おもしろ雑学(フルート・ピッコロ)
知ってるようで知らないオーケストラ楽器おもしろ雑学事典(緒方英子著)より
フルート・ピッコロに関係するところを抜き出してみました。
フルートに限らずこの本なかなかおもしろいです。みなさんも一度読んでみたらいかが?
●管楽器に限らず、水晶のブレスレットをして演奏すると、あっと驚くほど音色ががらりと変わった。 一説によると、演奏時に起こる水晶の振動が呼吸に何らかのプラスの作用を与えているとか。
●コントラバス奏者、吉田 秀さんの裏技です。 アルミホイル(お弁当のおかずを入れるアルミのカップでも1円玉でもOK)を靴の中にしのばせると、音の輪郭が際立ち、広いホールでも後ろの方まで音がぐんと伸びていく。 (オーケストラの中で演奏する時は、周りの音と溶け合わなくなってしまうのでやめて下さい。) 管楽器でも通じるそうですよ。 吉田さんによると、人間の体は頭がプラス極、足がマイナス極で電気が流れているため、アルミホイルを入れると極性が強められるのだそうです。 金縁のめがねとかネックレスをしていると、さらに効果絶大なのだそうです。ゴム底の靴では効果が無いので、革靴を選んで下さい。
●フルート奏者には肩こりの人が多い。 →私は腰も痛くなるような気もします(笑)
●全世界的にみても、フルートは管楽器の売り上げでナンバーワンを誇る。とにかくたくさん売れるそうです。 その理由に、西洋・東洋問わず「音楽教室」で学ぶ人が多いこと。 日本やアメリカではこの他に、吹奏楽など学校教育の場で吹く人が多い事も挙げられる。 韓国では管楽器販売数の約半分を占めている。 持ち運びの便利さと、楽器を構えただけで女性が可愛く美しく見えるような視覚的効果も根強いフルート人気を支えている。 中学、高校では「かわいい女の子」ぶりたい学生たちが殺到。
●フルート奏者は、穴が開いている身の回りのものを器用に鳴らせる。(ジュースの瓶・鉛筆キャップなど)
●ピッコロの内径はちょうどFAXの紙芯と同じらしく、穴を開ける苦労をいとわなければ即席ピッコロが作れる。
●フルートのサイズ 約65㎝(C管)、約405g ◇ ピッコロのサイズ 約34㎝、170g
●タンポの薄い皮は、山羊の腸の皮。
●C管しか持っていなくても、足部管に新幹線の切符を丸めて入れるだけでHを出す事が出来るらしい。
●下あごにかく汗による滑りを防ぐ意味で、リッププレートに切手を貼る。 もったいないので、切手シートの耳を貼る人が多い。切手は種類が豊富だから楽しめるそうです。 切手を貼らない人は、市販の専用パットを貼ったり、彫刻を入れたりするそうです。 →私も市販のパットを貼った事があるけれど、どうも違和感があってすぐやめてしまいました。
●セカンドフルートの受難の話から… 「オケの管楽器の中で、隣の人の息をまともに受けるポジションに座っている人といえば、セカンドフルート奏者である。 管が横を向いているために、ファースト奏者の息が直撃するのだ。 非常に下世話な話だが、実際のところファーストの人の息の臭いにむせかえることはないのだろうか。」
●循環呼吸=鼻から吸った息を口にため込んで、ブレスを取らずに長時間吹き続けるワザ。
●フルートの頭部管と足部管をつないで吹くと、暴走族のパラララパラララ~というクラクションに早変わり。
●ピッコロ+グロッケンはひときわ可憐。
●中国式楽器・符号名称(本には他にもたくさん載っています)
長笛(フルート)・短笛(ピッコロ)・節拍機(メトロノーム)・昇号(シャープ)・降号(フラット)
●「有名なフルート吹きは不思議と白髪型で、禿げている人はほとんどいないが、有名なオーボエ吹きは不思議にみんな禿げてます」と断言してしまっているほど、昔からこの噂は人々に愛されてきている。
いろいろな国のフルートの好み | |
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日本 | 最近はフランスに留学する人が多いので、プロではインラインのリングキー、Eメカ付きの人が多い。 |
アメリカ | プロはリングキー、Eメカ付きのH管を使用。
一般にはオフセットのリングキー、Eメカ無しが主流。 |
イタリア | ラテン系とはいえ、フランスとドイツで学んだプレーヤーが混在しているので、学校によって使用される楽器のタイプが異なる。 |
フランス・スペイン | ラテン系民族も金を好む傾向。
リングキーでインライン配置、Eメカ無しでC管を使用している人がほとんど。 |
ドイツ | 「金はもったいない!」とほとんどがシルバー派。
楽器の機能についても合理性を求める人が多いので、他の国の楽器に比べてオプションのメカが多い。リングキーでオフセット配置、Eメカ付きで、プロの7割はH管を使用している。 |
