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株式投資のリスクはどのくらい高いのか?
「株で大儲けした」という話と同時に聞くのが「株で損をした」という話。実際に株式投資のリスクはどのくらい高いのでしょうか?
リスクについてしっかりと理解しておかないと損失が出たときに大変なことになってしまいます。
ここでは株式投資のリスクについて、「取引のしかたによるリスク」と「資金の種類によるリスク」という2つの視点から解説し、リスク管理において重要なリスク許容度について解説していきます。
「取引のしかた」によるリスク
取引の仕方というのは、どのような投資方法をするかということです。
- 一点集中買いか分散投資か
- 大きな金額か少額か
- 値動きの激しい銘柄かゆるやかな銘柄か
- 短期投資か長期投資か
分散投資をせずに一点集中買いをすればリスクは高くなりますし、取引の金額が大きくなれば大きくなるほど比例してリスクも大きくなります。また、値動きの激しい銘柄なのかゆるやかな銘柄なのかによってもリスクは変わってきます。
ここについては一般的にリスクが高いほど勝ったときのリターンが高くなります。ハイリスクハイリターンかローリスクローリターンか、うまくその中間のバランスをとっていくかということですね。
どういう取引をするかで金銭的なリスクはかなりコントロールできます。
「リスクとリターンの割合は同じ」と考えるのが基本
この取引の仕方によるリスクは基本的にリスクとリターンは同じと考えましょう。
1年で100万円増やしたければ1年で100万円失うリスクを取る必要があるということです。
1年で10倍にしたければ、1年で10倍失うリスク・・・と言っても株の現物取引ではマイナスにはならないので、そのくらいのペースで減る、つまり1年で10倍にしたければ1ヶ月くらいでゼロになってしまうリスクがあるというイメージです。
逆に「1万円以上減ったらマズイ」なら「1万円増やすのを目標にする」ということです。
「夢のない話だ」と思ったなら投資に対するイメージと現実とでギャップがあるので、すぐに投資を始めるのはやめてもう少し勉強したほうがいいと思います。
「失敗しても10万円で済むけどうまくいけば100万円儲かる」みたいな話は無いです。(そういう話を持ちかけられたらまず疑って徹底的に相手を調べましょうね)
例外としてここ数年の実績ではリスクよりリターンのほうが圧倒的に大きいIPO(新規公開株式)などもありますが、そういうものはみんなが狙うので抽選になります。まあIPOの抽選にたくさん参加するというのはアリです。私も今でもやっています。
話を戻しますが、このリスクをどう減らして取引していくか(リスク管理)や、リターンをどう増やしていくか、含み益が出たときにちゃんと利益確定をしていくかというのが投資の経験やスキルになります。
リスク管理を上手くして減ってしまう可能性を減らしていく、情報収集や売買タイミングで増えるほうに行く可能性を高める、利益が出ているうちにしっかりと利益確定していく、ということです。
「取引のしかた」によるリスクを下げる方法
リスクを下げる方法としては、例えば逆指値などでしっかりとロスカットの設定をしておくことでリターンを下げずにリスクの可能性を下げることもできます。面倒くさがらずにきちんと一手間をかけることでリスクを減らすということです。
例えば私の体験だと、以前の暴落のとき、逆指値でロスカット設定をしっかりしていたので損失は出ましたがそこまで大きな損失にはなりませんでした。しかしその前の株価が急上昇していたときには大きな利益を出していたので、トータルの収支ではかなりのプラスが出ました。
上がっているときも油断せずにしっかりとロスカット設定はしておく。この一手間によって上がっているときは大きく利益を出し、下がったときにも損失を最小限に抑えることができます。
また、急落後の値動きが激しいとき、慣れない動きで読めないのに「何とか下がった分を取り戻そう」と焦って買った人も多いようですが、「わからないときは様子を見る」これも大事です。
- 上げているときでも油断せずにロスカット設定
- 値動きが読めないときは様子を見る
これ、意外と守らない人が多いのでぜひやっておきましょう。また、リスクに関して考えるときは自分のリスク許容度を知っておくというのも大事です。
まずこれが「取引のしかたによるリスク」です。ここは数字上なので基本的にリスクとリターンの関係は同じです。
そして次に大事なのは、同じ金額でもそのお金によってリスクの高さが全く違うということです。
「資金の種類」によるリスク
次に、資金の種類によるリスクですが、これは「どんな資金で取引をするか」ということです。参考:投資に使って大丈夫?自分の資金の種類を4つに分けて考える
借金して投資をするなんてことはさすがにしないと思いますが、それ以外でも、結婚資金や子供の教育資金など、”将来必要になることのために積み立てた資金”や、退職金などの”生活に必要になるお金”、これらの資金を使って投資をすることはおすすめしません。
”金額”は同じでも、”人生設計のリスク”が大きく違います。
同じマイナス10万円でも、使う予定のない貯金が10万円減ってしまったのと、来月の家賃も光熱費も払えなくて借金を作ることになるマイナス10万円では全然違います。
