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VC-25A Air Force One

VC-25A Air Force One
VC-25Aエアフォース・ワン

SPECIFICATION
 ◆全幅:59.64m
 ◆全長:70.66m
 ◆全高:19.33m
 ◆翼面積:510.95u
 ◆自重:175,000kg
 ◆全備重量:364,550kg
 ◆最高速度:1,010km/h(マッハ0.92)

 大統領専用機の歴史は古く、1944年に当時のフランクリン・ルーズベルト大統領の移動に使用されたC-54“セイクリッド・カウ(神聖にして犯すべからざるもの)”にその起源がある。その後、47年からはDC-6“インディペンデンス”、53年からは“コロンバインII”…と続くが、「エアフォース・ワン」という呼称が一般的に知られるようになったのは、ケネディ政権時に使用されたVC-137が始まりである。
 現用のVC-25Aは1990年、VC-137Cの後継機として2機が 米空軍 アンドリュース空軍基地(メリーランド州)の第89空輸航空団に配属された。
 機体は ボーイング の民間旅客機747-200Bを原型としてるが、電子機器・通信機器を完備、胴体前後部には内蔵タラップを装備し、空中給油機からの燃料補給にも対応している。また、「空飛ぶホワイトハウス」の異名に違わず、機内には大統領執務室や政府高官用会議室を備えているほか、調理設備や医療設備も完備、賓客やシークレット・サービス、マスコミに提供される設備も有している。
 なお「エアフォース・ワン」というのは大統領搭乗時のコールサインであり、本機に限らず米空軍のどの航空機に大統領が搭乗していた場合も、その航空機のことを「エアフォース・ワン」と呼ぶ。


C-9A Nightingale

C-9A/C Nightingale
C-9A/Cナイチンゲール輸送機

SPECIFICATION
 ◆全幅:28.47m
 ◆全長:36.37m
 ◆全高:8.38m
 ◆翼面積:92.97u
 ◆自重:25,940kg
 ◆全備重量:54,890kg
 ◆最高速度:840km/h

 C-9はマクダネル・ダグラス(現・ボーイング )の傑作ジェット旅客機DC-9シリーズ30をベースに、軍用に改造された中距離輸送機で、患者輸送型のC-9Aおよび政府高官輸送型のC-9Cが2003年7月まで 米空軍 に就役していた。
 世界唯一の医療後送専用機であるC-9Aは、1968〜73年に21機が生産され、先頃まで航空機動軍団に所属する20機のC-9Aのうち、10機をイリノイ州スコット空軍基地の第375空輸航空団が運用していたほか、海外では日本の 横田基地 の第374空輸航空団、ドイツ ラムシュタイン空軍基地 の第86空輸航空団に配備されていた。
 本機には最高40床の担架、または40名の歩行可能な傷病兵および4床の担架、もしくはそれらの任意の組み合わせの患者を搭乗させることが可能であり、2名の看護士および3名の航空医療スタッフが医療任務に従事する。また、機内には隔離または集中治療を必要とする患者のための特別治療室が設けられているほか、乗員室の22箇所には交流電源のコンセントが配せられており、機内のいかなる場所においても人工呼吸器や心電図モニター、保育器などの医療機器を使用することが可能である。さらに、機体前方および後方にはギャレーと洗面所を備え、天井には点滴ボトルを固定する器具が取り付けられているなど、徹底した医療設備の充実が図られており、胴体左側前方に備えた油圧式折り畳みタラップ内蔵の大型乗降口によって、効率的な担架および特殊医療器具の搬入が可能となっている。
 一方、政府高官および国防総省職員を空輸するC-9Cは、メリーランド州 アンドリュース空軍基地 の第89空輸航空団に3機が配属されており、しばしば副大統領や大統領夫人の移動にも使用されていた。


E-4B National Airborne Operations Center

E-4B NAOC
E-4B国家空中作戦センター

SPECIFICATION
 ◆全幅:59.64m
 ◆全長:70.51m
 ◆全高:19.33m
 ◆翼面積:510.95u
 ◆自重:180,000kg
 ◆全備重量:362,900kg
 ◆最高速度:マッハ0.86

 ボーイング 747-200をベースに改造されたE-4は、米国が国家緊急事態に陥った時、具体的には首都ワシントンが核攻撃を受けた際にも、米軍総司令官たる大統領、国防長官および幕僚を搭乗させ、米軍の組織的戦力を保持、戦争遂行を可能にするNAOC(国家空中作戦センター)である。
 最初に 米空軍 に引き渡された3機のE-4Aは、前任のEC-135に替わり1974年から就役を開始。その後、E-4Aに大幅な改修が加えられたE-4Bが80年に引き渡されており、85年までに全機がB型に改修されている。現在、この4機のE-4Bは航空戦闘軍団によって運用されており、ネブラスカ州オファット空軍基地の第55航空団に配属されている。
 E-4BはEC-135の3倍にあたる広大な床面積を有し、最高で114名の収容が可能、機内は主に戦闘指揮区画、会議室、作戦室、搭乗員区画、通信区画、休憩区画の6つの区画に分割されている。また、搭載された各種通信機器は対潜水艦通信(VLF=超長波)を含むあらゆる波長に対応、商用電話回線や放送網を介しての一般国民に対しての伝達手段も備え、世界各国の首脳との通話も可能となっている。さらに、機体は核爆発によって発生する電磁波を遮断する構造を持っており、無給油で12時間、空中給油を受ければ最高で1週間もの間滞空し続けることが可能である。なお、大統領の近くには常に最低1機のE-4Bが待機しており、大統領が外国を訪問する際にも、本機は必ずエアフォース・ワンに同行している。
 当初はAABNCP(発達型空中国家指揮所)、その後はNEACP(ニーキャップ=国家緊急空中指揮所)の名で知られていたE-4Bであるが、1994年以降、その高度な通信システムを生かし、FEMA(連邦危機管理庁)の要請によって自然災害発生地域での支援活動も行なうようになったことを反映し、現在は前述したNAOCの名称が与えられている。