韓国 | アメリカのジュリアード音楽院に留学する人の9割は金のフルートを使用しているらしい。
ジュリアードまで留学できる人といえば、韓国国内でもある程度裕福な家庭の子女であり、またお国柄、金が好まれるようで、楽器の性能と同等かその次くらいの優先順位で、金の楽器が選ばれる。 |
フルートのキー | |
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リングキー | キーに穴が開いていて、指でふさぐようになっている。音色が明るく粒立ちがはっきりしている。 |
カバードキー | トーンホールを全てふさぐキー。音色がしっとりとなめらかなのが特徴。 |
Eメカニズム | フルートの構造上、3オクターヴのEの音を発音しやすくするためのキーシステム。 |
オフセット配置 | 左手薬指で押さえるGキーが指の長さに合わせて少しずらしてある形式。 |
インライン配置 | 主なキーが一直線に並んでいる形式。構造がシンプルで、音色にも影響があるとされる。 |
楽器の部品数ランキング | |
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第1位 | サックス(約600種類) |
第2位 | ファゴット・テューバ・ユーフォニアム(約300種類) |
第3位 | ホルン(約200~300種類) |
第4位 | クラリネット・オーボエ(約200種類) |
第5位 | フルート・トランペット(約140種類) |
第6位 | トロンボーン(約100種類) |
●もっとも設計が難しいのは?
管体がテーパー(円錐状に広がっている状態)で、かつベルの部分が曲がっていて、その曲面におびただしい数のキーを配置するサックスは、管楽器の中で最も難易度が高く、1つの楽器に5~6人が全力で取りかかるそうです。
次いで難しいのがホルン。
これもテーパーで、ぐるぐると巻きが入った設計なので、設計図が一人前に描けるようになるにはゆうに数年はかかるそうです。
これに対しフルートの管体はテーパーではなく円筒状なので、設計図を描くのはラクな部類に入り、1回レクチャーされれば、早い人で数ヶ月で描けるようになるそうです。
もちろん先輩の赤チェックが入らない「使える設計図」になるには3年くらいの修行が必要だそうです。
●たとえばフルートがモデルチェンジをしてキーを1つ増やす事になった場合・・・
ヤマハでは社の規定で250万回の耐久テストをクリアしなければならない。
人間とほぼ同じ力のテスト用機械でひたすらキーを打ち続け、10万回ごとに状態が変わっていないかチェックする。
管体の変色に対しては、シャンプー・口紅・香水・スキンローション・人工汗・人工唾液・紫外線照射などの実験がほどこされる。
専門チームがこれだけ周到に研究・実験を重ねていても、クレームはゼロにならないそうです。
●グラナディラについて
グラナディラとは、南アフリカやブラジル等に生育する非常に密度が高く黒い硬質の木の事。
楽器作りの歴史の中で試行錯誤が重ねられた結果、金属加工なみの精度が得られるうえ、木としては温度や湿度による寸法の変化も少ないこと、人々に受け入れられやすい響きを持つことなどの理由から、この木材が用いられるようになった。
樹齢が高ければ高いほど、伐採後に十分に寝かされれば寝かせられるほどよしとされる。(最高級グラナディラ)
「寝かし」は木の伐採業者から楽器メーカーが買った後、自社の貯蔵庫などで保存する。
その年月は、メーカーにもよるが、およそ5~15年くらい。
木の含水率が10%前後になるまで自然乾燥、もしくは一定湿度を保って保管する。
国によっては、寝かせた年数によってかかる税金が違ってくるようで、最近は長く寝かせるメーカーは少なくなってきたそうです。
また長く寝かせるという事は、その分お金も動かないし、手間賃がかかるので、大量生産のメーカーでは強制乾燥させて時間の短縮を図るところもあるそうです。
グラナディラのどの部分を使うかという事も大事な要素です。
木を輪切りにしたその断面を三層に分けたとき、中心部は柔軟で音色も柔らかいという反面、年によって密度にムラがあり、温度や湿度の変化に弱い。
二層目は強度もあり、しっかりとした音を出す楽器に仕上がることから使用率は高いとの事。
メーカーによっては、専属の木の選別師が、どのグレードの楽器にどの木を使用すればよいかをより分けているらしいです。
値段の高い楽器はいたずらに高いわけではなく、それだけ年月や手間がかけられているのです。
30~40年前と比べると、現在は良質の材料が揃いにくくなっているようです。
木でできている楽器製作と環境破壊の問題とは、切っても切れない関係にあるようです。