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VOL.2 新冠町って知ってるか?


普段の行動パターンにおいて泊りがけで何処かに行くという事が極めて少ない訳であるが、行くまでの間腰が重いのであって行くと決まるとノリノリなのである。

さて、今回は出張ということで札幌でお仕事。土日を挟むスケジューで、月曜日も午前中からの仕事なので週末も札幌に滞在なのだ(その方が経費も安いのだ)。

「何処に行こう?」

場所がどこであれ、基本はJAZZ・オーディオ・食べ歩きの3本柱でHPの過去の日記を見ても大概はこのどれかに当てはまる場所に行く場合が殆どである。1日は札幌市内を歩いてみたいので土曜日は遠出することにしよう。

「そうだ!!」 と思いついたのが「レコード博物館」。以前に「analog」という雑誌にも紹介してあったっけ。昼休みの時間にネットで検索してみると出てきました。新冠町というところに町営の施設としてあるらしい。





新冠町って知ってますか?

競走馬に詳しい方なら北海道の日高地方にあるこの街は名馬ナリタブライアンの産地としてご存知であろう。札幌からだと、苫小牧から日高本線に乗り継いで片道2時間以上かかるらしい。別に他の人に気にする必要もないのでかかる時間などは気にしない。






5月29日の土曜日はあいにくの雨模様。

札幌から特急で苫小牧まで移動。苫小牧からの乗り継ぎも至ってスムーズだ(あまりのスムーズさに帰りにしっぺ返しを食らうことになるのだ)。

日高本線は一両編成。ワンマンカーで途中の駅も殆どの場合駅舎と呼べるものが無いのだ。


海沿いぎりぎりのところを走るので天気が良ければ太平洋のいい景色が望めるのだが、天気が悪いのでまるで冬の日本海のような様相である。

  

ようやく新冠駅に到着。駅から見える展望台のようなところがレコード博物館だ。見学料は500円ナリ。中に入ると壁面にはずらりと名盤が展示されている。いかにも博物館という風情だ。

基本的に所蔵しているレコードは寄贈されたもので、この日の段階で68万枚弱の数に上る。

 

館内は所蔵のレコードを聴けるリスニングブースと歴史的な蓄音機等を展示しているミュージアムブースとレコードコンサートを行うレコードホールがある。ミュージアムブースは写真撮影が禁止とのこと。

今回の一番のお目当てはレコードホール。毎時30分からお客のリクエストのレコードをレコードホールでかけてくれる。ホールの入り口脇にガラス張りでスピーカーの低域を受け持つコンクリート製のホーンをみることができる。4wayのオールホーン構成となると必然的に大規模になるのだがさすがに大きい。ユニットはGOTOユニット製で低域には片チャンネルで2つ使われている。


もう一つ扉を抜けると客席が設けられているホール内部である。朝顔のようなミッドのホーンの後ろに大きな開口部分がある。これが低域ホーンの音の出口なのだ。




ミッドより上の帯域のユニットも全てGOTO製。渋いブラウンの色とも相まって蓄音機のラッパを思わせる。


このスピーカーを鳴らすのはBrystonのアンプとアキュフェーズのチャンネルデバイダーを使ったマルチアンプ構成で、アンプを収納したラックはスピーカーの間に収められている。なかなか面白い組み合わせだ。

肝心のレコードプレーヤーはビクター製で、78回転、80回転にも対応しているとのこと。

  


システム構成をまとめると…

レコードプレーヤー :ビクター QL−V1−MC(2台)

フォノイコライザー :マランツ Model PH−1(2台)

CDプレーヤー   :ARCAM Alpha5 Plus

プリアンプ     :Bryston BP−20

パワーアンプ    :Bryston 2B−LP(6台)

チャンネルデバイダ :Accuphase F25

スピーカー(高域) :GOTO SG−180BL Σ

〃    (中高域):GOTO S−600+SG−380BL Σ

〃    (中低域):GOTO S−150B+SG−580LB Σ

〃    (低域) :GOTO SG−146LD Σ

こんな感じ。

さて、いよいよ音出し。自分以外にお客がいなかったのでリクエストのJAZZ系のアルバムをかけてもらう。

ビル・エバンスの定番 Portrait in JAZZから”枯葉”。

〜♪

真っ先に感じたのは「等身大」の音像&音場。ベース、ドラム、ピアノがまるで見えるような感じなのだ。普段狭い部屋で箱庭的な音を聴いている身にとっては感心することしきり。



勿論欠点が無いわけではない。パーソナルなオーディオの場合、自分の聴きたい音楽に合わせたチューニングが可能であるが、ここでは一つのシステムでクラッシックから演歌、アニメまで考えられる全てのジャンルに対応しなければならないのだ。これは案内してくださった方も言ってたことだが基本はクラッシック音楽再生で、必ずしもJAZZやロックは得意ではないとのこと。確かにそのとおりで出てくる音にキレやメリハリを求めるともう一歩突っ込んだ再生を求めたくなる。


下手な例えだと、ブラウン管で見る映像と大画面の液晶プロジェクターで見る映像の違いのようなものである。

とは言え、スティングの”English Man in NewYork”やYMOの”The End of Asia”なんかはとてもイイ感じでした。

あと、感心したのは所蔵のレコードのデータベース化で、リクエストしたレコードがものの1〜2分で検索できてすぐにかけることができること。70万枚近い中からYMOとトミーフラナガンのアルバムを同時にすぐ用意できたのには本当にビックリでした。




ミュージアムの方には蝋管式の蓄音機をはじめ数々の蓄音機が展示してあって、実際に聴くこともできました。現代オーディオでは得られない味のある音色を奏でていました。写真が撮れなかったので画像として残せなかったのが残念。

2時間くらい見て、聴いて十分堪能致しました。




昼飯も食べていなかったので隣接した道の駅で食事。メニューに「レコードラーメン」なるものがあったので注文してみるとレコードを模した大きい丸いチャーシューが乗ったラーメンでした。ウマ〜♪

で、そろそろ帰ろうと電車の時刻表を見たところ、次の電車がなんと2時間半後(!)

行きの電車の接続がスムーズだったのでついつい時刻表の確認がおろそかになってしまいました。
北海道のローカル線事情をなめてました…

結局博物館に逆戻りで出発時間まで再度音楽を堪能しました。




案内してくださった方々も本当に親切&丁寧で大変満足のひと時でした。

距離が遠くなかなか行く機会も無いとは思いますが、オーディオファンを自認する方は是非ともこの北の聖地を訪れてみて下さいませ。

その際は車で行くことをお薦めします(´ー`)




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