資金の種類によるリスクを減らす方法
資金の種類によるリスクを減らす方法はシンプルで、余裕資金で投資しましょうということです。
ここは単に数字の大小でのリスクではなく自分にとってのその資金の重要度や心理的なリスクなので、大事なお金ほどリスクが高くなりますし、必要になる時期が近いほどリスクが高くなります(減ってしまった分を貯金などで取り戻せる確率が減るため)。
大事なお金で投資するのは割に合わない
すぐに必要なお金や大事なお金ほど心理的なリスクは大きくなる、でも金額(数字)は同じなのでリターンは大きくならないということになります。
つまり大事なお金は数字上はリスクとリターンの大きさは同じですが、心理的にはリスクのほうがリターンよりはるかに大きくなります。
大事なお金でリスクの高い投資をしてしまうというのは割に合わないということですね。
株式投資は当面使う予定のない貯金などの余裕資金でやるようにしましょう。
自分のリスク許容度を知っておく
投資をするときに自分のリスク許容度を知っておくというのは非常に大事です。そして、自分のリスク許容度を知るためには物理的・感情的なリスク許容度を知っておくことがポイントです。
リスク許容度をわかりやすく言うと
投資の初心者のかた向けにわかりやすく言うと、リスク許容度とは「どれくらいのリスク(損失)なら許容できるか」というものです。
投資ではリスクとリターンの大きさはだいたい同じというのが原則で、1年間で10倍を狙うなら1年間で10分の1になるリスクもある。1年間で2%の上昇を狙うなら1年間で2%下がるリスクもある、という感じです。
「1%くらいは減っても大丈夫だけど10倍を狙いに行きたい」というのは無理な話なんですね。
例えば宝くじは投資として考えると非常にハイリスクハイリターンです。当選すれば何億円だけどほぼ100%に近い確率で資金の90%を失うという、投資で考えたらありえないほどのハイリスクハイリターン商品です。
じゃあなぜみんな宝くじを買えるのか?
「株は危ない」「投資は危険」なんて言ってる人でも平気で宝くじを買えるのかというと、それが「リスク許容度」の話で、自分が十分にリスクを許容できる範囲のお金で買うからです。
もしリスクの金額が小さくてリターンが大きいものがあったとしても、300円で1億円を狙う宝くじと一緒でほとんど勝率がゼロに近い(宝くじは投資と考えると買った金額の9割がかなり高い確率で無くなる超ハイリスク商品と言えます)か、IPOのように申し込む人が殺到して抽選になるでしょう。
話を戻しますが、リスク許容度は「投資する金額に対してどのくらいの損失なら受け入れられるか」というのがあなたのリスク許容度と思っていいでしょう。
ここで、自分のリスク許容度を知るときに知っておくことがあります。リスク許容度には具体的な金額があるわけではありません。
リスク許容度に具体的な金額はない
リスク許容度は「自分のリスク許容度は〜円です」という具体的な金額があるわけではなく、金額が上がれば上がるほどどんどん許容できなくなっていくようなイメージです。
100円なら損しても平気、でも1000円だとビビる、1万円は絶対無理、というように具体的な金額があるわけではなく「だいたいこのくらいからビビり始めるかな」という大雑把なイメージです。
心理的・精神的なものなので、資金の種類やその時の状況(収入や貯金の金額など)によっても変わってきます。
ただ状況が大きく変わらない限り基本的にはそこまで違いはないので、「自分は損失がどのくらいの金額になると焦る」といった自分のリスク許容度の感覚を知っておくと良いです。
特に「このくらい損失が出ると焦る」という部分は知っておきましょう。
焦ると正しい判断ができなくなるので、そこに達する前に損切りをするように投資をすることが重要です。
そのラインを超えると損失が増えるほど冷静に判断できなくなることを認識し、なるべくそのラインを超えないように、超えた場合はなるべく早く損切りをすることを心がけると良いでしょう。
もちろん状況によりますが投資は感情をブラさず正しい判断をすることが長期的に考えて利益を出すためには大事ですからね。
リスク許容度は物理的なリスク許容度と感情的なリスク許容度の2つの指標を知っておくと良いです。
物理的なリスク許容度と感情的なリスク許容度の2つの指標を知っておく
物理的なリスク許容度
物理的なリスク許容度というのは「これ以上の損失が発生すると経済的にヤバイ」というようなもの。自分の資金の種類を4つに分けて考えるでの余裕資金を超える部分はリスクだと言えます。
次に説明する感情的なリスク許容度のほうがトレードのときの影響が大きいのですが、この物理的なリスク許容度を知っておかないと「気づいたら家計がヤバイことになっていた」なんてことにもなりかねません。
また物理的なラインは資金をちゃんと分類すれば金額もわかるものなのでこちらをまずは知っておきましょう。
感情的なリスク許容度
感情的なリスク許容度は、言い換えれば「どのくらいのプラスやマイナスなら感情をブラさずに冷静に判断できるか」とも言えます。
「自分は感情的になんてならないよ」と思う人もいるかもしれませんが、例えば120円の缶コーヒーをかけたジャンケン勝負と1回1万円をかけたジャンケン勝負では同じジャンケンでも同じ精神状態でいられるでしょうか?1万円の勝負なら?1回で100万円の勝負なら?
