分かりませんでしたが非常に変形しています。

まるでタイヤを金型から抜き取るときに無理矢理抜き取った感じ。

これはタイヤを製造したメーカーが杜撰だったとしか思えません。

F1はタイヤが命なので少々残念です。

ホイールに填めれば何とかなるかと思い、填めてみました。

そうすると、何とか様になりました。

ちっちゃいことは気にしないことにします。

ただ、机の上で転がすとゴロンゴロンと転がります。明らかに中心がずれています。模型なので、別に良いのですが・・・

続いてはデカール。

なかなか良さそうなデカールが付属されていました。シルクスクリーン印刷でしょうか?この辺は実際に貼ってみないと分かりませんが。

カーナンバー1のアラン・プロストが引退してしまったため、カーナンバー0のデイモン・ヒルとカーナンバー2アイルトン・セナのデカールが付属されます。

こちらはマスキングシートとタイヤのデカール。

ロスマンズカラーに塗り分けるためのマスキングシートが付属されるのは嬉しいところ。最近のフジミはこういった親切な配慮がなされているので安心して製作することが出来ます。

私はこのマスキングシートをスキャニングしてカッティングマシンでマスキングテープを自作する予定です。

最後に初回特典のシートベルトセット。

エッチングパーツとシートベルト素材、そしてシートベルトのメーカーシールです。

特典とは言え非常にありがたいアイテムです。これが標準で付けてくれるようになればフジミも大したメーカーになるのですが。

さて、キットには当然の事ながらタバコのデカールは付属されません。

せっかくのロスマンズカラーのマシンなので、ロスマンズのデカールは必要不可欠。

そこで、TABU製のロスマンズデカールも購入しました。

今回購入したのはゴールドホイル仕様。

ゴールドの部分がメッキゴールド(ホイル風)になっています。

なかなか良い感じのデカールなのですが、私の購入したデカールは一番肝心なメッキ部分がずれて印刷されています。

なんてこった、不良品です・・・

ま、近づいて見なければそれほど気づきません。

良い値段しただけにちょっと残念ですがこのデカールを使っていきたいと思います。

きちんとしたメーカーなら返品してもらうところなんですけどね、TABUだとどこに言ったら良いやらわかりません。

さて、次回からいよいよ製作していきたいと思います。

 

 

2010.04.12(月曜日)

今日から製作を開始します。まずは仮組から。

F1キットは足回りパーツが細くて接着シロも少なく接着剤無しでは仮組は非常に難しいです。

そこで、私は迷わずコニシのGクリアーを使用して仮組をします。

Gクリアーはガッチリ接着できそうで、じつは後から綺麗に剥がすことができます。塗装前の仮組には最適です。

でも、いくら綺麗に剥がすことができるとはいえ付けすぎは禁物です。ほどほどにご使用ください。また塗装後のパーツには使用しないでください。剥がす時に塗幕が持っていかれる恐れがあります。

Gクリアーを使用してエンジン、ギアボックス、リアの足回りを組んでみました。

最近のフジミのキットだけあって、精度はピカイチです。非常に組みやすく、パーツ数も少ないので誰にでも組み立てられる設計になっています。

さて、モノコックを接着するわけですが、このまま接着してしまうと後からシート・ステアリングをはめることができなくなります。

塗装のことを考えるとモノコックを接着しないまま別々に塗装するわけにはいきません。不要な接合部が現れてしまいます。

ここは前もって接着して接合部をガッチリ消しておきたいところですが・・・

そこで、ちょっとした加工を施すことにします。

いろいろと仮組をして検証した結果、左の赤のラインの凸部をカットしてあげると、後からステアリング基部とシートをはめることができる事が判明しました。
わかりやすいように個別に拡大した写真です。

こちらはステアリング基部のはめ込み部分。

一部分をカットしてあげるとモノコックをあわせた状態でもはめることができました。

この凸部は両側のパーツにありますが、切り落とすのは片側だけで十分です。

ポイントはL字になるようにカットすること。

続いてはシート側。

写真のようにだいたい真ん中くらいから右側全部を切り落とします。

こうすることで後からシートをスライドしてはめることができます。

シートの凸部も両側のパーツにこのモールドがありますが、両側とも同じように削り落とします。片側だけの加工だとうまくはめることができません。

加工が終わりシートとステアリングの合いを確認してから、この段階でモノコックをガッチリ固定してしまいます。

たっぷりと瞬間接着剤を塗って、乾いてから#400のペーパーで段差を消し去ります。

これで合わせ目を気にすることなく塗装することができます。

写真はペーパーで均し終わったところ。塞がった穴はピンバイスを使って開け直します。

モノコックの合わせ目は経年変化とともに割れてきたり、開いてくるのでガッチリと接着しておきたいところです。

さて、このキット最大の懸案事項はこちら。

フロントサスペンションロアアームがモノコック側ではなくフロントノーズ側に接合されています。これは実車ではあり得ません。

理解に苦しむ設計です。ここの対処は次回以降に考えるとして、まずは仮組を進めます。

仮組も佳境に入ってエンジンカウルを閉めようと思いました。が、ラジエターが若干干渉してすんなりと入ってくれません。

F2007ほどの問題ではありませんが、FW16も無理矢理押しつけて閉じることができました。

仮組の段階では良いですが、綺麗に塗装をして閉じる段階ではパーツに傷を付けてしまう恐れがあります。

実車を忠実に設計するとこうなんでしょうけど、模型をカウル開閉モデルとして製作するとなるとちょっと問題です。これも懸案事項とします。

若干の問題はありましたが、とりあえず仮組終了です。

見る人が見ればあちこちディテールがおかしいところがあるようですが、見た目はきちんとFW16になっているので、私はキットのまま製作していきたいと思います。

フロントのタイヤは程よいキャンバー角が付いて格好いいのですが、少々トーアウトぎみ。このハの字を逆ハの字ににしてトーイン設定にすべく、後ほどタイロッドを調整したいと思います。

