東京ビッグサイトは、ワンダーフェスティバル(以下、WF)参加ディーラーたちにとって、「戦場」なのだそうだ。

戦場とは即ち、戦いの場である。

では、誰が誰と戦うのか? ディーラーにとっての「敵」とは誰なのか?

同じアイテムを出品する他のディーラー? それは、違う。「一人でも多くの人に自分の作品を評価されたい(売りたい)」という共通の志をもっている以上、それは同志、戦友ってことだから。

ディーラーの敵とは、「消費者(=一般参加者)」ではないだろうか。出品した商品を気に入らせたり、驚かせたり、楽しませたりすることで消費者を満足させる──それこそ、ディーラーの戦いというものではないだろうか、と思う。

戦いにはテクニックがある。戦略があり、戦術がある。アイテムを何にして、WFに参加するか否かという判断を決めるのが戦略であれば、事前の告知活動やブースのレイアウト、接客方法などが戦術ということになるだろう。WF直前に発行される『モデルグラフィックス』誌に事前情報が掲載されることは、アメリカ軍のTOT*1に準えることができる。既にその名を轟かせているディーラーは、その名を聞くだけで敵が怖じ気づいてしまうという、ナポレオン軍の老親衛隊(オールド・ガーズ)のようなものだ。そして多くのディーラーは、突撃の前に、自前の砲兵部隊によって準備砲撃を行えるようになった。いうまでなく、インターネットの活用である。

開場わずか25分で商品が売り切れるという、華麗なる電撃戦(ブリッツクリーク!)を展開したディーラーもあれば、焦土戦(スコーチド・アース!)を行い持久戦&ダンピングに突入したディーラーもあった。正々堂々と戦い矢つき刀折れたディーラーもあれば、敵前逃亡を企てるディーラーもあった。

1999年2月7日、確かに私は戦場にいた。


……なんて書くともっともらしいし、「戦場」という視点でもっとはっきりあれこれ書いてもいいんだけど、今回参加したのは「後方支援」だったわけで、あんまり偉そうなこと書けないんですよね。何せ、初参加でもあったし。とりあえず、雑感。

*1 TOT タイム・オン・ターゲットの略。アメリカ軍は突撃を行う前、敵の堅固な防御拠点に対して、1ダースほどの砲兵大隊の火力を集中して抵抗を排除した。どの国の陸軍にも真似できない強力な突撃準備砲撃……まさに『モデルグラフィックス』の事前告知でしょ? この辺りの表現、全部受け売りです、念のため。

*2 文中、何人か知人が登場するが、ホームページを開設されている方は、名前をクリックするとそのページにジャンプできるようになっている。なお、残念ながらリンクさせていただいている方、知人全てとWF会場で出会えたわけではないため、本編を記述する上で必要と思われた方以外は登場していないのでご容赦を。何ぶん、記憶容量が小さい(1.44MBくらい?)もので。

>続く