AC-130U Spooky Gunship

AC-130H/U Gunship
AC-130H/Uガンシップ

SPECIFICATION
 ◆全幅:40.41m
 ◆全長:30.10m
 ◆全高:11.66m
 ◆翼面積:161.12u
 ◆自重:34,000kg
 ◆全備重量:78,000kg
 ◆最高速度:480km/h(マッハ0.40)

 ロッキード(現・ロッキード・マーチン )AC-130は、同社の傑作中距離戦術輸送機C-130を派生させた固定翼ガンシップである。
 ガンシップ構想はベトナム戦争中に生まれた。ガンシップ機が行なう主任務は近接航空支援であり、具体的には地上の一点を中心に旋回を続け、側方射撃と砲撃を集中的に浴びせるといったものである。AC-130はこの構想の成功例であり、ガンシップ構想の黎明期に生まれたAC-47およびAC-119の有能な後継機となった。
 初期に製造されたC-130Aの改造型AC-130A(18機)は1995年まで 米空軍 に就役し、現在は全機が退役している。続いてC-130Eの改造型であるAC-130E(11機)が登場、105mm榴弾砲の搭載、エンジンの換装などの改良が加えられた結果、同機は型式名をAC-130Hと改称し、現在も8機が第一線で活躍している。
 本機の最新型はAC-130U(13機)である。AC-130UにはGPSやINS(慣性航法装置)のほか、最新の防衛用電子機器が導入されており、長距離において目標を探知・識別し、スタンドオフ距離と威力が強化された搭載火器により、2目標を同時に攻撃することが可能である。
 余談だが、AC-130Hの愛称は“スペクター”であり、AC-130Uの愛称は“スプーキー”である。両者とも幽霊、あるいは恐ろしいものといった意味だが、U型に使用されているスプーキーという愛称は、ガンシップの先駆的存在であるAC-47にも使用されていたものである。


EC-130E Commando Solo

EC-130E/J Commando Solo
EC-130E/Jコマンド・ソロ心理戦機

SPECIFICATION
 ◆全幅:40.41m
 ◆全長:29.79m
 ◆全高:11.82m
 ◆翼面積:161.12u
 ◆自重:No Data
 ◆全備重量:69,750kg
 ◆最高速度:540km/h

 輸送機として理想的な積載能力、航続距離、低速度性能を誇るロッキード(現・ロッキード・マーチン )C-130は、その多用途性を生かして多数の派生型が作られており、空輸任務以外の分野でも優れた功績を残している。
 ペンシルベニア州ハリスバーグ国際空港に本拠を置く ANG(州空軍)の 第193特殊作戦航空団 が6機を管理するEC-130E/Jは、情報作戦および心理作戦に特化した航空機であり、軍事通信はもとより、全世界の標準的なAM、FM、HF(短波)といったラジオ放送およびカラーテレビ放送を中継する任務が与えられている。本機はこの能力を生かして対象となる聴衆へ宣伝放送を行い、軍人の投降と民間人の思想改善を促している。
 機体は、基本的にはC-130Eを母体に、EC-121コロネット・ソロに使用されていた電子機器を搭載、さらに航法システムの強化や自己防衛機器の装備などの改造が施され、空中受油も可能となったものである。EC-130Eヴォラント・ソロとして知られた同機は、グレナダ侵攻やパナマ侵攻で空中ラジオ局として活躍、1990年に新設された特殊作戦司令部の管轄下に置かれコマンド・ソロと改称された後も、湾岸戦争の「砂漠の盾」「砂漠の嵐」両作戦やハイチ政変で暗躍し、最近ではボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)、アフガニスタンの上空でもラジオ・テレビを通じて国民にプロパガンダ放送を流し続けている。
 なお、EC-130JはC-130Jを母体とした新型のコマンド・ソロで、4翅プロペラのEC-130Eに対し、EC-130Jには6翅プロペラが採用されており、高出力の アリソン 製AE2100DSターボプロップ・エンジンと相俟って飛行性能が大きく向上している。ちなみに、EC-130Eという名称を持った機体には、空中から作戦行動を統制するABCCC(空中戦場指揮管制センター)、心理作戦機のリベット・ライダー、コムフィ・レヴィ、シニア・ハンターといった派生型も存在する。余談だが、この他にもC-130の電子型としてはEC-130Hコンパス・コール通信妨害機が敵の防空網を妨害する任務に活躍しているほか、米海軍でもいくつかの改造型が就役していたことがある。

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