7.女性会議 
北京会議登録証の手に重しニューヨークよりの白き封筒

雅子妃と同じ靴とふ奮発すフォーラム会場は広大と聞き

世界中の女性の状況学ばむと母親五人村を出で来ぬ

女性会議歓迎の旗あふるるも北京の街は警備厳しき

会場を示す真っ赤なアドバルーン目指し歩けば胸の高鳴る

大和田大使の言葉逃さず野次の飛ぶ慰安婦問題に満員の部屋

公害の工場アジアに放り出す日本への非難目を閉じて聴く

昨日まで知識に過ぎざりし難民の苦悩隣の女性が語る

エジプトの発表の中解らぬとメモせし英語割礼なりし

アンゴラの女性と挨拶交はしつつその位置知らぬ我を責めいる

鮮やかな民族衣装の群れの中荷物を頭上に運ぶ女あり

逞しき黒人の母に抱かれたる乳児の笑顔に人ら寄りゆく

会場となりし校舎の入り口に女生徒の配る折り紙の花

マンデラのスカーフだけは枝に掛け南アの女性路上に商ふ

閉会式任せられたる若者らラップのリズムに平等うたふ

夕闇の包む会場に流れくる蛍の光に肩を組み合ふ

去りがたく膨らむ踊りの輪に入りて貰ひし扇かざし踊りぬ

お互ひを姉妹と呼び合うふ会なりし姉妹と呼べば胸熱くなる

手続きも日程組むも通訳も無事こなしきて生理遅るる

世界中の姉妹の痛み分かち合ふ生き方探さむ村に帰りて
二十首
平成7年度 短歌新潮賞
特別寄稿 みまき氏
      
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