120円の缶コーヒーならまあ負けてもあきらめがつくけど、1万円の負けは痛いという人が多いでしょう。100万円負けたら多くの人はかなりの痛手です。そんな勝負しようとすら思いませんよね。
この「いくらまでなら大丈夫」というのが感情的なリスク許容度です。
感情的なリスク許容度は人によって違います。資金が1億円ある人と100万円しかない人では違うし、資金が同じ1億円ある人でも100万円のマイナスくらい全然平気という人もいれば100万円のマイナスなんて耐えられないという人もいます。
この感情的なリスク許容度は経験から知ります。利益が出たときどのくらいでワクワクしだしたか、どのくらいで「もっと上がるはず」と根拠のない期待の思考が出てくるか、損失が出たときいくらくらいなら心がブレないか、どのくらいになると「取り返さなきゃ」と焦ってくるか、「やばい」と思った瞬間などを冷静に分析して見つけます。
この自分のリスク許容度を知って投資するのと知らずに投資するのでは大きく違います。
自分のリスク許容度を超えてしまうとどうなるのか?
リスク許容度を超えてしまうと、冷静に判断できなくなります。大きすぎるプラスは欲が出て「もっと儲かるかも!」と高いリスクを取ってしまったり、リスク許容度を超えたマイナスは焦って判断を誤ったり「何とか取り返さなきゃ!」と高いリスクを取ってしまったり、待つべきところで待てなかったりします。
高いリスクを取るということは、うまくいけばいいのですが、(すでにリスク許容度を超えていて)冷静でないときの判断は「根拠の無い期待」が入ったりして基本的には運任せよりもうまくいきません。
そして、高いリスクはうまくいかなかったときに傷口をさらに大きく広げてしまいます。そうすると、ただでさえリスク許容度を超えているのにそれ以上のマイナスが出てしまえば感情の乱れはより大きくなり、自分を止められなくなってしまいます。
ギャンブルで負けて借金を取り返すために借金を膨らませていく人と同じ心理や思考のパターンに入ってしまうわけです。
そうならないように、自分のリスク許容度をちゃんと知っておき、その範囲を超えないようにすること(早めに損切りや利益確定するなど)が大事です。
そして、その範囲を超えたときは「自分は冷静な判断ができない可能性が高い」と自覚し自分の判断を疑いましょう。いったんトレードから離れるのも一つの手です。
感情は大きくなればなるほど頭ではわかっていても止まれなくなるもの。感情が小さいうちに手を打つ、そのために「このラインは超えない」という線引きをしておくということですね。
株式投資を行う余裕資金がない場合は・・・
株式投資は元本保証ではないので、あくまで余裕資金で行うのが大前提となります。「余裕資金なんてないよ!」という方もいるかもしれませんが、今は小額でも取引ができるので、余裕資金は小さい金額でも十分です。
5万円以下で買える株もたくさんあるし、投資信託にいたっては月1000円からできる積立の投資信託もあります。
また、今は余裕資金が全くないという方も、今すぐ実際の取引はしなくていいので、将来のために勉強をしたり、投資ができる環境(口座など)は整えておくとよいでしょう。
今資金がなければ学びながら計画を立てて資金を作ればいいんです。それができない場合は株はおすすめしません。株は自分(の欲や不安)との戦いが大きいので、自分をコントロールできないうちは、練習はいいですがまだ本番の取引を始めるのはあまりおすすめしません。
「投資の考え方」ができるようになると「お金の貯め方」もだんだん上手くなってきます。
今後、投資などの”お金を働かせる収入の得かた”や”投資の考え方”は時代の流れから必ず必要になってきます。でもこれらは学校では習ってこなかったので、自分で行動を起こして覚えていく必要があります。
そのための第一歩として、今回の「リスク」についてしっかりと理解した上で、実際に株式投資の情報や環境に触れてみてはいかがでしょうか?
環境が揃っていると知識を得たときにしっかりと頭に入ってきますよ。