6、浮島

下の写真をご覧いただきたい。新島の東側に早島という小さな無人島があるが、その島が少し空中に浮かんでいるように見える。


浮島現象 2005/12/3 差木地漁港から撮影

浮島と呼ばれるこの現象は、海水温が気温より高く、風が弱いときに見られる。大島では秋から初冬にかけてよく見られる一種の蜃気楼だ。 光の速さは空気の密度によって異なる。密度が小さいほど速くなるので、海面付近の空気が暖められて密度が小さくなると、それより上の空気の層よりも光の速さが速くなって上向きに屈折する。その結果、海面付近が鏡のような働きをして、遠くの島が海面に映ったようになる。夏の暑い日に、直線道路の遠くに水たまりがあるように見える「逃げ水」も同じ原理である。

  有名な富山湾の蜃気楼は、これとは逆に冷たい海面の上に暖かい空気があるとき、対岸の景色が上に伸びたように見える現象で、光が下向きに屈折するために現れる。
 
 浮島という呼び方から、島が上に浮き上がったような印象を持つかもしれないが、海面下に映った逆さまの島影が見えているわけで、本来の水平線は写真の水平線よりやや上、島影が横に細く伸びた位置にある。



逃げ水


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