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名古屋税経新人会

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        会長  川ア 隆也

 

相続税改正!!で


新しい年を迎え、改正相続税法がスタートしました。この改正が適用されるのは、平成27年1月1日以後相続又は遺贈によって財産を取得する場合(申告ではない)になります。すでに、皆様も、かなり研究のことと思われますが、今一度簡単に改正の内容に触れてみたいと思います。

 本改正の目的は、昭和63年以降、主にバブル期の地価高騰を背景に引き上げられてきた基礎控除について、地価の下落がその時以前の水準に戻ったにもかかわらず据え置かれてきたことを見直すためになされました。これにより、被相続人に対する課税対象者の割合は、改正前の4%程度から6%程度に上昇するとされています。被相続人が、老後生活のための預貯金と地価が高い地域に自宅を所有しているなら、対象とされるレベルになったのです。従前の定額控除5,000万円+比例控除1,000万円×法定相続人の数であった基礎控除は、40%減の3,000万円+600万円×法定相続人の数となりました。この部分だけでも、皆様の税負担が重くなるといえましょう。

 これに加えて、税率区分も変更されました。これまでの、各法定相続人の取得金額1億超3億以下の税率40%の区分に、新たに中間点となる2億超3億以下45%税率ができ、そして、3億超50%の区分に、6億超55%の区分が登場しました。適用される区分が、新設区分に該当する場合、税率引き上げによる税負担増となります。

 他方、相続税の負担減となるものには、相続税額から一定額を差し引く未成年者控除・障害者控除が引き上げられました。また、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例において、居住用宅地の限度面積が拡大されるとともに、居住用宅地と事業用宅地(不動産貸付を除く)のみの場合、調整計算が不要となる完全併用が可能となりました。

 今回の改正において、小規模宅地の評価減の適用を効率的に受けることのほか、我々が取りうる方法を考えますと、月並みですが、やはり被相続人の財産を減らしておくことになろうかと思います。例えば、相続税がかからない、一般的な墓地や墓石等、日常礼拝する物を準備したり、今からでも間に合う非課税となる生命保険金を法定相続人の数×500万円分準備したり、退職金を受け取れるケースでは、あえて非課税として受け取れる退職手当金等を法定相続人の数×500万円分確保したりします。他には、子や孫への生前贈与を一定額以上進めること、場合によっては教育資金等の一括贈与を行うこと、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用の不動産の贈与行うこと等があります。それ以外の方法では、養子で法定相続人を増やし、適用税率区分を下げる方法が有効です。

皆様におかれましても、いろいろ取り組むべき課題がおありでしょうが、やはりその究極は、いかに親族間でもめ事をおこさないようにするかです。将来の分け方やその額において、相続人の一致が得られない場合は、相続対策自体が進まないという事態が想定されるからです。

 

 

                                       


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