2017.12.22

朝、雄鶏がコケッコーと鳴き始める時間は季節のよらず一定だった

 昨年12月の東京新聞サンデー版に、
「雄鶏がコケッコーと鳴くタイミングは外部の刺激よりも体内時計が優先されて、明るくなる2~3時間前から鳴き出す」
という、名古屋大学吉村崇教授のコラムが掲載されました。今年(2017年)が酉年だということにちなんだのでしょう。

「朝日」や「日経」にも掲載されていたようですが
 National Geographic News 2013.03.21 から要点を抜粋すると
 実験の第1段階では、1日のうち12時間は明るく、12時間は薄暗い環境で雄鶏を14日間飼育した。この条件下では、雄鶏は点灯の2時間前から予知的に鳴き始めていた。
 実験の第2段階では、雄鶏を24時間薄暗い環境で14日間飼育した。この場合、雄鶏は1日を約23.7時間とする周期で行動するようになり、その生活リズムにおいて夜明けと考えられる時間に鳴くことが確認された。
簡単に言えば
① 昼夜12時間周期の環境では、夜明けの約2時間前から鳴き始め
② 常時薄暗い環境では、雄鶏の体内時計の周期である23.7時間の周期で鳴く。
つまり、雄鶏は、夜明けを感じたから鳴き始めるのではなく、昼夜の周期に同調した体内時計によって夜明けの2時間前を予知して鳴く、ということです。  吉村崇教授の論文はこちら


 ところで、私は自宅の庭で、鶏(メス約60羽オス1羽)を放し飼いにしています。鶏と一緒に生活しているようなものですが、かねてから、1羽の雄鶏が朝いちばんにコケッコーと鳴くのは、3時半から4時の間が多く、しかもそれは季節にかかわりないような気がしていました。吉村論文の、雄鶏は夜明けの光を感じて鳴くのではなく、体内時計によって予知的に鳴く、という点についてなるほどと思う反面、夜明けの約2時間前に鳴くという点については疑問を感じました。明るくなる2時間前に鳴き始めるとすると、冬は遅く夏は早く夜明けの時間の変化につれて雄鶏が鳴く時間も季節変化することになるでしょう。私の日頃の経験とは違うような気がしました。

そこで、我が家の1羽の雄鶏ジローのコケコッコー第一声を記録してみようと思い立ちました。


雄鶏ジロー



 2016年12月8日から2017年12月7日の1年間(ジローの3歳9か月から4歳9か月)記録した結果は以下のとおりです。
 なお、当地は林に囲まれていて、人工的な光や音の影響はほとんどありません。



第一声の季節変化

  • 実線は31日移動平均
  • 破線は日の出時刻
  • 点線は夜明け時刻(あたりが明るくなった頃、江戸時代の不定時法で明け六つ、太陽の伏角が7°21′40″になった時 )
  • 月の朔望の影響を見るために満月の日を記入してみましたが、関係はないようです。


 日々のばらつきをならして31日移動平均でみると、ジローの第一声は2月初めが最も遅く4時ごろ、5月半ばが最も早く3時25分ごろでした。夜明けの季節変化と位相は概ね一致しているように見えます。ただし、夜明け時刻の季節変化量2時間25分に比べてコケッコーの季節変化量は35分と4分の1弱、夜明けの2時間前に鳴く、ということではなさそうです。
 雄鶏の鳴く時刻は体内時計によって制御されているということは確かですが、その体内時計は夜明けの時刻にだけ同調しているのではなく(多分、夕暮れの時刻にも同調していて)年間を通して大きな変化はない、というように私には見えます。



第一声の時間分布


 観察期間 2016/12/8~2017/12/7 
最早 2:30
平均 3:44
最遅 4:37
データ数 352
標準偏差 19分37秒

 大雑把に、季節変化を無視して、第一声時刻全部を10分ごとの度数分布で見たのが上のグラフです。平均は3時44分、標準偏差が19分37秒であることから平均の前後20分に7割程度が入ることになり、ざっと3時半から4時の間に鳴くことが多い、という以前からの私の印象はあながち間違いではなかったと考えます。ただし、たった1羽の観察対象なので一般的に雄鶏のコケッコーはこうだ、とは言えないと思います。観察を継続します。






2年目の記録(日々更新)





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