VOL.1 オリジナル盤を探す
JAZZの、特にレコードも聴く者にとっては本で言うところの”初版本”に相当する
”オリジナル盤”は非常に気になる存在である。
ところが、ブルーノートやリバーサイドなんかのオリジナル盤は猛烈に高価で、レコードの中古コーナーでも壁面の遙か上空に鎮座していたりする。当然”0”の数は一つ、場合によっちゃ二つも多いのがほとんどで、購入なんかどだい無理だ…と諦めてたものでした。
さて、ここに登場するアルバム…
Michel Petrucciani TRIO ”ESTATE”
以前、ディスクユニオン主催のレーベル”DIW”から国内盤としてCDが発売していて(現在は違う会社から国内盤がリリースされている)、てっきりCDしかないものと思ってたところ中古盤でLPを発見。自分のオーディオはCDよりもレコードの方がイイ感じに鳴るので、これ幸いと喜んで購入。中身を見るとこれもDIW扱いだった。
ジャケットの裏を見てみると、
「1991 IRD Licensed by IRD/Super Stop Inc.」
と書いている。
「ふむふむ、元の外盤はIRDというところから出てたのか…」
とその時はそれくらいしか思わなかった。DIW盤を見つけてからそんなに間が空かない内に、またまた中古でジャケット右下に”IRD Records”のマーク入りの盤を発見。
「おお〜、これがオリジナルか!?」
と、これまた喜んで購入。嬉しかったので、レコードに詳しい方に見てもらったところ…
「これオリジナルじゃないよ〜」
とあっさり。なんでも、オリジナル盤はジャケットのパラソルが描かれている小窓のような部分が、外枠の部分と分離することが出来るとのこと。う〜む手元のアルバムはごく普通のデザインだ。
普通ならばここで、「そうですか…」と別にオリジナルを欲しいとは思わないはずであったが、今回はなぜか無性にオリジナル盤が欲しい…というか見たいと思ったのね。オリジナル盤というと音の違いの差はあれど、ジャケットのデザインが変わるのは少ない方で(たまに全然別物のジャケットデザインの場合もアリ)、せいぜいレコードのセンターラベルが違うくらいである。ところが今回のアルバムはデザインは同じであるが、造りが全然違うのだ。
探しましたよ、本当に…
中古レコード屋にいくたんびにピアノの”M”のコーナーを見るのがお決まりになりました。
それから約2年後…見つかりました。とうとう。状態が完全ではなかったので、そんなに高価ではなく(1万円でおつりアリ)ゲット。店から外にでるとなんか普段と景色が違ってなんかセピア色に見える。欲しいものを年単位で探して見つけた時ってそんな感じじゃないですか?
ね、本当に分離してるでしょ?
とりあえず今回の作戦は無事終了!けど、同じアルバムでも状態の良いものがあればひょっとして買い換えてしまうかもね。それがレコード愛好家の性でしょうな (完)
ずらりと並んだ”ESTATE”