それにしてもフロントのサスペンションアーム類は細くて非常に折れやすいです。折れないように何らかの対策が必要かもしれません。

このシーズン最大のウイリアムズの特長であるミドルウイング。

空力のスペシャリスト、エイドリアン・ニューウェイの設計で第6戦カナダGPにはベネトンも真似して採用するほど。

FW16の特徴を捉えていますが、実際のサンマリノGPとは少し違うようです。

さて、製作の方向性ですがいつものようにあまりこだわらず、今回もF2007同様エンジンカウルは開閉しないプロポーションモデルで製作していきたいと思います。

 

 

2010.04.17(土曜日)

前回まで懸案事項でしたロアアームの取付部を修正していきたいと思います。

写真でもわかるように、ロアアームの取付部がフロントノーズ側で固定されております。レース中でフロントノーズを破損してしまったときに、これではどうやってフロントノーズを交換するのでしょう。

修正方法は色々とあるとはおもいますが、現在のアライメントを狂わすことなく修正していきたいと思います。

まずは、キットを裏返しにしてどのように修正するか良く観察します。

理想は赤で引いたライン上にロアアームを持ってくること。

こうすればアライメントを狂うことなく修正できます。

それでは実際に修正していきます。

まずは、ロアアームを一度キットから取り外して、紙に現状の位置を記録しておきます。パーツの周りを鉛筆で記すだけで良いでしょう。

これが位置を決める型紙になるので重要になってきます。

型紙を作ったので、あとはためらいなくロアアームの先端を写真のようにバッサリ切り落とします。

切断面は綺麗にしておきたいのでエッチングソーを使うと良いでしょう。

ここまでの作業は簡単です。ただ次の作業が少々厄介になっていきます。

最初に観察したとおり、写真の位置にロアアームの受け部を持ってきたいわけです。

そうすると、現在の角度ではタイヤ側の受け部に問題が生じます。

そこで、角度を広げてあげるわけですが、

切断しようかとも考えましたが、一番手っ取り早い方法でライターの火にあぶって強制的に曲げてやることにしました。

パーツ事態、細くて貧弱なので、ライターの火を長く当てると簡単に溶けてしまいます。ライターで一瞬炙るくらいで少し柔らかくなったら角度を調整します。

写真の角度くらいがちょうど良いでしょう。

何度も言いますが、火に当てる時間はほんの一瞬です。

角度が決まったら、ロアアームを復元するために、切り離したパーツの先端に0.3ミリの穴をピンバイスで開けて、0.3ミリの真鍮線を差し込んで瞬間接着剤で固定します。

強度的には0.3ミリの真鍮線では弱そうですが、瞬間接着剤でがっちり固定してあげれば十分の強度が出ます。

あとは、先ほど書いた型紙に合わせて3つのパーツを接着します。

この型紙の角度が狂うと、アライメントも狂ってしまうので注意しましょう。

接着部には、瞬間接着剤を多めに塗って完全に乾かします。

加工が終わりましたので、一応比較画像を載せておきます。

下側に有るのがキットの既存のパーツ。

そして上側に有るのが加工したパーツ。

ロアアームの受け部がずれたことが良くわかります。

それでは、実際にロアアームを組んでみました。

予定した部分にロアアームの受け部がきたので成功です。

アライメントも狂うことなく取り付けることが出来ました。

モノコック側のロアアームの受け部をヤスリで削り取ってあげれば完璧です。

さて、続いてはフロントタイヤがトーアウト気味で気になったのでタイロッドを調整します。

写真のようにタイロッドの中央部を切り落とし、1ミリほど短くしました。

写真では3ミリくらい切り落としてしまいましたが、取り付けてみると異常にトーインになってしまったので、再度調整してあります。

1ミリくらい短くすればちょうど良いかと思います。あとは好みの問題です。

調整したタイロッドを取り付けてみました。

分かり易いように点線でタイヤの中心を記してみました。

弱トーイン角になったので、フロントの足回りセッティングはこれで良いでしょう。

さて、もう一つ心配事が。

サスペンションをセッティングするためのカバーを取り付けてみると、プッシュロッドがカバーを押しつけています。そのせいでカバーが浮いた状態になっています。

これは、プッシュロッドの先端が非常に細くてキットに過重に耐えきれなくて折れ曲がっているせいです。

私はプロポーションモデルで製作するので、このカバーは固定してしまうのですが、固定しないで製作する方は、何らかの対策が必要になってきます。プッシュロッドの先端を金属線に置き換えて強度を確保する等の対策が必要です。

私も後から折れてもげてしまうと嫌なので、金属線に置き換えようか検討中です。